【医師監修】克服したい! 産後に起こる不眠の原因と対策

【医師監修】克服したい! 産後に起こる不眠の原因と対策

マタニティライフを卒業し、無事に出産して安心したのも束の間。赤ちゃんの世話で疲れているにも関わらず夜なかなかゆっくり眠れない……というママは意外と多いようです。そんな、産後に不眠で悩むママたちのために、産後に起こる不眠の原因と対策についてお伝えします。


不眠は産後に起こり得る不調のひとつ

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※画像はイメージです

オムツ替えや授乳、抱っこ、お風呂、寝かしつけと赤ちゃんの世話は昼夜問わず24時間体制。育児で疲れているからさぞかしすぐに眠れるだろうと思いきや、なかなか眠れないと悩んでいるママは少なくないようです。

出産は女性にとって、人生の中で一番の大仕事と言っても過言ではないくらい大変なものです。出産後の身体は妊娠前の状態に戻ろうとするのですが、その過程で身体にはさまざまな変化が起こり、それに伴う不調に悩まされるママも少なくありません。このような不調は特に、産後6~8週間の産褥期に現れやすいです。

産後の不調や身体の変化として見られやすいものには、腰痛、抜け毛、尿失禁(尿もれ)、、便秘などがあります。大きな要因としては、妊娠中~産後にかけてのホルモンバランスの変化、妊娠・出産に伴う身体の変化(体重の増加やお腹が大きくなることによる姿勢の変化、骨盤底筋の弱まりなど)、分娩の影響などが考えられています。

また、産後は身体症状だけでなく、イライラや疲労感、無気力、食欲低下など精神的な症状が見られることもあり、不眠もそのひとつです。

産後に「不眠」になることがあるのはなぜ?

腰痛や抜け毛、尿失禁などのトラブルと共に、不眠も産後の不調として比較的多く見られるようです。では、産後に不眠に陥ることがあるのはなぜでしょうか。産褥期の特徴と不眠の主な原因から、考えられる要因について見ていきましょう。

産後うつによる不眠の可能性

産後うつとは、産後数ヶ月(多くは1ヶ月以内)に起こる産後の不安定な心の状態のひとつです。よく耳にするマタニティ・ブルーズは、産後数日以内(多くは3~10日以内)に始まり、およそ2週間で自然になくなることが多い一過性のもので、産後うつとは違います。分娩による疲労や産後の身体の変化、育児への不安などから起こる生理的な症状なので、治療の必要もないといわれています。

これに対して産後うつは症状が数ヶ月にわたることもあり、治療が必要な病的なものとされています。日本において、産後うつ病は出産した女性の5~10%に起こっているとされています。[*1] このように、産後うつは決して珍しいものではありません。以下のような症状が約2週間以上続くようであれば産後うつの可能性があるので、一度病院を受診してみてください。

・笑うことができない。物事のおもしろい面がわからない
・物事を楽しみにして待つことができない
・うまくいかないとき、自分を不必要に責める
・わけもなく不安になったり、心配になったりする
・理由もなく恐怖に襲われる
・することがたくさんある時にうまく対処できない
・不幸せと感じ、眠りにくい
・悲しくなったり、みじめになる
・不幸せで、泣けてくる
・自分自身を傷つけるのではないかという考えが頭に浮かぶことがある

生活リズムの乱れによる不眠の可能性

授乳やオムツ替えなどの赤ちゃんのお世話は、日中はもちろん、夜間も続きます。特に3ヶ月くらいまでは、1日5~8回程度の授乳が必要になるので、夜中も定期的に起きて授乳やオムツの交換をしなければなりません。また、赤ちゃんが夜泣きをすればあやすために起きたり、ひどい場合はほとんど一睡もできずに抱っこ……ということもあります。日中も、授乳のためにママの食事の時間がずれるなど、定期的な生活リズムを作ることが難しい時期もあると思います。

このような生活リズムの乱れは体内リズム(体内時計)の乱れにつながり、不眠を招く可能性があります。

ストレスによる不眠の可能性

育児が思い通りにいかない、家事がはかどらないなど、自分でも知らないうちにストレスが溜まっていることがあります。

ストレスは安らかな眠りを妨げる要因となるので、溜まってしまうと眠れないという状態を引き起こしてしまいます。

産後の不眠にはどう対処する?

産後うつの症状として不眠が現れている場合は、医療機関での適切な治療が必要です。我慢すればいずれ治ると思わず、早めに医師に相談してください。適切な治療を受けることは、自分だけでなく、赤ちゃんにとっても非常に重要なことです。気分が落ち込むことが多い、育児に対する不安が常につきまとうなど、気持ちが落ち着かない日々が続いたり、食欲低下や頭痛などの症状が見られるときは、迷わず医療機関を受診しましょう。

不眠以外の症状が特に見られず、うつのような兆候も思い当たらない場合は、生活リズムの乱れやストレスが不眠を招いている可能性があります。そのようなときは、以下のような方法をためしてみてください。

朝日を浴びる

夜なかなか眠れなかったときは朝早く起きることができないかもしれませんが、朝はできるだけ同じ時間に起き、太陽の光を浴びるよう努めてみましょう。太陽などの強い光には、体内時計を調整する働きがあります。具体的には、日の光を浴びて14時間以降に眠気が来るようになっています。体内時計が乱れやすいこの時期は、特に意識的に朝日を浴びるようにしましょう。

少しでも眠れる時に寝る

授乳タイムは朝も夜も関係ないため、夜中に授乳で起こされた後そのまま朝まで眠れないというママも少なくないでしょう。目が開いた状態で長い間布団に横たわっていると、睡眠時間が足りていないという気持ちになってしまうので、眠れないときは思い切って布団から出てしまいましょう。そして、日中でも眠れる時に少しでも寝ておきましょう。不眠の解消には、午後3時までの間に30分の昼寝が効果的といわれます。この時期は寝る時間にこだわらない!という気持ちを持ってみてください。

パパに寝かしつけやお風呂をお願いしたりして、その間に休むというのもいいですね。実家に頼れるという方は、産後しばらくは面倒を見てもらうという手もあります。特に、母乳だけで育てているママは夜の授乳を人に任せることができないので、その他のことまで一人で頑張ろうとせず、頼れるところは頼りながら休む時間を作りましょう。

ストレス発散を心がける

家事も育児も何でも完璧にこなそうとすると少しも休む時間がなく、ストレスが溜まりがちになります。出産する前と同じように無理して家事をこなそうとせず、今の時期だけと思って掃除機をかける回数を減らす、おかずを一品減らすなど、思いきって家事を手抜きしてみましょう。これを機に、食器洗浄機やロボット掃除機などの便利な家電を検討してみてもいいかもしれません。家事代行サービスなどを利用するのもいいですね。

また、赤ちゃんがお昼寝している間は家事を済ませておこうと思いがちですが、ママ自身が好きなことをしてリラックスする時間を持つことも大切です。ゆっくりとお茶を飲むのもよし、友達と電話で話すもよし、本を読むのもよし、録画しておいたドラマを見るもよし、少しでもいいので自分だけの時間を楽しみましょう。

とはいえ、1日中ずっと家の中にいると「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と、やっぱり家事と育児のことばかり考えてしまいがちです。そんなときは、赤ちゃんを連れて家の外に出ましょう。お散歩へ行ったり、図書館や児童館などに出かけるだけでも、ママにも赤ちゃんにとってもいい気分転換になります。

公民館などを利用した子育てサークルにも入るのもいいですね。ベビーマッサージやリズム体操、絵本の読み聞かせなどをしているサークルが多く、赤ちゃんにとっていい刺激となります。日頃は赤ちゃんと二人っきりというママも、同じ月齢くらいの子がいるママと話すことで、日頃のストレスも軽減されるかもしれません。

軽い運動をする

赤ちゃんが一緒だと運動する機会も減ってしまいますが、隙間時間を利用して簡単な運動を心がけることも大切です。適度な運動による肉体的な疲労は、心地よい眠りを生み出してくれます。激しい運動は逆効果になるので、階段や踏み台などを使っての昇降運動や、軽いストレッチなどでかまいません。赤ちゃんと一緒にできるベビーヨガやリズム体操など、スキンシップを図りながら産後運動をするのもおすすめです。

寝る前にはスマホやテレビを見ないようにする

スマホやテレビから出るブルーライトを浴びると、眠りに導いてくれるメラトニンというホルモンが体内で分泌されにくくなり、脳が覚醒して眠れなくなってしまいます。心地よい眠りにつくためにも、就寝2時間くらい前までには、できるだけスマホやテレビを見ないよう心がけましょう。にも、就寝2時間くらい前までには、できるだけスマホやテレビを見ないよう心がけましょう。

まとめ

「赤ちゃんがいるから眠れないのはしょうがない」と、不眠の状態を放置してはいませんか? 頑張りすぎると悪循環に陥るので、疲れたと感じたら周りに頼りましょう。ママの状態は赤ちゃんにも伝わります。ママが元気だからこそ、赤ちゃんも穏やかで健康に育ってくれることを忘れないでください。精神的につらいと感じたときは、一度かかりつけの医師や助産師さん、地域の保健師さんなどに相談することをおすすめします。話を聞いてもらえるだけでも心持ちが違ってくると思います。

また、眠らなきゃと考えれば考えるほど余計に眠れずイライラしてしまいがちなので、眠れないのは今だけだからしょうがないと捉え、焦らないようにしましょう。そうしても不眠が続く場合は一度専門医に相談することをおすすめします。
周囲の協力を得ながら、乗り越えていきましょう。

この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業、虎の門病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。医師+(いしぷらす)所属

参考文献
産婦人科診療ガイドライン―産科編2017/公益社団法人日本産科婦人科学会 239p
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2017.pdf

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)

※記事の修正を行いました(2019.06.11)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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