【助産師監修】乳腺炎になりかけたときの症状は? こじらせない対策3つ

【助産師監修】乳腺炎になりかけたときの症状は? こじらせない対策3つ

ママの多くが経験するおっぱいトラブルの一つが乳腺炎。どんな症状から始まるのか、知りたいママも多いはず。そこで、乳腺炎になりかけたときの症状と、こじらせないための初期の対策をご紹介しましょう。


乳腺炎になりかけのとき、現れる初期症状は?

Lazy dummy

突然、乳房の一部が赤く腫れ上がり、痛みや熱感が出る乳腺炎。お母さんが赤ちゃんに母乳をあげている時期(授乳期)に起こる、代表的なおっぱいトラブルです。

実際、産後3ヶ月までにおよそ10人に1人が、全授乳期間でみると3~5人に1人が経験するという身近な病気[*1]。困っているママも少なくありません。

乳腺炎は感染の有無で2つのタイプに分けられる

乳腺炎は2つのタイプに分けられます。

主に感染以外の原因で起こるのが、「うっ滞性乳腺炎」。
母乳の通り道である乳管が狭くなることで母乳の出が悪くなり、乳腺内に母乳が滞ってしまい炎症を起こした状態をいい、乳房のしこりや腫れ、赤み、痛みなどが出ます。

【助産師解説】おっぱいが痛い!乳房や乳頭が痛い時の主な6つの原因と対策

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/6956

授乳中におっぱいが痛くなるママは少なくありません。なぜ痛くなるのか、考えらえる主な4つの原因と対策について助産師さんにうかがいました。自分の痛みがどれに当てはまるのかを確かめ、原因に合った対応を心がけましょう。

一方、母乳が乳房内に長時間溜まっていると、細菌が増殖しやすい環境ができてしまいます。細菌の感染が主な原因で起こるのが、「急性化膿性乳腺炎」。
傷が付いた乳頭に細菌が感染することで発症します。主な症状は、乳房のしこりや腫れ、痛み、熱感、赤みなど。この他、悪寒やインフルエンザ様の体の痛みをともなう高熱が出るのが特徴です。こじらせると乳房のなかに膿(うみ)の固まりができることもあります。

乳腺炎になりかけたときの症状は?

うっ滞性乳腺炎は細菌感染を起こしやすいことから、急性化膿性乳腺炎のリスクの一つともいえます。つまり、うっ滞性乳腺炎の兆候を知って対策をとることは、急性化膿性乳腺炎も予防にもなります。

うっ滞性乳腺炎の初期症状は、乳房のしこり、痛み、熱感、赤みなどですが、ママによっては以下のような前兆があるようです。乳腺炎を何度か繰り返していると「乳腺炎になりそうな状態」がわかるようになりますので、その兆候を逃さず、対策をとることが大切です。

・ふだんは授乳後にスッキリするが、授乳を終えても母乳が残っている感じがする
・授乳が終わった後、乳房に違和感がある
・乳首に傷ができていたり、軽い痛みがあったりする

乳腺炎になりやすい時期、状況は?

乳腺炎になりやすい時期、状況もあります。
とくにすべてが初めての一人目のママは、知っておきたい知識といえるでしょう。いざというときに役立ちます。

・授乳開始~1ヶ月ぐらい

この時期の赤ちゃんは、まだたくさんの母乳を飲むことができません。授乳回数が少なかったり、回数や授乳時間を決めて授乳をすると、母乳が滞りやすいです。また、母乳がたくさん出るママは母乳が溜まりやすく、うっ滞性乳腺炎になりやすいといえます。

・夜間や仕事で授乳や搾乳の間隔が空く

授乳や搾乳の間隔が空くと、どうしても母乳が溜まりがち。これがうっ滞性乳腺炎の原因になります。授乳1ヶ月以降でみると、これがうっ滞性乳腺炎でもっとも多い原因といわれています。

・断乳のとき

母乳の出がよいママが急に断乳をすると、母乳が溜まってうっ滞性乳腺炎を起こしやすくなります。ママと赤ちゃんによって適したやり方があるので、そろそろ卒乳かも……と思ったら、助産師に相談するようにしましょう。

乳腺炎になりかけたらどんな対処が必要?

もしかして乳腺炎かも? と思ったときに試したい5つの対策を紹介しましょう。
「早期発見・早期治療」という言葉がありますが、乳腺炎もまったく同じ。早期にケアを始めることで悪化を予防でき、治りも早くなります。

① むくみがあったら「圧迫ケア」

乳房が張っていて、乳輪のむくみがあると、赤ちゃんが上手くおっぱいに吸いつけず、効果的に母乳を飲みとれません。そのまま放置してしまうと、うっ滞性乳腺炎に進行してしまいます。
そんなときに有効なのが「圧迫ケア」。やり方は次の通りです。

①両手の親指と人差し指の腹の部分を乳輪に置いて、やさしく1~3分程度圧迫します。
②角度を変えて乳頭の周りを圧迫していきます。痛みがあったら圧迫を弱めます。

乳腺炎になりかけの乳房の皮膚はデリケートです。傷を付けないようやさしく扱うこと。また細菌感染を防ぐため、しっかり石けんで手を洗って清潔にしてからケアを始めましょう。

赤ちゃんに母乳を飲んでもらう

症状がある(出そうな)側の乳房を赤ちゃんに含ませます。

授乳ができないときは搾乳を。溜まった母乳を排出することで、うっ滞がとれて症状が改善します。
症状がある乳房の母乳を赤ちゃんに飲ませて大丈夫? そう疑問に思うママも多いと思いますが、乳腺炎になった乳房から赤ちゃんが母乳を飲んでも問題はありません。

乳腺炎のためのマッサージも○

乳房に違和感があったときは、マッサージも有効です。

ただ、そのマッサージは母乳を出すことを目的にする、いわゆる「おっぱいマッサージ」とは異なります。乳房をギュウギュウ押すなど、間違った方法でマッサージをしてしまうと、デリケートな皮膚を傷つけたり、症状を悪化させてしまう恐れがあるので、注意しましょう。

勧められるのは、授乳中にしこりのある部分にママの親指を置いて、乳頭の方へやさしく乳房をマッサージし、母乳の排出を促します。具体的なマッサージの方法は助産師に聞いてみるとよいでしょう。このときも圧迫ケアと同様、事前に手を洗ってから始めましょう。

熱感があったら冷やすという手も

熱感があるときは、冷やすことも有効です。

冷たい水で濡らして絞ったタオルをあてるとよいでしょう。

氷や冷却ジェルなどを直接、乳房にあてて急に冷やすと、母乳の出に影響することがあります。こうしたものを使う場合は、タオルなどで包んで軽く間接的に冷やすのがお勧めです。

乳首とそのまわりを清潔にしておく

母乳パッドをこまめに変える、湿ったままのパッドを付け続けないなど、乳房や乳首を清潔に保つことも大事です。

ただ、乳首の周囲にあるモントゴメリー腺からは皮脂が分泌されています。この皮脂は乳首まわりに潤いを与えて保護する役割があるので、気になるママもいるかもしれませんが、授乳のたびに拭くのはやめておきましょう。

栄養と休息でママの体調を整える

こうしたケアにプラスして、ママの体調を整えることも、乳腺炎をこじらせないためには重要。実は、ママの体調がすぐれないとき、ママの疲労がたまっているときに乳腺炎になりやすいのです。

授乳の時期は夜眠れないなど、体調を整えるのはけっこうたいへんです。ただ、そういうなかでも時間を見つけて体を休めるなど、自分の健康を気遣うことはとても大事です。家事も必要最低限にしておき、残りは家族に協力を頼みましょう。すぐにやらなくていい家事は後回しにするなど、ママの健康ファーストでいきたいものです。

【助産師解説】乳腺炎対処法!効果的な自宅ケアとマッサージの方法

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3527

乳腺炎のような症状が出たとき、自宅ですぐにできるケアやマッサージ方法を助産師が教えます。乳腺炎という言葉はよく耳にするけど、具体的にどのような症状なの? という疑問にもお答え。発症リスクや予防方法についても知っておきましょう。

まとめ

多くのママが経験するという乳腺炎。「痛い」「つらい」という声を聞くと不安に思うママも少なくありませんが、闇雲に怖がるのも、ストレスになるだけでよくありません。乳腺炎も早期発見、早期対応が肝心。日ごろからおっぱいの状態を観察して、異変に気付いたらすみやかに対処する。それが賢いママの乳腺炎対策といえるでしょう。

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

(文:山内リカ、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会「Baby+お医者さんがつくった妊娠・出産の本」p103
水野克己他「母乳育児支援講座」(南山堂)

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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