お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「ご指示ください」は正しい敬語? 意味・例文・言い換え表現・類語を解説

にほんご倶楽部

ビジネスシーンでよく見聞きする「ご指示ください」というフレーズ。上司など目上の相手にも使用できる正しい敬語表現なのでしょうか? 今回は「ご指示ください」の意味や使い方、言い換え表現を例文と併せて紹介します。

「ご指示ください」は、指示を出してほしい時に用いる依頼の言葉です。

ビジネスシーンで使う場合は、上司や取引先の人が不快になるような使い方になっていないか不安になることもあるのではないでしょうか。

そこで今回は、「ご指示ください」の意味やシーン別の使い方、例文、言い換え表現などについて解説します。ぜひ参考にしてください。

「ご指示ください」の意味

まずは、「ご指示ください」という言葉の意味を見ていきましょう。

しじ【指示】

[名](スル)
(2)さしずすること。命令。「―に従う」「―を与える」「部下に―する」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「指示」とは、指図や命令を意味する言葉です。

つまり、「ご指示ください」とは、上司や目上の人に対して「命令してください」といったニュアンスを伝えていることになります

「ご指示ください」は正しい敬語? 上司にも使える?

結論から述べると、「ご指示ください」は正しい敬語表現です。

「ご指示」の「ご」は尊敬の意を含む接頭辞で、「ください」は命令形「くれ」の尊敬語にあたります。そのため、文法上は敬語として十分使用できるでしょう。

特に、関係が構築されている親しい上司に対して用いるのであれば、おおむね問題ありません。

しかし、このフレーズは命令文でもあるので、普段あまり関わりのない目上の相手に使うのは好ましいとはいえないでしょう。

そのため、状況に応じて「お忙いところ恐縮ですが」といったクッション言葉を用いたり、「ご連絡いただけますと幸いです」のように言い換えたりするのがおすすめです。

「ご指示ください」の使い方と注意点

「ご指示ください」は、上司や目上の人に向かって、今後どうすべきか指示を仰ぐ言葉として使うことができます

具体的なシーンとしては、全く経験したことのない業務に手を付ける時や、プロジェクトの方向性について改めて意見を求めたい時などです。

実際に使う場合は、前置きとして「~について」「~の件で」などを用いて、何の指示を求めているのか明らかにすると良いでしょう。そうすることで、相手に余計な時間を取らせずに済みます。

元は命令形であるということを忘れない

「ご指示ください」は、使用する相手を選ぶフレーズです。「ご〜ください」という言い回しは総じて、「ください」がどうしても強い口調に感じられてしまいます。

敬語であっても元々は命令形であるため、上から目線な物言いと捉えられてしまう可能性があるのです。

先述の通り、基本的には親しい間柄の上司であれば「ご指示ください」で問題ありませんが、相手の価値観や年齢、立場などを見極めた上で判断しましょう

あまり接点のない目上の相手に指示を仰ぎたい時は、より丁寧な表現に言い換えるのがおすすめです。

「ご指示ください」の丁寧な言い換え表現

ここからは、「ご指示ください」の丁寧な表現をいくつか紹介します。

(1)「ご指示いただきたく存じます」

「ご指示いただきたく存じます」は、直訳すると「指示してもらいたいと思います」という意味です。

「いただきたく」は「もらう」の謙譲語、「存じます」は「思う」の謙譲語に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現のため、十分丁寧な言い回しといえるでしょう。

目上の人に対して指示を仰ぐ時の言葉選びの候補にしてみてください。

(2)「ご指示いただければ幸いです」

できるだけへり下った表現にしたい時は、「ご指示いただければ幸いです」に言い換えるのがおすすめ

「ください」を「幸いです」とすることで、そうしてもらえるとうれしいといった意味合いになります。

強制感が薄れ、柔らかな言い回しになるので、目上の相手に依頼するのにおすすめの表現といえるでしょう。

(3)「ご指示いただきますようお願い申し上げます」

「ご指示ください」の命令口調を和らげた言葉が「ご指示いただきますようお願い申し上げます」です。

謙譲表現である「お願い申し上げます」を使うことで、より丁寧な印象を与えられます。

一見すると、回りくどい言い回しのように感じるかもしれませんが、正しい敬語です。特に敬意を示したい相手にはこの表現を使うのが理想的でしょう。

「ご指示ください」の類語

ここからは「ご指示ください」と同じ意味合いを持つ類語を紹介します。ビジネスシーンでのコミュニケーションを円滑にするためにも、ぜひ参考にしてみてください。

(1)「ご教示ください」

「教示」とは、知識や方法を教え示すという意味を持つ言葉で、何か分からないことがある時や確認事項がある時におすすめの表現です。

やや堅苦しさを感じさせるフレーズでもあるため、会話の中で使うよりもメールや手紙などで用いる方が好ましいでしょう。

(2)「お申し付けください」

「お申し付けください」は、何か要望があれば何なりと言ってほしいという意味が込められた言葉です。

取引先の相手やお客さまに対して、「必要なものがあれば遠慮なく言ってください」といった、「命令してほしい」の意味に近い言葉といえます。

「ご指示ください」は使う相手を見定めることが大事

「ご指示ください」は、親しい上司に指示を仰ぎたい時に使用可能なフレーズです。

ここまで見てきたように、文法的には正しい敬語でも、元が命令形であれば使い方に注意が必要だということが分かりましたね。

人それぞれ感じ方は違いますが、相手と自分との関係性やその場の状況に応じて言い回しを変えることをおすすめします。

目上の人に教えてもらう、相談に乗ってもらうといった時に、敬語をうまく使えていると、その後のあなたの印象も良くなるはずですよ。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年11月22日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

この著者の記事一覧 

SHARE