「いづれも」と「いずれも」、どっちが正しい? 意味や使い方も解説
「いづれも」と「いずれも」、正しい表記はどっち? 本記事では、「いづれも」と「いずれも」の違いや意味、言い換え表現を解説。また、使い方を例文と共に紹介します。特に使い方は公用文をつくる際などビジネスで役立つ事項なので要チェックです。
「いづれも」と「いずれも」、読み方は同じですが正しいのはどちらなのでしょうか。また、言い換え表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、「いづれも」と「いずれも」の違いや使い方、言い換え表現を紹介します。
「いづれも」「いずれも」の意味
まずは「いづれも」「いずれも」の意味を確認しましょう。
「いづれ」「いずれ」の意味
「いづれも」「いずれも」の意味を理解するには、元になる単語である「いづれ」「いずれ」の意味を知っておく必要があります。
辞書によって「いづれ」も「いずれ」も記載されている場合と「いずれ」のみ記載されている場合がありますが、広辞苑では以下のように解説されています。
いずれ
一.これとかそれとか、はっきり定めず、または分からないままに、物事をさすのに使う語。どれ。どちら。二.事情・状態・時期などがどのようになるにせよ、の意を表す。
1.何にしても。どのみち。
2.いつとは言えないが、近い将来。そのうちに。(『広辞苑 第七版』岩波書店)
辞書にある通り、「いづれ」「いずれ」は以下に示した3つの意味を持ちます。
(1)「どれ」「どちら」などの代名詞
1つ目の意味は、対象をはっきりと定めない不定称の代名詞です。例えば、「どれ」「どちら」などがこの代名詞にあたります。
「A案とB案、いずれを選んでも結果は同じだ」は、「A案とB案、どちらを選んでも結果は同じだ」という意味です。
(2)最終的な結果
「何にしてもそうなる」「どのみち失敗しただろう」など、最終的な結果を表す際も「いづれ」「いずれ」が使えます。
例えば、「いずれにせよ、そのプロジェクトはうまくいかなかっただろう」などがこの用法にあたります。
(3)近い将来
「いづれ」「いずれ」は、近い将来も意味します。
例えば、「努力し続ければ、そのうち夢がかなうだろう」は「努力し続ければ、いずれ夢がかなうだろう」と表現できます。
「いづれも」「いずれも」の意味
「いづれも」「いずれも」という場合の「いづれ」「いずれ」は、前述した(1)「どれ」「どちら」などの代名詞です。
つまり、「どれも」「どちらも」という意味を持ちます。
「いづれも」と「いずれも」、どっちが正しい?
「いづれも」と「いずれも」は、辞書によって両方記載があったり「いずれも」しか記載がなかったりしますが、どちらが正しいのでしょうか。
結論からいうと、現代における公用文などでは「いずれも」が正しい表記とされています。
「いづれも」は歴史的仮名遣いで、昔の文書で採用されていた表現です。
昭和61年に現代仮名遣いの実施について内閣訓令が出され、それ以降は一部例外を除いて「づ」は「ず」に置き換えられました。
ただし、今も昔の名残で「いづれも」が使われる場合も。特に俳句など文学や芸術の分野では、作者の意図によってあえて「いづれも」と表現するケースも見受けられます。
そのため「いづれも」が明確な間違いとはいえませんが、ビジネスなどで公的な文書を作成する際は「いずれも」を使いましょう。
「いづれも」「いずれも」の漢字表記
「いづれも」「いずれも」の漢字表記には、以下の2パターンがあります。
・何れも
・孰れも
ただし、どちらもあまり一般的ではないので、基本的にはひらがなで書く方が無難です。
▶次のページでは、「いづれも」「いずれも」の使い方を例文つきで紹介します。