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【男女脳の違い】デリカシーに欠けるのは男性? それとも女性?

黒川伊保子

よくある男女のすれ違いやケンカの原因を、「男女脳の違い」から解き明かす本連載「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?」。女性が理解できない男性の行動について、人工知能研究者であり、脳科学コメンテーターの黒川イホコ先生が解説&アドバイスします! 

「なんか太った?」「老けたね~」など。男性からのデリカシーに欠ける発言に、一度はカチンときた経験がある女性も多いのでは? 年齢や体形に関する話題は女性にとって、とてもデリケート。神経質になる必要はありませんが、ある程度の配慮は欲しいものですよね。しかし男性には思ったことを口にしてしまう人が、女性より多い気がします・・・・・・。

そこで今回は、男性にデリカシーがないといわれる理由について、黒川イホコ先生にお聞きしました。

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イホコ先生の解説

●女の方がデリカシーがない

男女で違う「デリカシー」

男はデリカシーがないなんて、とんでもありません! 男性脳は、とても繊細な装置です。一方、右脳(感じる領域)と左脳(言葉を紡ぐ領域)を連携させる脳梁(のうりょう)が太くて、感じたことがすぐに言葉になる女性脳のほうが、デリカシーがありません。ただ、「女性(男性)が気にしているところを男性(女性)が気にしていない」ために、互いに「自分は気を使っているのに、相手はそれをしてくれない」と思うのです。

女性は、「容姿の欠点」を指摘されるとひどい、と思いますが、男性はそれほど気にしません。代わりに、「秩序の乱れ」を嫌います。そのため静かな店で大きな声でしゃべったり、かわいがられているからといって客先の上司にタメ口を聞いたりする女性を、「無神経」だと感じます。気に障る場所がちがうので、「デリカシーがない」と感じるのはお互いさま、というわけですね。

●男のデリカシーに欠ける発言は、パートナーに対する「一体感」から

また、「太った」「老けた」のような発言が、夫や彼氏の口から出たとしても、悪気があったり、意味があるわけではありません。というのも、男性脳は、太ったから、老けたからと言って、妻(彼女)を再評価しないからです。一度「チームの一員」と認めたらそれが絶対、と言うのが男性脳なので、「細い(若い)から好きだけど、最近太った(老けた)から嫌い」といった再評価を、基本しないのです。

たとえば、腕が太くなったからといって、自分の腕を捨てようと思わないですよね? それと一緒で、男性は、パートナーを「自分の身体の一部」のように認知しているのです。

妻の下腹を見て、「ちょっと太ったかな」とうっかり言ってしまうのは、自分の下腹を見て、「ちょっと太ったかな」と口に出すのと同じ感覚なのです。女性にしたらその一言にむっとするかもしれませんが、これは愛情の証しですので、「お互いさまね」と笑って気にしないことです。

ただし、パートナーでもなんでもないのに、女性に向かって「なんか太った?」「老けたね~」なんて言う男性はいただけません。頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出すのは、本来女性脳の仕事です。頭に浮かんだからといって、言っても利がない上に、リスクが高いこうしたセリフを口に出す男性は、「優秀な男性脳」の持ち主ではないので、相手にしないほうがいいでしょう。

●女性特有「オチ(問題提起)のない会話」が原因?

さて、「男はデリカシーがない」と感じる理由について、①男女で「無神経」と感じることがちがう②パートナーに対する「一体感」から男は思ったことを口にしてしまう、の2点を説明してきました。しかしそのほかにも、女性特有の「オチ(問題提起)のない会話」が原因となり、男性にデリカシーにかける発言を誘発している場合もあります。

連載6回目でもお話ししましたが、男性脳は本来、ゴール指向型(結果重視、プロセスは最短であることを好む)です。成果を出さない会話は、基本しません。たとえば、女性は、「転びそうになったけど、転ばなかった」話をしますよね? しかしそういった会話は、男性には意味がわからないのです。

<男性には理解しがたい女性の会話例>
女子「今朝、駅の階段でつんのめって、落ちそうになったの」
男子「え、落ちたの!?」
女子「ううん」
男子「????」(何が言いたいの?)

といった具合で、男性の頭の中はハテナで一杯になります。一方女性同士であれば、「共感」しながら「共通の知恵」を得て会話が着地します。

<男性には理解しがたい会話を女性同士でした場合>
女子1「今朝、駅の階段でつんのめって、落ちそうになったの」
女子2「あるある。怖いよねぇ」
女子3「あ~、その靴みたいに、先のとがったエナメルのパンプスって、階段の滑り止めに引っかかるんだよね」
女子2「そうそう!」
女子全員「気をつけなきゃねぇ」

男性脳は常に、「問題解決」をしようとする脳。こちらが自分に起きた出来事を語ると、「問題はなにか」を探ろうとします。そこで男性相手に「体験話」を話すときは、「何が言いたいの?」「結論から言ってくれない?」と男性に言われてムカつく前に、最後に質問を付けるかたち「質問形式」にして、会話を弾ませましょう。先ほどの例でいうなら、こんなふうにいってみてください。

<体験話を質問形式で聞く場合>
「今朝、駅の階段でつんのめって、落ちそうになったんだけどさ~、階段の滑り止めって、かえって危なくない? 女子のハイヒールは意外に引っかかるんだよ。男子は大丈夫なの?」

今朝見た夢の話をしたいときは、「今朝、こんな夢見たんだよね」と放り投げるのではなく、「あなたは夢を見るほう?」と質問をくっつけましょう。そうすれば、会話に乗ってくるはずです。

というわけで、女性が会話において、「男はデリカシーがない」と感じるのは、「放り投げ」の会話をしているせいもあります。オチのない体験談に、「問題解決型」の男性脳は、どう絡んでいいかわからず、考えた結果、テキトーに返事をするのです。男性なりにがんばっているのですが、女性同士で話すときのように会話は盛り上がらないので、女性には不満が溜まるというわけです。

返事は上の空、あげく「君もこうすればいいのに」なんていう説教(彼にしてみれば得意の問題解決)で、話の腰を折る……。それが男性脳の会話術です。そこで男性との会話を盛り上げたい場合は「質問を交えた楽しい話」で会話を回してみてください。

<女性がとるべき行動>
・男女で「無神経」と感じることがちがうと理解する
・パートナーに対する「一体感」から男は思ったことを口にしてしまうので、デリカシーのないことを言われても、「お互いさまね」と笑顔で乗り切る
・男性に会話を振る際は、“質問”をくっつける

<NG行動>
・秩序を乱すような言動に気をつける(例 電車内で大声で話す。仲のいい上司にため口を聞くなど)
・質問のない体験話を振る

(文/黒川伊保子 イラスト/地獄カレー)

次回の「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?~男女脳はこんなに違う~」は、5/30(月)更新予定です。お楽しみに!

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※この記事は2016年05月23日に公開されたものです

黒川伊保子

脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。「市場の気分」を読み解く感性マーケティングの実践者であり、「男女脳の気分」を読み解く男女脳論の専門家、「ことばが脳にもたらす気分」を読み解く語感分析の専門家でもある。人工知能(AI)エンジニアを経て、2003年、世界初の語感分析法サブリミナル・インプレッション導出法を発表、独自の感性分析術が注目を浴び、感性研究の第一人者となる。

脳の研究からくりだされる男女脳の可笑しくも哀しいすれ違いを描いた随筆や恋愛論、脳機能から見た子育て指南本、語感の秘密を紐解く著書が人気を博し、日本テレビ「世界一受けたい授業」をはじめ、フジテレビ「さんまのホンマでっか!? TV」など、TVやラジオ、雑誌で活躍。

近著に「恋愛脳」、「キレる女 懲りない男」、「英雄の書」などがある。

株式会社感性リサーチ
http://www.kansei-research.com/

オフィシャルサイト
http://www.ihoko.com/

『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書) 著書コメント:「女性脳のトリセツ完全版。彼氏に「私のトリセツ」と贈ってほしい。きっと優しくなります」

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『アンドロイドレディのキスは甘いのか』(河出書房) 著書コメント:「人工知能と人類の付き合い方を説いた一冊。女性AI研究者が見つめてきたAIの真実」

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