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「言ってください」は敬語? お客様や上司などビジネスシーンでの正しい使い方とは

岩下宣子(現代礼法研究所代表)

お客様や上司に「遠慮なく言ってください」「もう一度言ってください」と言いたい時、この表現が正しい敬語なのかどうか悩んだことはありませんか? 今回はビジネスシーンでの「言ってください」の使い方や言い換え表現について現代礼法研究所の岩下宣子さんに教えてもらいます。

上司や目上の方からの要望をお聞きしたい時に、「遠慮なく言ってください」「何かあれば言ってください」といった言葉を使うのは失礼にあたるのでしょうか。

今回は、「言ってください」をビジネスシーンで使用する時の正しい敬語表現を解説します。目上の方や上司に不快な印象を与えないように使い方をしっかり理解しましょう。

「言ってください」の意味と使い方。上司や目上の人に使ってもいい?

「言ってください」は、主に相手の要望を聞き出す時に使用する言葉です。

「ください」という丁寧な表現が付いていますが、「言う」の敬語は「おっしゃる」ですので、「言ってください」は上司や目上の方に使うのには適していません。

例えば、あなたがレストランにお客様として行ったとします。お店の人から「何かありましたら言ってください」と言われたら、違和感がありませんか。敬ってもらっている感じがしませんし、言い方によってはきつい印象を受けるかもしれません。

ですので、目上の相手に「言ってください」という言葉を使う時は、きちんとした敬語表現を使用するようにしましょう。

「言ってください」の正しい敬語表現

「言ってください」を敬語で使用する場合は、「おっしゃってください」もしくは「お申し付けください」という言葉が挙げられます。

それぞれの使い方を例文と共に見ていきましょう。

「おっしゃってください」

「言う」の尊敬語である「おっしゃる」を使用したのが、「おっしゃってください」です。具体的な使い方として以下のようなものがあります。

「ご遠慮なくおっしゃってください」

「私にできることがあればおっしゃってください」

「何かありましたらおっしゃってください」

「おっしゃってください」の「ください」は命令形でもあるので、目上の方に使う場合は「おっしゃっていただけますか」「おっしゃってくださいますか」などの疑問形で話した方がより良いでしょう。

「お申し付けください」

「言ってください」の敬語表現として、「お申し付けください」と言い換える方法もあります。

「お申し付けください」は、命令するという意味を持つ「言い付ける」の謙譲表現と尊敬語の「ください」からなる言葉です。

「お申し付けください」の例文としては以下のようなものがあります。

「遠慮なさらずにお申し付けください」

「お気軽にお申し付けください」

「何なりとお申し付けください」

「お申し付けください」は命令するという意味を持つため、少々堅苦しい表現ともいえます。ですので、よく顔を合わせる上司や親しい先輩などに使う言葉というよりも、お客様など社外の方に対して使用するのが適しているでしょう。

相手との関係性によって「おっしゃってください」と「お申し付けください」を使い分けるのがおすすめですよ。

「言ってください」の類似表現

「言ってください」の類似表現に「お問い合わせください」があります。

これは、お客様により詳しい内容を説明するために誘導する時など、ビジネスシーンでよく使われる表現です。また、取引先の方に他部署や他の窓口を案内する時にも使用できるでしょう。

「お問い合わせください」の例文としては以下のようなものがあります。

「電話かメールでお問い合わせください」

「恐れ入りますが、今から申し上げる番号にお問い合わせください」

言葉だけでなく「心の敬語」も大切

いくら敬語が上手に使えても、そこに相手を「敬う心」が伴っていなければ、相手を敬遠する言葉になってしまう可能性があります。

会話中のあなたのしぐさは、相手にしっかり見られています。丁寧な言葉で話しているにもかかわらず、相手があなたを失礼だと感じたり、不愉快に思ったりしたら、それはあなたの態度に冷たさを感じるからかもしれません。

敬語を使って話す時は「相手の目をきちんと見て話す」など、「心の敬語」にも気を配るようにしてくださいね。

(岩下宣子)

※画像はイメージです

※この記事は2023年08月29日に公開されたものです

岩下宣子(現代礼法研究所代表)

共立女子短期大学卒業。キッコーマン入社。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流小笠原清信氏に師事しでマナーを、お茶の水女子大学の森下はるみ教授より動作学を学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。マナーデザインとして、企業、学校、商工会議所、公共団体などでマナー指導、研修、講演と執筆活動を行う。

現代礼法研究所 http://www.gendai-reihou.com

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