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【File18】マッチングアプリで友達と彼氏がかぶった話

#イタい恋ログ

おとうふ

今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はおとうふさんのイタい恋。

「ねえねえ、どの人がかっこいいと思った?」

合コンに参加したことがある人であれば、一度は経験したことがあるであろう通過儀礼「トイレ女子会」。

「私は○○くんかな〜」なんて友達の声を聞いて「マジか……かぶったぁ〜」となった時には絶望。私はそんな時「良いじゃん、お似合いだと思う!」と言って、心の中で泣きながらそっと白旗を掲げて完全撤退するタイプの女です。

恋愛と友情なら、友情を取りたい。だって、大切な友達を失いたくないから。だけど、彼のことは好きだから諦められない……。

今日はマッチングアプリ専門家をしている私が過去に体験した、恋愛と友情にまつわる苦い思い出についてお話ししていこうと思います。

二次元から飛び出してきた⁉ どタイプな彼との出会い

あれはまだ私が中学校の教員をしていた頃。当時やっていたマッチングアプリにその男はいました。

やる気のないアンニュイな目元。サラサラのマッシュヘアに、すらっと細長い手足。彼の風貌は、まさに当時私がハマっていた深夜アニメ「ACCA13区監察課」の主人公、ジーン・オータスそのものでした。

絶対伝わらないだろうなと思いながらも、あまりにも似ているので彼に話したところ、なんと「前にも言われたことがある」とのこと。

(やっぱりそうだよね⁉ てか、オタクの中でも割とマイナーな作品なのに、そんなことある⁉)

2次元にしか存在しないと思っていた、どタイプの男が目の前に現れ、大興奮。私の思考回路はショート寸前、今すぐ会いたいよ状態でした。

そしてデートを何回か重ねたのち、そのジーン・オータス似の彼と晴れてお付き合いすることに。めでたしめでたし……と思いきや、数カ月もしないうちに「あの事件」は起きたのです。

男の趣味が似ている女友達と合コンに行ってはいけない理由

ある日、Twitterで「彼氏ができた!」という報告をしたところ、何年も連絡をとっていなかったリア友から久しぶりのLINEが。

「おめでと! 私も最近アプリで彼氏できたよ〜」

(ん? もしかしてこれはマウントってやつか……?)

彼女の口ぶりから、お祝いの体を装って新しくできた彼氏の自慢をしたいだけだということはすぐに分かりました。

とはいえ、スルーするわけにもいかないので「何歳?」「何の仕事してる人?」など、女友達の彼氏について質問していったところ、なんとな〜くイヤな予感がしてきたのです。

(なんか私の彼と似ている。いや、まさか……まさかね……?)

そんなことを考えているうちに、よほど自慢したかったのでしょう、「こんな感じの人だよ!」という言葉と共に、彼氏の画像が送られてきました。

画面には、見覚えのあるアンニュイな目元をした、ジーン・オータス似の彼が。イヤな予感が見事に的中してしまいました。

「え、それ私の彼氏なんだけど……」

予想はしていたものの、ドラマのような展開に動揺を隠しきれない私。

彼女も信じられないといった様子で、「え? そんなはずない! だって私の歯ブラシとかパジャマとか彼の家にあったでしょ⁉」と、まくしたてるように質問をしてきました。

しかし、彼の家に遊びに行った時、女友達の歯ブラシもパジャマもありませんでした。洗面台にもお風呂場にも、他の女の影は一切無かったのです。きっと浮気がバレないように、毎回「彼女」が来るたびに他の女の私物を隠していたのでしょう。

前々から、その女友達とは男の趣味が似ていると感じていたので「狙う人がかぶりそうだから、一緒に合コンに行くのはやめよう……」と思っていたのですが、まさかマッチングアプリで同じ人と同時に付き合うことになるなんて思いもしませんでした。

私と彼女は、偶然にも顔の雰囲気や髪型、体型も似ていたので、きっと彼のタイプだったんだろうなと思います。

やはり、男の趣味が似ている女友達と合コンに行ってはいけないんだなと改めて感じました。そして、マッチングアプリでもそれは同じだなと。

イタい恋から得た教訓「男がかぶると百年の友情も冷める」

彼のことは好きだったので諦めたくありませんでしたが、女友達とも付き合っていると分かったので黙っているわけにもいきません。

彼に「何か隠してることない?」と聞くと「何もないよ〜」とシラを切ろうとしてきたので、一方的に別れを告げました。

(きっと、今頃○○ちゃんもつらいだろうな……)

私は彼に嘘をつかれていたことよりも、何より女友達のことが気がかりでした。しかし、残念なことに彼女はそうではなかったのです。

数日後、女友達に「大丈夫?」と心配するLINEを送ったところ、「私が先に付き合ったんだから、私が本命だから!」「私と彼の問題に口を挟まないで!」と、連絡を取ることすら拒絶されてしまいました。

彼に裏切られたことよりも、女友達に裏切られたことがショック……。「何年も仲良くしていた友達より、アプリで出会ってたった数カ月の男のほうが大切なんだ……」と悲しくなりました。彼女にとって、私はその程度の存在だったんだなと。

そこから半年くらいは、食事も喉を通りませんでした。彼氏と大切な女友達を同時に失って、生きた心地がしなかったのです。

しかし今は、「後悔のない選択をした。これでよかったのだ」と心から思えます。自分のことを大切にしてくれない人は、自分の人生に必要ないと思うからです。

もちろん恋愛も大切ですが、私はそれと同じかそれ以上に家族や友達との関係も大切だと考えています。彼氏ができると彼との予定を最優先にして、他の人との時間をなおざりにしてしまう人がいますが、それってとてももったいないことだと思うのです。

人生において、最も長い時間自分と一緒にいるのは、彼ではなく自分自身。

べったりしたい気持ちもわかりますが、彼だって一人になりたい時間もあるでしょうし、時間が経って冷めることもあるでしょう。男性だけに依存すれば、いつかやがて苦しくなることは目に見えています。

だからこそ、一時の感情に左右されることなく本当に大切にすべき人を大切にすることが、悔いなく生きるために必要なのではないかと思います。

恋愛と友情、どちらを取るべきか。これは難しい問題ですが、もし同じような状況になった時、皆さんにも後悔しない選択をしてほしいなと思います。

(文・おとうふ、イラスト・菜々子)

※この記事は2021年09月19日に公開されたものです

おとうふ

マッチングアプリのプロフィール添削のプロ。TBS「マツコの知らない世界」等、メディア露出多数。
今秋KADOKAWAより、女性向けマッチングアプリ本を出版予定。

Twitter:https://twitter.com/o10fusan

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