「ご都合のよろしい時に」は正しい敬語? ビジネスで使える言い換え表現を紹介
「ご都合のよろしい時に」は、ビジネスシーンで耳にする機会も多いでしょう。しかし、これは二重敬語であり、できれば使用は避けるのがベター。本記事では、「ご都合のよろしい時に」が使われがちなシーンや言い換え表現を紹介します。
「ご都合のよろしい時に」は、ビジネスシーンで相手に何か依頼をする時によく耳にするフレーズです。
気遣う気持ちを表現できるため、使用する機会も多いと思いますが、正しく使えていますか?
今回は、「ご都合のよろしい時に」の意味や正しい敬語なのかを解説。併せて言い換え表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「ご都合のよろしい時に」の意味
まずは、「ご都合のよろしい時に」の意味について見ていきましょう。
「ご都合」は「都合」を丁寧にする「ご」をつけたもので、以下のような意味があります。
つごう【都合】
1.何かをするときにほかの物事に影響を及ぼす事情。わけ。「一身上の―により退職いたします」
2.ぐあいがよいか悪いかということ。「今日はちょっと―が悪い」
3.やりくりをすること。繰りあわせること。
(ア)予定を調整すること。「なんとか―をつけて出席しましょう」
(イ)金銭を融通すること。「期日までに資金を―する」
4.(副詞的に用いて)すべて合わせて。合計。「―5人が参加する」(出典:『デジタル大辞泉』小学館)
ビジネスシーンで「ご都合のよろしい時に」の言葉を使う場合は、(1)の「何かをするときにほかの物事に影響を及ぼす事情」の意味にあたります。
「よろしい」は「よい」の丁寧な表現で、「時」は「月日が移り変わるその間の一点」という意味合いです。
つまり、「ご都合のよろしい時に」は、相手に対して「何らかの事情がよい時、時間に……」というような意味で、何かを依頼する時や確認する時に使用されることが多いといえるでしょう。
「ご都合のよろしい時に」が使われるシーン【例文付き】
ここからは、「ご都合のよろしい時に」が使われるシーンを例文と共に紹介します。
社内で使う場合
社内では上司や先輩に何か依頼をする時に「ご都合のよろしい時に」が使用される場面を多く見掛けます。
自分都合ではなく「相手のペースで確認してほしい」という気遣いを見せることができるフレーズとして使われているようです。
「ご都合のよろしい時に、資料を確認していただけますでしょうか」
「○○さんからの伝言で、部長のご都合のよろしい時に、メールを確認してほしいとのことです」
社外で使う場合
社内でのコミュニケーションだけでなく、以下のような形で取引先の相手やお店のお客さまにも使用される場面があります。
「お忙しいところ恐れ入りますが、ご都合のよろしい時にメールの確認をしていただけますと幸いです」
「ご都合のよろしい時にお越しください。○○様のご来店を心よりお待ちしております」
「ご都合のよろしい時に」は正しい敬語? 目上の人にも使える?
社内外問わずよく耳にする「ご都合のよろしい時に」ですが、実は「ご都合」と「よろしい」の2つの丁寧表現が重なっている「二重敬語」とされ、本来は正しい敬語とはいえません。
広く認識されている表現なため、多くの場合で使用されていますが、中には敬語に対して厳しい人もいるので、このフレーズは使わない方がベターでしょう。
「ご都合よろしい時に」の言い換え表現
では、「ご都合のよろしい時に」はどのように言い換えられるのでしょうか。類似表現を4つ紹介しますので、ぜひ覚えて使ってみてください。
(1)「ご都合のよい時に」
「ご都合のよろしい時に」の「よろしい」を「よい」と言い換えるだけで、二重敬語を解消することができます。
「相手の都合のよいタイミングで対応してほしい」という気持ちを表現したい時は、こちらを使うとよいでしょう。
(2)「差し支えなければ」
「差し支えなければ」は、「都合が悪くなければ」という意味を表す言葉です。
「あなたの事情次第で決めてもらって構わない」という、相手への気遣いを示しながら判断を委ねることができます。
例えば、「差し支えなければ、あなたの気持ちを聞かせてください」のように、相手の都合や感情を優先できるフレーズです。
(3)「可能であれば」
「可能であれば」には、「もしその見込みがあるなら」という意味が込められており、「あなたができるならお願いしたい」ということを伝えられます。
しかし、相手が「できない」と判断した場合には対応してもらえないので、使用シーンには注意が必要かもしれません。
(4)「面倒でなければ」
少々手間の掛かる依頼をする時に、相手のことを考慮している気持ちを表現できるのが「面倒でなければ」です。
これ自体は敬語ではないので、目上の人に使う場合には「面倒でないようでしたら」や「ご面倒でなければ」とする必要があります。
「ご都合のよろしい時に」は別のフレーズに言い換えるのが好ましい
仕事をしていると、忙しいタイミングは人それぞれ異なるでしょう。しかし、業務を進める上でお願いしなければいけないことはたくさんありますよね。
そんな時に相手の事情を気遣いながら返答を求めることができるフレーズとして、「ご都合のよろしい時に」が使われることが多いようです。
しかし、実際は二重敬語なので文法的には間違った表現といえます。
よく耳にするフレーズなのでなんとなく使っている人も多いと思いますが、今回紹介した言い換え表現をマスターして正しい敬語を使えるようになってくださいね。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年10月16日に公開されたものです