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長生きしたくないと思う心理とは? 理由や対処法について解説

帆南 尚美(心理カウンセラー)

あなたは長生きしたいと思いますか? 世の中には病気やお金に対する不安や、迷惑を掛けたくないといった理由で「長生きしたくない」と思う人もいるようです。今回は、長生きすることのメリットなどについて、心理カウンセラーの帆南尚美さんに解説してもらいます。

世の中には、長生きをするために努力をする方もいれば、「別に長生きしたくない」と思う方もいるでしょう。

「長生きする」というのは将来の話のようですが、実はあなたの現在の状況と深く関係しているともいえるかもしれません。

今回は長生きをしたくないと思う方の心理や、その背景となり得る理由、そして長生きをした時のメリットについても見ていきましょう。

一般的に「長生き」と言われる年齢は何歳?

一般的に「長生き」とは、平均寿命やそれを超えて生きることだと感じる人が多いと思います。

厚生労働省発表の『令和3年簡易生命表の概況』によると、日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳ですので、この年齢を超えたら長生きだと考えて良いでしょう。

また、最近は「人生100年時代」とも言われていますので、今後は長生きと言われる年齢の定義もさらに伸びていくかもしれませんね。

長生きしたくないと思う心理

長生きをしたくないと感じる時の心理は人それぞれですが、なぜそう思うのか、代表的なものを8つ紹介します。

(1)周囲に迷惑を掛けたくない

長生きをするということは老いることでもあり、次第に健康で自立した生活が難しくなるかもしれません。

日々の暮らしの中で誰かの助けを必要とすることに対して「迷惑を掛ける」と考えてしまうような人の場合、申し訳ないという気持ちから、長生きしたくないと感じることがあるようです。^

(2)長生きすることのメリットが分からない

「長生きしたくない」と思う人の中には、年を重ねて見た目や体力などが衰えてまでも生きる利点を見いだせないという人もいるようです。

歳を取ると若い頃のようには仕事がバリバリできなくなる場合も多く、人としての価値が目減りするかのように感じてしまうのかもしれません。

(3)つらい人生を長引かせたくない

今の生活が仕事や対人のストレスなどで楽しくないとしたら、この先も生きている限り、きっとつらくてしんどいだろうと思うものではないでしょうか。

その結果、「長生きしたくない」という気持ちになってしまうこともあるかもしれません。

(4)長生きしてまでやりたいことがない

大好きな趣味や生きがいがあるわけでもなく、毎日を淡々と過ごしている方の中にも「長生きしたくない」と感じる方がいます。

仕事などの現役を引退し、お金や時間がある程度自由になったとしても、その後にやりたいことなどないと感じるのかもしれません。

(5)お金が心配

生きることは、それだけでもお金がかかることとも言えるでしょう。今でさえ家計が苦しいという場合や、将来的に金銭的に厳しくなるのではと心配するケースも考えられます。

(6)病気をしてまで長生きしたくない

年を重ねることで体が弱り、病気がちになる可能性があります。

医療費などの経済的負担や、人から助けを受けなければならないことなどを懸念すると、病気をしてまで長生きしたくないと思うかもしれません。 

(7)1人で生きていても仕方がない

独身者や家族と離れて暮らしている場合、長生きをしても寂しい老後が待っているだけだと感じる人もいるのではないでしょうか。

家族や友人に先立たれても悲しい思いをしたり、老後に孤独を味わったりするくらいなら、自分は長生きしたくないと感じることもあるのです。

(8)頑張りたくない

どうせ長生きするなら健康が良いと思う一方で、食事や運動などの生活習慣を管理するのは嫌だというケースもあるかもしれません。

食べたいものを食べられない、体型を維持するために筋トレをするなど、頑張ってまで長生きしたくないと思う人もいるのです。

長生きしたくないと思う理由

前述した長生きしたくないと思う心理の背景には、さまざまな不安を感じていることが考えられます。

(1)孤独な老後への不安

日本では核家族化や未婚率・離婚率の増加などから、一人暮らしの老人が地域社会から孤立するケースが取り沙汰されています。

自分の老後も孤独で寂しいものになるかもしれないという不安を感じると、長生きしたくないと思うかもしれません。

(2)経済的な不安

年金制度への不安や、貯蓄した老後資金が足りなくなるかもしれないなど、老後の生活に対する経済的な不安は多くの方がお持ちなのではないでしょうか。

長生きするほどに金銭的なリスクが増えるならば、年を取るのが怖いと感じるかもしれません。

(3)健康面での不安

加齢と共に、身体能力の低下や病気に対する不安も増えていくでしょう。

何でも自分のことは自分でやるべきだという自立的な考えを持っている人ほど、介護など人の手を借りることが嫌だと感じ、長生きしたくないと思うことがあるかもしれません。

長生きすることのメリットとは?

年を取ることは悪いことばかりではありません。長生きすることのメリットにも目を向けてみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

(1)さまざまなことにチャレンジできる

長生きするということは、それだけ多くの時間が手に入るともいえます。スポーツや趣味・仕事・旅行・恋愛など、多くのことにチャレンジするできる可能性が高くなるでしょう。

もちろん金銭的や体力などの制限はあるものの、それらの制限を悪と捉えるか、チャンスと捉えるか、物事をどう解釈するかで私たちの人生は大きく変わってくるのではないでしょうか。

(2)自分や他人に寛大になれるチャンス

私たちは歳を取ると、徐々に今までできたことができなくなり、自然と自分への期待が減ってくることがあります。

少しずつ「できない自分」を受け入れていくことで、自分や他人にも寛大になれるでしょう。

(3)自分らしく生きるチャレンジができる

私たちは普段からさまざまなしがらみを感じて生きています。

例えば、性別や学歴といった世間体もあれば、仕事や人間関係、もしくは自分自身に制限をつけていることも。

年齢を重ねるとそれらが徐々に気にならなくなる可能性が高く、「自分らしく生きること」にあらためてチャレンジできるかもしれません。

長生きしたくないと思った時の対処法

私たちが不安に苛まれるのは、意識が過去か未来に向いている時だと思います。長生きをしたくないと感じた時は、現在に意識を向けてみてはいかがでしょうか。

(1)趣味を見つける

私は、人の幸せはどれだけ自分以外のものに愛情や興味を向けられるかによって決まると思っています。

小さなことで構わないので、今のあなたが楽しめることから始めてみてはいかがでしょうか。

(2)人の役に立てる場所を見つける

誰しも人の役に立ちたいという思いを持っているでしょう。

仕事やボランティアなどで誰かの助けになっているという実感が持てれば、生きがいや自信につながり、長生きすることへの意欲が湧いてくるかもしれません。

(3)心から誰かを大切にする

家族や友達付き合い、ボランティアなど、心から誰かを大切にすると幸福感を抱きやすくなるといわれています。

周囲の人を愛することや人助けをすることなどは、人生を前向きに変える一歩になるでしょう。

「長生きしたくない」と思うのは悪いことではない

 

「長生きしたくない」と思うことは決して悪いことではありません。人生に対する考え方は人それぞれです。

ただ、年を取るのも悪いことばかりではありません。心のどこかに人生を最期まで楽しみたいという考えがあるのなら、長生きすることのメリットや生活を明るくポジティブなものにする方法に目を向けてみるのも良いかもしれません。

(帆南尚美)

※画像はイメージです

※この記事は2023年07月19日に公開されたものです

帆南 尚美(心理カウンセラー) (心理カウンセラー)

大学卒業後30年間、外資系IT企業に勤務。40代後半になって本格的に自分の心と向き合い始め、心理カウンセラーに転身。対人関係や恋愛・夫婦関係に悩む大人を精力的にサポート。男性/女性心理、対人心理の分析により、対処法を一緒に考えていくカウンセリングスタイル。「前向きになれる」「自分の成長が実感できる」などの声が多数。

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