「立ち会い」と「立ち合い」の違いとは? 意味と使い分け方を例文で解説
「立ち会い」と「立ち合い」は、どちらも同じく「たちあい」と読む同音異義語です。ビジネスメールなどで表記する際に、どちらが正しいか悩む人は少なくないでしょう。今回は「立ち会い」と「立ち合い」それぞれの意味と違いを詳しく解説します。
現場での確認や出産の話題など、ビジネスシーンでも事あるごとに使う機会が出てくるのが「たちあい」という言葉です。
聞きなじみのある言葉ですが、いざメールや手紙に書こうとすると、「立ち会い」と「立ち合い」の表記で迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、「立ち会い」と「立ち合い」の違いをひも解いていきます。正しく使い分けをして、スマートなビジネスコミュニケーションに役立ててくださいね。
「立ち会い」と「立ち合い」の違いとは
「立ち会い」と「立ち合い」は、同じく「たちあい」と読む同音異義語として知られています。
人と人とが関わるという観点では同じですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの意味をチェックした上で、違いをひも解いていきましょう。
「立ち会い」はその場で見守ることを意味する
まず、「立ち会い」から見ていきましょう。「立ち会い」は、動詞の「立ち会う」を連用形にしたもので、次のような意味があります。
1 その場にいて物事の成り行きや結果を見守ること。また、その人。「関係者の―を求める」
2 取引所で、会員が集まって売買を行うこと。「後場の―」出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
「立ち会い」には、その場で物事の成り行き・結果を見守るという意味があります。
「会う」には「同じ場所にいる」という意味が含まれており、「立会人」とすると「その場に居合わせる人」もしくは「同席する人」という意味も持つと分かりました。
また、2の意味の通り、「立ち会い」には、証券取引所で会員が集まり売買することを指す意味もあります。現在、取引は主にコンピューターで行われていますが、かつては取引所で直接売買が行われていたことから、その言葉だけが残っているようです。
「立ち合い」は向かい合って勝負することを意味する
次に、「立ち合い」をチェックしてみましょう。こちらも「立ち合う」という動詞を連用形に直した形で、意味は以下の通りです。
1 双方から出て向かい合うこと。また、出あって勝負を争うこと。試合。「真剣での―」
2 相撲で、両力士が仕切りから立ち上がる瞬間の動作。「―から一気に押し出す」
3 田楽・猿楽などで、競演すること。同じ曲を数人が舞う場合と、別曲を一番ずつ舞う場合とがあった。
4 江戸幕府の評定所の定日会合の一。寺社・町・勘定の三奉行のほか、大目付・目付が出席し、評議する。出典:(『デジタル大辞泉』小学館)
「立ち合い」には、細かく見ると4つの意味があります。中でも一般的なのが、1の双方が向かい合って勝負するという意味です。主に相撲用語として用いられており、力士が試合を行うこと、また立ち上がりの瞬間を指す言葉として知られています。
また、相撲のみならず、田楽や猿楽などでの演技を競う表現として用いられる言葉です。さらに、江戸時代にあった、いわゆる裁判所・評定所の定期会合を表す意味もあります。
ビジネスシーンで用いられるのは「立ち会い」
「立ち会い」と「立ち合い」は一見すると同じように思えますが、詳しく見てみると全く異なる意味合いであると分かりました。「立ち会い」はその場に居合わせる・同席する、そして「立ち合う」は双方が勝負することを意味します。
言い換えると、「立ち合う」は、勝負や試合をするシーンにしか適していません。その他の、人と人とが関係することを表す時は「立ち会い」を用いるのが適切です。ビジネスシーンにおいて使われるのは、主に「立ち会い」と覚えておいて良いでしょう。
▶次のページでは、「立ち会い」のビジネスシーンにおける使い方を例文と共にご紹介していきます。