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2021年08月18日 15:58 更新

【医師監修】着床出血の症状 | 量や色、痛みなど妊娠超初期と生理の違い

妊娠した時に起こることがあるという着床出血。生理や他の出血との見分けはつくのでしょうか。また、着床出血がある場合、ない場合で、何か違いはあるのでしょうか。今回は、着床出血について量などの具体的な症状や原因、特徴についてまとめました。

着床出血の症状は?:量、色、痛み、時期・期間

着床出血の量や色は?痛みはある?トイレで考える女性のイラスト
(イラスト:杉井亜希)

妊娠初期症状の一つと言われる「着床出血」ですが、具体的にはどのような症状なのでしょうか。

着床出血の症状:量や色は?

一般的に着床出血での出血の量は「少量、またはごく少量」で、拭いた時、またはパンティライナーに「少しつく」程度。色は「薄い鮮血、ピンク色」とされていますが、「茶色いおりもの」のように見えることもあります。

着床出血の症状:痛みなどはある?

痛みはあっても「軽いけいれんのような下腹部に違和感のある程度」で、痛みはない場合もあります。しかし、中には着床出血が起こるころ、下腹部の痛みや頭痛、吐き気などの症状を感じる人もいるようです。

着床出血の症状:時期と期間は?

着床出血は「生理予定日ごろ、またはその少し前」におこり、出血は「数時間~3日程度で治まる」とされています。

普段から生理が軽い場合は、生理がきたと間違える人もいるようです。

そもそも着床出血って何?

生理ナプキンのイメージ
Lazy dummy

妊娠すると起こることがある着床出血とは、そもそも何なのでしょうか。

受精卵が子宮に潜り込むときに起こる出血のこと

受精卵は子宮内膜に着床すると、後に胎盤となる絨毛という組織を作って、さらに子宮内膜の奥へと深く入り込みます。この際に起こる出血を着床出血と言います。

出血があっても、子宮内に「胎芽(妊娠8週未満の胎児のこと)」の生存が確認されれば、問題はなく治療の必要もありません。

実は「着床出血なし」で妊娠する人の方が多い

着床出血は妊娠した人の8~25%に見られるとされています[*1]。中でも経産婦さんに多い傾向があるようです。ただ、着床出血なしに妊娠するない人の方が多いのです。

着床出血と生理はどう違う?見分け方は?

疑問のイメージ
Lazy dummy

着床出血は、妊娠したからと言って必ず起こるものではありません。また、生理予定日にも比較的近いことからその違いが分かりづらく、戸惑う人も多いかもしれません。着床出血と生理を見分ける方法はあるのでしょうか。

(1)生理時の出血との違いで見分ける

着床出血の量は「少量、またはごく少量」で、「生理よりも出血は少ない」ことが多いと言われています。また、生理の時にときどきあるような「血の塊はない」ことが多いとされています[*2]。

ただ、通常時の生理の量は個人差が大きいので、例えば普段から生理の量がとても少ない人では、着床出血と生理の区別がつかないかもしれません。

(2)基礎体温の変化から見分ける

基礎体温は、朝、目が覚めて起き上がる前、寝たままの姿勢で、婦人体温計を舌下に入れて測定します。通常、「排卵日を過ぎると基礎体温は上がり」始め、「生理が来る前から生理日開始日には体温が下がって」低温期となります。

生理のころに「基礎体温が下がらず、出血があっても基礎体温が高いまま」である場合、その出血は着床出血で、妊娠した可能性が高いかもしれません 。

基礎体温は体調によっても変わるので、1周期だけの計測でその変化を判断するのは難しいものです。前もって2~3周期は計測しておくと、自分の基礎体温のリズムが把握でき、変化があったとき気づきやすくなるでしょう。

(3)妊娠検査薬で見分ける

妊娠を待ち望んでいる人にとって、着床出血と思われる出血があったら、急いで妊娠を確かめたくなりますね。すぐに妊娠検査薬を使いたくなりますが、妊娠検査薬は正しいタイミングで使用しなければ、正確な結果が出ません。

妊娠検査薬は、受精卵が着床(妊娠が成立)すると、分泌され始める「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが、ある一定以上の濃度で尿中にあるとき陽性反応を示します。

妊娠検査薬には「生理開始予定日の1週間後から」使えるものと、「生理開始予定日から」使用できるもの(早期妊娠検査薬)があります。

まずはそれぞれ使用できる時期に自宅で検査を行い、陽性の反応が出たら「それは生理ではなく着床出血だった可能性が高い」です。陽性が出たら、妊娠5週ごろ(生理予定日から1週間後)に受診するといいでしょう。

着床出血以外の妊娠の兆候は?

ツワリのイメージ

受精卵が子宮に着床することで起こる「着床出血」があれば、妊娠したかどうかがわかりやすいですよね。でも、着床出血は妊娠すると必ず起こるというものではありません。

着床出血以外に、妊娠したことで起こる体調の変化にはどんなものがあるのでしょうか。

人によってはさまざまな変化があることも

着床出血と同時に、「軽い下腹部の違和感」や「気分の変化」「頭痛」「吐き気」「乳房が敏感になる」「腰痛」などの症状がある人もいます。

ただし、これらの症状は生理前にも見られることがあるため、妊娠しているかどうかを確認するには、やはり妊娠検査薬を適切な時期に使うのがいいでしょう。

着床出血と間違いやすい出血

腹痛の女性
Lazy dummy

着床出血は生理と間違いやすいだけでなく、その他の出血とも間違いやすい場合があります。着床出血と間違いやすいものには、生理以外にはどのようなものがあるのでしょうか。

中間期出血(排卵期の出血)

次の生理の14日前頃となる「排卵日」(生理が28日周期の場合)の前後に少量の出血があることを、「中間期出血、または排卵期出血」と呼んでいます。

この出血は、排卵期に一時的に「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が減少することが原因で起こるとされています。 出血の他に、腹痛を伴うことがあり、痛みは「チクチクする」「ズーンとくる」ようなものから、「眠れないほどの痛み」の場合もあり個人差があります。

排卵期の出血は生理的なものでほとんど心配はありませんが、出血が1週間位続く、生理と同じような出血があったりする場合は受診するようにしましょう。

子宮外妊娠(異所性妊娠)/胞状奇胎

子宮外妊娠(異所性妊娠)

異所性妊娠の図

受精卵が卵管などの子宮内膜以外の場所に着床してしまうことを「異所性妊娠」、一般的な言い方で「子宮外妊娠」と言います。

症状には「出血」と「下腹部痛」があり、受精卵が着床した部位や週数により症状の程度はさまざまです。はじめは「自覚症状がない」場合もあります。また、出血があっても「生理がきた」と勘違いし、妊娠に気づかないケースも少なくありません。

赤ちゃんは子宮内膜以外では育つことができないため、この場合は残念ながら妊娠の継続は諦めなければなりません。治療が遅れると着床した部位の破裂による大出血で妊婦さんの生命も脅かされるため、妊娠検査薬で陽性が出たらほうっておかずに受診して、超音波検査を受けることが大切です。また、生理の時より多い出血があったり激しい腹痛を感じたら、できるだけ早く受診してください。

胞状奇胎

受精卵が着床するときに、その一部である絨毛が異常に増殖してしまう病気です。

症状として多いのが「出血」で、また「つわりが強くなる」場合があります。ほとんどの場合、妊娠を継続することはできず 、治療をする必要があります。 この場合も妊娠検査薬は陽性となるので、受診して超音波検査で調べてもらう必要があります。

流産または切迫流産

妊娠22週未満に胎児が子宮の外に出てしまう、または子宮内で胎児が亡くなってしまうことを流産といい、流産の可能性がある状態を切迫流産といいます。流産や切迫流産の症状にも「出血」や「腹痛」がありますが、症状がない場合もあります(稽留流産)。

なお、妊娠検査薬で陽性反応が出た後、産婦人科の受診で妊娠が確定される前に、生理様の出血があり流産してしまうことを「生化学的流産(あるいは化学流産)」と言います。妊娠検査薬を使わなければ妊娠に気づかず、通常の生理として見過ごしてしまうことが多いものです。

この場合、特に治療は必要なく経過観察となりますが、異所性妊娠ではないことを確認してもらう必要があります。

絨毛膜下血腫

受精卵が子宮内膜に着床した際、後に胎盤となる絨毛という組織を作り子宮内に潜りこんでいきますが、その際に出血し、その絨毛組織(絨毛膜)の外側に血液がたまっていることで出血する状態です。

自然に血液が吸収され、出血がなくなっていく場合がほとんどですが、長く続くと流産や早産につながる可能性があります。

頸管ポリープ/子宮腟部びらん/子宮頸がん

「子宮頸管のポリープ(良性の腫瘍 )」「腟部のびらん」「頸部のがん」などでも出血することがあります。頸部がんの場合でも早期に発見することで、子宮を残す治療をすることも可能です。

まとめ

朝の女性

着床出血は妊娠症状のひとつではありますが、すべての妊婦さんに起こるというものではなく、あくまで妊娠の可能性を知らせる1つの症状です。妊娠したかも?と思ったら、基礎体温を確認したり妊娠検査薬を正しく使用し、陽性の場合は産婦人科を受診しましょう。

(文:島田直子/毎日新聞出版MMJ編集部、監修:星真一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]NEWエッセンシャル産科学・婦人科学第3版, 327p, 医歯薬出版, 2004
[*2]アメリカ妊娠協会 What is Implantation Bleeding?

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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