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2021年08月31日 10:30 更新

【医師監修】妊娠の予兆って?頭痛・腹痛のほか妊娠の超初期症状まとめ

妊娠を待ち望む女性にとって予定日が過ぎても生理が来ないと、「もしかしたら妊娠したかも?」と気になります。妊娠すると、生理が来ないだけでなく、他にはどのような症状があるのでしょうか。今回は妊娠超初期の症状や体の変化について詳しく説明します。

妊娠の予兆にはどんなものがあるの?

妊娠の兆候にはどんなものがあるのか考えている女性のイラスト
(イラスト:epico428)

「妊娠超初期」とは医学用語ではありませんが、妊娠4週未満ごろまでを指すことが多く、時期が早すぎて妊娠検査薬がまだ使えなかったり、産婦人科での検査でもまだ妊娠を確定できないような期間のことです。

妊娠週数を数える際には、一般的に最終月経開始日を妊娠0週0日とし、妊娠2週0日に排卵、その後1日間程度のうちに受精し受精卵はそれから一週間位かけて子宮内膜に着床するため、妊娠3週頃とは、ちょうど着床したころということになります。

妊娠超初期に現れる特徴とは?

検査で妊娠を確定するのは難しい妊娠超初期ですが、このころにはどんな症状が現れるのでしょうか。実はこの時期には、妊娠の兆候として現れる症状はほとんどありません。ただし、人によっては以下に紹介するような症状を感じる場合もあります。

妊娠の予兆が見られるのはいつから?どんな症状があるの?

着床出血

妊娠すると、次の生理開始予定日またはその1週間位前から、少量の出血がある場合があります。これは、着床出血と呼ばれるもので、受精卵が子宮内膜に着床する際、胎盤をつくる絨毛が子宮内膜に入り込む時に出血するもので、痛みはほとんど無く、あっても下腹部に違和感を覚える程度とされています。

着床出血は妊娠した人の8~25%[*1]で見られるとされ、全ての妊娠に起こるわけではありません。

その他の予兆

着床出血があるころ、人によって軽い下腹部の違和感や気分の変化、頭痛、吐き気、乳房が敏感になる、腰痛などの症状が現れることがあります。ただし、これらの症状は妊娠のせいではなく、月経前症候群(PMS)などによる症状である可能性もあります(PMSについては後でくわしく紹介します)。

妊娠の予兆が現れる頃の体の変化

妊娠の予兆が現れるころ、妊婦さんの体の中ではどのような変化が起きているのでしょうか。ホルモンバランスや基礎体温の変化について見ていきましょう。

ホルモンバランスの変化

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

hCGは、受精卵が子宮内膜に着床すると分泌され始めるホルモンですが、妊娠検査薬は、このhCGがある一定以上の濃度で尿中にあると陽性反応が出る仕組みになっています。

通常の妊娠検査薬を使うタイミングは、生理予定日の1週間後以降とされていますが、これは妊娠週数にすると5週以降ということになります。このころになると、hCGは妊娠検査薬が陽性を示すのに十分な濃度になっています。

プロゲステロン、エストロゲン

受精卵が着床してから出産まで、妊娠を維持していくのに大きな役割を果たしているのが、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)で、どちらとも妊娠すると分泌が増え、妊娠経過とともに増加していきます。

プロゲステロンは、子宮内膜を着床しやすい状態にする、妊娠中の排卵を抑制する、乳汁分泌の準備に役立つ、体温を上昇させるなどの働きがあります。

エストロゲンは、子宮の筋肉を大きくしたり血流量を増加させたりするほか、乳房や子宮頸管を変化させて体が出産に備えるための働きがあります。

この2つのホルモンは妊娠・出産に大切なホルモンですが、一方でプロゲステロンによって、むくみや便秘になりやすい、また、エストロゲンによっておりものが増える変化などの影響も出やすくなります。

基礎体温の変化

妊娠によって黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きが活発になることで、基礎体温は下がらず、排卵以降続いていた高温期がそのまま継続します。

妊娠の予兆と月経前症候群(PMS)には違いはあるの?

月経前症候群(PMS)は生理前の3~10日の間続く、精神的または身体的な症状で、生理が来ることで弱くなるまたはなくなるとされています[*2]。

PMSの症状には、乳房の張り・痛み、腹部の張り、頭痛、むくみや体重の増加、関節痛・筋肉痛などの体に現れるものと、抑うつ、怒りっぽい、イライラ、不安など精神的なものがあります。

これらのPMSの症状を誘発する要因の1つは黄体ホルモン(プロゲステロンなど)で、PMSは黄体ホルモンに対する感受性が高いために起こると言われています。なお、PMSが起こるのは、生理周期の中でもプロゲステロンの分泌が増加する排卵後から生理が始まるまでの期間です。

一方で、プロゲステロンは、妊娠中も右肩上がりで多く分泌されるようになり、妊娠を維持していくために欠かせません。

実は、「妊娠の予兆が見られるのはいつから?どんな症状があるの?―その他の予兆」の項で挙げた「妊娠の兆候」(軽い下腹部の違和感や気分の変化、頭痛、吐き気、乳房が敏感になる、腰痛などの症状)にもプロゲステロンが関係していると言われるものが多くあります。

妊娠初期やPMSによる症状は個人差も大きいですが、原因が同じ(プロゲステロン)なので似た症状が出る、というのは納得しやすいのではないでしょうか。つまり、妊娠の予兆とPMSを症状で見分けるのは残念ながら難しいと言えるでしょう。

妊娠の予兆かも?と思ったら。妊娠の予兆か生理前かを見極めるためには

妊娠の予兆とPMS、生理痛では、似た症状が現れますが、見極める方法として基礎体温測定と妊娠検査薬を使う方法があります。

基礎体温を確認する

基礎体温のグラフ例

基礎体温は、通常、排卵日から上がり始め高温期になっていき、生理前頃から生理開始には低温期になります。

しかし、妊娠している場合は、生理予定日となっても基礎体温は下がりません。高温期が17日以上続いている場合は妊娠の可能性は高いと言えるでしょう。

妊娠検査薬を使ってみる

市販の妊娠検査薬では、生理開始予定日の1週間後から検査が可能になっており、このタイミングは妊娠している場合、妊娠5週となります。

妊娠検査薬は、妊娠すると分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出して陽性反応を示す検査薬です。hCGは、受精卵が着床すると分泌され始めますが、はじめは分泌が少なく妊娠4週ころから尿に出始め、妊娠5週以降で妊娠検査薬が陽性反応を示すのに十分な濃度になっています。生理開始予定日から1週間過ぎている場合は検査してみると良いでしょう。

それ以前に検査した場合は、妊娠していてもhCGの分泌量が少ないため正しく判定が出ない場合があります。なお、同様の原理でより感度が高いので生理開始予定日の当日から使用できる早期妊娠検査薬もあります。

妊娠の予兆があったら注意したいこと

妊娠しているかどうかは、産婦人科を受診し超音波検査をして初めて確定されますが、妊娠している可能性が高い場合、お腹の赤ちゃんを守るためどのようなことに注意をすればよいのでしょうか。

薬は飲んでもいい?

妊娠中はなるべく薬の使用はせず、必要な場合も慎重に服用するのが基本ですが、お腹の赤ちゃんが受ける薬の影響は、妊娠週数によっても変わります。

一般的に妊娠4週未満までは、ごく一部の医薬品を除き薬の影響による胎児奇形の心配はないとされ、影響がある場合は妊娠が成立しないとされています。

妊娠4週から7週末になると、赤ちゃんの中枢神経、心臓などの大切な器官の形成時期になり、少数ではありますが赤ちゃんに奇形を起こすことが確認されている薬もあります。妊娠する可能性があり、どうしても服用しなければならない薬がある場合は、早めに産婦人科へ行き、医師に相談するようにしましょう。

タバコは吸ってもいい?

タバコを吸うとニコチンや煙に含まれる一酸化炭素の影響で、赤ちゃんが低酸素、栄養不足の状態になり赤ちゃんの発育を妨げます。また、喫煙によって胎盤機能が低下するため、流産を起こしやすくなります。妊娠したかもと思った時点で喫煙はやめましょう。

お酒は飲んでもいい?

最近では、女性でも飲酒をする人が多くなっていますが、妊娠の可能性がある人、妊娠中は全期間を通して飲酒しないことが推奨されています。

とくに妊娠初期の飲酒で胎児の奇形が起こる場合があり、さらに流産、死産が増えることが報告されています。

アルコール量が少しなら大丈夫ということはなく、アルコール量と妊娠、出産の関係も分かっていないため、妊娠したかも?と思った時点で飲酒はやめましょう。

セックスはしてもいい?

安静が必要な場合などで医師に止められていなければ、基本的には問題ないとされています。

ただし、流産や早産の経験があったり心配がある、つわりで体調が悪かったり、お腹に張りや痛みを感じるとき、少量でも出血のある場合は避けた方がよいでしょう。

また、体に負担をかけるような激しい、長すぎるなどの行為にも注意しましょう。妊娠の可能性が高い場合は、感染症予防のため必ずコンドームを使用するようにしましょう。

まとめ

妊娠の予兆には様々なものがあり、PMSによる症状ともかなり似ています。また個人差も大きく、症状にまったく気づかない人も珍しくはありません。

「妊娠の予兆」を感じたり、妊娠したかも?と思ったら、まずは妊娠の可能性を知る1つの方法として妊娠検査薬を使い、陽性反応が出たら早めに産婦人科を受診するようにしましょう。

(文:島田直子/毎日新聞出版MMJ編集部、監修:浅川恭行先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]NEWエッセンシャル産科学・婦人科学 p327 第3版 医歯薬出版 20014,11
[*2]産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2017, 254p

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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