お金の管理ができない人の特徴と対策法をFPが解説
あなたは収支バランスを意識してお金を使うことができていますか? 家計管理が苦手な人には特徴があるようです。今回は、お金の管理ができない人の特徴と対策について、ファイナンシャルプランナーの西田順子さんに解説してもらいます。
「お金の管理ができない」と日々感じてらっしゃる人は比較的多いのではないのでしょうか?
お金と上手に付き合っていくために大切なのは、何にいくら使っているのかを把握することと、そもそも何のために管理をしなければいけないのか目的意識を持つことです。
今回は、お金を管理するための対策法を考えていきましょう。
お金の管理ができない人の特徴と原因
まずはお金の管理ができない人の特徴と原因についてみていきます。
(1)収入と支出がどれぐらいか分かっていない
自分自身や家族の家計の収支をきちんと把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。
特に近年はキャッシュレス化が進み、クレジットカードや電子マネー決済など現金を使わずに買い物をする人も増えてきていると思います。
現金とは違い、お財布に入っているお金が目に見えて減っていくわけではないので、安易に使いすぎてしまったという経験は誰しもあるでしょう。
しかし、現状のキャッシュレス化の流れを全く無視して現金のみしか使わないというのも難しいですし、クレジットカードや電子マネー決済のポイントを効果的に活用することで節約していけるのも事実です。
収支をきちんと把握するようにして、自分に合った方法でお金との付き合い方を考えていきましょう。
(2)無駄遣いが多い
「コンビニに行ったついでに、ついいろいろ買ってしまった」「ちょっとデパートでブラブラしていたら、安さにつられて衝動買いしてしまった」
これはあるあるではないでしょうか。
しかし、つい買ってしまったものでも自分の満足感につながるのであれば、それは無駄遣いではなく、今の楽しみや充実のために必要だと思うのです。
相談者から「自分は無駄遣いが多いんです」という悩みもよく聞きますが、罪悪感を抱きすぎてしまうのも良くないでしょう。「これは自分の幸せのために買ったものだ!」と心の仕訳ができれば、浪費も減らせるかもしれません。
今から使うお金は、自分の幸せや生活の充実のためなのか考える癖をつけてみましょう。そうすることで後々罪悪感を抱くシーンも少なくなり、自分の心にも余裕が持てるはずですよ。
(3)自分に合ったお金の管理方法を見つけられていない
以前の筆者は、手書きの家計簿をつけて毎月四苦八苦していました。細々とした明細を手で書いていくのは振り返りに良い反面、時間や労力がかかりますよね。
家計簿をつけることで大事なのは、お金の流れを把握するために、何にいくら使ったか見直しをすることです。
日々の忙しい生活の中で手書きの家計簿をつけようとすると、収支を合わせることに必死になってしまい、肝心な振り返りまでする余力がない人もいるのではないでしょうか。
家計管理がストレスにとなってしまわないように、自分に合った方法を見つけて「今月は食費が多いな。なんでだろう?」と見直す習慣をつけたいものです。
お金を管理するおすすめの方法
お金を管理するためにまず必要なことは、自分に合った方法を考えること。継続していくためには、ストレスなく続けられるのが一番です。
ここからは、おすすめの管理方法をいくつか紹介しますので、どれが自分に合うのか探してみてください。
(1)家計簿や家計簿アプリを使う
手で書くことによって考えが整理できるという人には、家計簿がおすすめです。
1カ月分を月末にまとめてつけるというのは一度の手間がかかりすぎてしまったり、収支が合わなくなってしまったりということが起こりやすいので、「毎週日曜日に家計簿をつける」など、ルーティン化して実行すると良いでしょう。
一方、手書きは面倒とか毎週時間を確保するのは難しいなんて人には、家計簿アプリがおすすめです。
最近はクレジットカードや銀行のカードキャッシュレス決済と紐づけされているアプリが出てきています。また、レシートの写真を撮ると自動で読み取ってくれる機能もあるので、入力の手間がなくなり、楽に家計簿をつけることができるでしょう。
中でもマネーフォワードの家計管理アプリは、連携できる金融機関が多く、入力の手間が省ける上に、画面構成も分かりやすいのでおすすめです。
有料版にすると1年以上前のデータを振り返ることができますので、以前と比べて今の家計がどうなっているかを確認することが可能になります。
月額500円の負担はありますが、年単位で家計の流れや資産推移の分析をしたい人には特におすすめでしょう。
ただし、家計管理アプリのデメリットとしては自動入力ができるために、一つ一つのお買い物を振り返るという部分については向いていません。きちんと個々の出費も把握しつつ全体の分析も行いたい人は、手書きとアプリの併用も良いかもしれません。
(2)予算を設定する
家計の管理をするためには予算を設定するのも有効です。例えば、食費・交際費・交通費など項目ごとに分けると、より細分化できて良いでしょう。
ただ、よくありがちなのは、家計の圧縮に目を向けすぎて実現不可能なものだったり、ストレスになったりしてしまうのは考えものです。
まずは1カ月でどの項目にいくら使っているのかを把握して、無理なく続けられる金額を設定することを意識してみてください。
電子マネーに関しては、月に一度もしくは週に一度の頻度で設定額を入金するようにすると簡単に予算設定ができるようになりますよ。
(3)クレジットカードの利用を見直す
クレジットカードは、決済と支払いのタイミングが違うために収支の把握がしづらいのが難点です。
このタイムラグを解消するためには、クレジットカードの利用状況を定期的に確認し、利用した分のお金をクレジットカードの引き落とし口座に入金するなどの対応をすると良いでしょう。
クレジットカードの利用上限額を自身で設定することで、無駄遣いを減らすことにもつながりますよ。
(4)口座を使い分ける
お金の管理ができない人の一例として、1つの銀行口座しか持っていない場合があります。同じ口座で支払いや貯金をする仕組みだと、どうしてもお金はたまりづらいでしょう。
効果的に管理をするためには、まず給与口座と別に貯金用口座(つみたてNISAなどの資産運用口座でも可)を作ってください。そして、毎月一定金額を自動引き落としで貯金していくような仕組みにすることで、自然とお金がたまっていくでしょう。
裏を返せば、その貯金用以外のお金は使ってもいいんだという安心感にもつながります。
(5)現金を利用する
お金の流れを現状全く把握できていないけれど、これから管理していきたいという人は、全てを現金支払いにして見える化させるのもおすすめです。
月初めに食費・交際費・交通費など項目ごと封筒に予算額を分けると、仕訳が簡単にできて可視化しやすいでしょう。買い物をしたらレシートも一緒にまとめるようにすれば、使用額の振り返りにも役立ちます。
まず家計の流れを知ってみたいという人は、一旦全てを現金支払いにしてみて今後の管理方法を模索してみてはいかがでしょうか。
まずはできることから始めてみよう
お金の管理をするために有効と思われる方法をいくつか述べてきましたが、一番大切なのは将来的に自分が必要とする金額を把握し、計画的にためる・増やす仕組み作りをすることです。
無駄遣いをしてしまって家計管理ができないという人は、まず何のためにお金を管理したいのか目的意識を持つことから始めましょう。
(西田順子)
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※この記事は2023年07月21日に公開されたものです