【助産師解説】産褥期ってなに?産後の肥立ち?産褥期のママの心身と過ごし方

【助産師解説】産褥期ってなに?産後の肥立ち?産褥期のママの心身と過ごし方

産後の女性にとって大変重要な時期である「産褥期」(さんじょくき)。ママの心身に様々な変化が生じますが、この時期の過ごし方には注意が必要です。今回は「産後の肥立ち(ひだち)」という言葉の意味も含め、産褥期について詳しくご紹介します。


この記事の解説助産師
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院の総合周産期母子医療センターで10年勤務。現在は助産院マタニティハウスSATOにて、妊娠から出産、産後のトータルケアを担っています。「日々ママや赤ちゃんに寄り添い、笑顔になってくれるのが何よりのやりがいです」

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産褥期とは?心身の変化と期間

生理(月経)が来なくなり、つわりで吐き気が起きたり、お腹が大きくなるにつれマイナートラブルに悩まされたり……妊娠をすると様々な体の変化があります。でもその変化は妊娠中に限ったことではなく、分娩後にも、ママの心身には大きな変化が訪れます。

産褥期ってなに?

産褥期とは、妊娠や分娩で変化したママの体が、妊娠前の状態に戻るまでの期間のこと。 一方、医療用語ではありませんが、産褥期の状態を「産後の肥立ち」ともいい、母体の回復具合について「産後の肥立ちが良い/悪い」と表現したります。

産褥期の体の変化と主な期間

産褥の期間は、分娩後6~8週間とされています。この間に、母体では主に「性器の復古(退行性変化)」と「乳汁の分泌(進行性変化)」と呼ばれる2つの変化が生じますので、以下で詳しく見ていきましょう。

●性器の復古(退行性変化)
子宮体部は6週間ほど、子宮頚部は4週間ほど、腟は3週間ほどで妊娠する前の状態まで回復するとされます。
また、産後には性器からの分泌物である「悪露」(おろ)が排出されます。個人差はありますが、産後直後は赤色、 産後3〜4日以降から1週間ほどは褐色、そこから2〜3週間ほどは黄色、以降は白色となり、完全に悪露が出なくなるまでには産後4〜6週ほどかかります。

●乳汁の分泌(進行性変化)
乳汁(母乳)は産後すぐ十分に出るわけではなく、産後2〜3日ごろから本格的に分泌されるようになります。産後直後~5日頃に黄色っぽい「初乳」が出て、移行乳を経て、生後2週間以降には白色の「成乳」が分泌されます。

この他、産後直後から3~4日ごろまで子宮が収縮することに伴う後陣痛がみられる場合があります。

産褥期にみられる異常とリスク

ママの体の回復にとって重要な産褥期ですが、この時期に心身に異常が起こるケースがあります。ここでは産後に起こる可能性のある代表的な異常についてチェックしていきましょう。

産褥期にみられる体の異常

産褥期のママにみられる体の異常には、 以下のようなものがあります。

●産褥乳腺炎
母乳が乳腺の中にとどまると「うっ滞性乳腺炎」の原因となります。赤ちゃんに吸ってもらうなどして母乳が排出できれば問題ありませんが、さらに乳頭から細菌感染すると「化膿性乳腺炎」へと移行します。その場合は、おっぱいの張りや痛みのほか、高熱(38℃以上)が出たりするので、産院に相談し、適切な乳房マッサージや抗菌薬服用の指示を受けましょう。

●産褥熱
分娩から24時間〜産後10日ごろ、高い熱(38℃以上)が2日以上続く場合には「産褥熱」(さんじょくねつ)の疑いがあります。分娩の時やそれ以降に、子宮など骨盤の中が感染することで起こります。抗菌薬服用のほか、処置が必要な場合がありますので、産院に連絡し指示を仰ぎましょう。

●子宮復古不全
妊娠にって大きくなった子宮は、産後どんどん収縮し、6週間後には妊娠前の状態まで戻ります。産褥期における子宮の収縮(復古)に遅れが見られる場合、子宮復古不全が疑われます。原因はいろいろ考えられますが、子宮の中に胎盤などが残ることで起きることが多いとされています。産後1~2週を過ぎても血が混じる悪露がだらだらと続く場合は、産院に相談しましょう。

●静脈血栓症
妊娠・産褥期は非妊娠時に比べて5〜10倍も血栓ができやすいとされています。特に、肥満の女性は要注意で、さらに帝王切開だと血栓ができるリスクが高まります。予防策として、弾性ストッキングの着用や適切な水分摂取、産褥体操などで適度に体を動かすことなどが挙げられます。

産褥期に起こり得る心の異常

産褥期に起こり得る心の異常には、 以下のようなものがあります。

●マタニティーブルーズ
マタニティブルーズは産後のママの30〜50%に見られる一時的な軽度の抑うつ状態を指します。具体的な症状としては涙もろさ、気持ちの沈み、集中力の低下、不安感、眠れないなどがあります。産後3〜10日後発症しますが、多くの場合2週間ほどで自然に軽くなります。産後は心身ともに無理をせず、妊娠中以上に周囲の人の助けを求めましょう。

●産後うつ
マタニティブルーズと似たような症状が出るものに「産後うつ病」がありますが、その場合は早めの診断・治療が必要となります。気分の落ち込みや育児への恐怖・不安感が“2週間以上”続く場合は一人で我慢することなく、周囲の人に気持ちを打ち明け、医療機関を受診しましょう。

【医師監修】産後うつ病の症状は? どう対処する?

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/44

産後うつ病は出産後の女性なら誰でもなる可能性があるもので、多くの場合に適切な対処と治療でよくなるものです。赤ちゃんがかわいいと思えない、毎日不安でしょうがないなど、少しでもおかしいなと感じたら医療機関で診療を受けることが勧められます。産後うつ病で見られる代表的な症状と対処法についてお伝えします。

「産後の肥立ち」をよくするには?産褥期の過ごし方

良好な産後の肥立ちには、無理をせず、ゆっくり母体が回復できる環境を整えることが重要です。最後に、産褥期の過ごし方をチェックしましょう。

しっかり休んで体の回復を促そう

出産によって、体はとても疲れています。とにかく当分は無理をしない方がいいでしょう。赤ちゃんの世話の合間でママ自身も体を横たえ、休憩を取りましょう。
また、疲労感だけでなく、会陰切開などで傷がある場合もあります。産後の性生活の再開は、1ヶ月健診でママの体の状態に問題がないかを確認してもらってからがいいでしょう。

家事・育児はまわりの協力を得よう

家事をはじめとする家のことも、想像以上に体の負担となります。経過が順調ならば、産後3週間程度で少しずつ家事を始めて、体を慣らすのもいいでしょう。それ以前に関しては洗濯、掃除、炊事などは、なるべく家族の方に協力してもらってください。
とはいえ、里帰り出産が叶わなかったり、旦那さんや実家の協力を得られないママも少なくないでしょう。その場合は、家事代行や地域の公共サービスなどを利用する方法もあります。家事は二の次、まずは赤ちゃんのお世話とママの体の回復に努めてくださいね。

バランスの良い食事で健康に

産後の体重戻しも気になるかもしれませんが、食事を極端に制限する減量はNGです。ママの回復はもちろんのこと、授乳する場合は赤ちゃんにとっても、栄養バランスの良い食事が不可欠となります。 授乳するママは、成人女性の1日の平均的なエネルギー必要量 よりも350kcalほど多くエネルギーを摂取することが勧められています。

授乳中の食事のコツとしては、
① うどんや米といった「主食」を中心にエネルギーをしっかりとる
② サラダや味噌汁などの「副菜」でビタミン・ミネラルをとり入れる
③ 肉・魚・卵・大豆など「主菜」もバランスよく
④ 乳製品でカルシウム補給

などがあります。授乳しない場合でも、食事はママの健康にも大きく影響しますので、バランスの良い食事を心がけましょう。

まとめ

およそ10ヶ月の妊娠期間を経て、女性の体は大きく変化、出産を機に再び大きな変化が生じます。体が妊娠前の状態に戻ろうとする「産褥期」は、心身の回復のための時間。よく休み、栄養バランスを考えた充分な食事を摂りましょう。 良好な「産後の肥立ち」のためにも、無理はせず、 積極的に周囲を頼るようにしてくださいね。

(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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