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「お礼をお伝えください」は敬語? 意味や言い換え表現を解説【例文付き】

にほんご倶楽部

「お礼をお伝えください」は、ビジネスシーンでよく用いられる表現です。しかし、場合によっては命令しているような印象を与えてしまう可能性があるのだとか。今回は、「お礼をお伝えください」の意味や使い方、言い換え表現について解説します。

 

「お礼をお伝えください」は、第三者にお礼の気持ちを伝えてもらう時のお願いの表現です。

何らかの事情があって相手に直接感謝を述べることができない場合や、メールや電話の締めのあいさつとしても使うことがあります。

今回は、「お礼をお伝えください」の意味や使い方を解説します。また、使用する際の注意点もまとめているのでぜひ参考にしてください。

「お礼をお伝えください」の意味

「お礼をお伝えください」は、特定の人やその周囲に感謝の気持ちを伝えてほしいとお願いする時の表現です。

「伝える」には以下のような意味があります。

つたえる【伝える】

1. 言葉などで知らせる。伝達する。「電話で用件を―・える」「大統領選の速報を外電が―・える」「皆さんにもよろしく―・えて下さい」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

ここでの「伝える」は伝達するという意味で、何かに必要な情報を広めていく時に使います。

つまり、「お礼をお伝えください」は、第三者に感謝の気持ちを伝えてほしいという気持ちを表現するフレーズといえるでしょう。

「お礼をお伝えください」は敬語として使える?

「お礼をお伝えください」は、「伝えてくれ」を意味する尊敬語である「お伝えください」を用いているため、敬語として使用可能です。

しかし、上司など目上の人に用いる場合は、命令しているように捉えられてしまう可能性も。使用する際は、相手や状況を見極めることが大事なポイントといえるでしょう。

「お礼をお伝えください」の使い方【例文付き】

「お礼をお伝えください」は、基本的に直接お礼を言いたいけれどそれがかなわない場合や、広い範囲でお礼を伝えたい時に、代わりに話している人へ依頼する形で使用します。

特定の相手に感謝を伝えてほしい時は、はっきりと「〇〇さんにもお礼をお伝えください」と名指しでお願いをしましょう。

例文は以下の通りです。

例文

「本日は誠にありがとうございました。皆さまにもお礼をお伝えください」

「〇〇さんに会いましたら、お礼をお伝えください」

「ご不在とのことでしたので、お手数ですが〇〇さんにお礼をお伝えください」

「お礼をお伝えください」をビジネスシーンで使う時の注意点

ここからは、「お礼をお伝えください」を使う上で、注意すべきポイントを紹介します。相手やシーンに合わせて、正しく活用していきましょう。

(1)上司に使うのは控える

上司に対して「お礼をお伝えください」とお願いすることは、部下から命令する形になってしまうため避けるのがベター。

時と場合にもよりますが、目上の人へ使用すると失礼にあたる表現になってしまう可能性があります。

上司を通じて他者にお礼を伝えてほしいと依頼するのは、できるだけ控えた方が良いでしょう

(2)命令形にならないように気を付ける

「お礼をお伝えください」は、敬語ではありますが「してください」という命令形の表現でもあります。そのため、相手によっては不快な気持ちになってしまう可能性も。

必要に応じて「お礼を伝えてくださいませんか?」「お礼をお伝えいただけますでしょうか?」といった、可能であればしてほしいという気持ちを込めた表現に変えましょう

(3)自分から直接お礼を伝えるのが理想的

「お礼をお伝えください」を用いることで第三者に感謝を伝えることができますが、本来は自分で直接伝えることが一番です。

いつも間接的に述べるだけでは、なかなか本当の気持ちが伝わりづらいもの。そのため、毎回のように誰かを通じて感謝する形は控えましょう。

何らかの理由でどうしても直接お礼を伝えられない場合にのみ、「お礼をお伝えください」と述べるのが正しい使い方といえます。

「お礼をお伝えください」の言い換え表現

「お礼をお伝えください」は、言い換え表現を用いることで上司や目上の人にも使いやすい言葉に変わります。状況に合わせて適切なフレーズを判断しながら、ビジネスシーンで役立てていきましょう。

ここでは「お礼をお伝えください」に代わる、2つの言い換え表現を紹介します。

(1)「お礼をお伝えいただけますと幸いです」

できるだけへり下った表現にしたい時は、「お礼をお伝えいただけますと幸いです」に変えましょう

「ください」を「幸いです」とすることで、できれば感謝を伝えてもらえるとうれしいといった意味合いになります。

特に、ビジネスメールで使いやすい表現で、結びのあいさつとして取り入れることでシンプルに「よろしくお願いします」と述べるよりも、相手や周囲への感謝と気遣いの気持ちが伝わりやすくなるでしょう。

(2)「よろしくお伝えください」

「よろしくお伝えください」は、第三者に自分の好意を伝えてほしい場合や、お礼などの感謝の気持ちを周りに知らせてほしい時に使います

「よろしく」は形容詞の「よろし」であり、「ちょうど良い具合に」という意味の言葉です。つまり、「よろしいようにお伝えください」とお願いする表現といえます。

例えば、相手に感謝の気持ちを伝えた後に、その知り合いや家族に対して、自分のことを伝えておいてほしいといった意味合いで「よろしくお伝えください」を用いることができます。

はっきりとお礼を伝えたい相手がいるのではなく、あいさつとして使いたい時に便利な表現です。

「お礼をお伝えください」は第三者に感謝を伝えたい時の言葉

「お礼をお伝えください」は、普段お世話になっている人にしばらく会えていない時や、何らかの理由で直接対面できない第三者にお礼を伝えてほしいとお願いする時に使います。

ビジネスシーンではよく用いられる表現ですが、場合によっては命令しているような印象を与えてしまう可能性があるので使用する際は気を付けましょう。

自分で直接お礼を伝えるのが理想的ですが、状況に合わせて「お礼をお伝えください」を用いて、コミュニケーションに役立てていってくださいね。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年10月24日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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