【File17】「真面目、安定、優しさ」にとらわれた婚活での恋
今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はみくまゆたんさんのイタい恋。
当時、筆者は35歳。元カレに「半年以内に結婚してくれなければ別れる!」と迫った翌日に「今は結婚する自信がないから、別れよう」と速攻で振られ、すっかり焦っていました。
これまではハンサム、話が面白そう、高収入……といった、いわゆる「モテそうな男性」に惹かれがちだった私。しかし流石に35歳を過ぎたら冒険はできないと思い、なるべく真面目、地味、大人しそう、で堅実な仕事をしている男性に的を絞って婚活を始めました。しかし、この考えが甘かったと後に痛感するとは、この頃は思いもしませんでした……。
婚活パーティーで大人しそうな男性とカップルに
婚活を始めた筆者は、まず婚活パーティーに参加しました。
その婚活パーティーは「年収400万円以上、男性は公務員または大手企業勤務限定」というもの。結婚後も働こうと思っていたので、正直相手の年収や職業にこだわりはなかったのですが、「公務員なら真面目な人が多そう」という思い込みから、そのパーティーを選んだのです。
しかし、実際に婚活パーティーに参加していた公務員は片手で数えるほど。それでも婚活パーティーはカップリングを行うため、いいなと思う人の番号を紙に書いて提出しなければなりません。私は、年収400万円、大卒、公務員で、ルックスも悪くなく比較的大人しそう、真面目そうに見える男性を選ぶことにしました。
その人は他人の顔を見て話すのが苦手そうだったので、「女性慣れしていないし、おそらく遊び慣れていないから人を簡単に切り捨てることはしないだろう」と考えたのです。思い起こせば、この頃の私は、相手とよく話をしようともせず、見た目や雰囲気だけで性格を判断していた気がします。
その後、彼とめでたくカップルになりデートをすることに。彼は落ち着いた雰囲気の店を予約してくれて、エスコートもしてくれました。
婚活パーティーではほぼ無口な彼だったのですが、デートでは大変饒舌でこっちが圧倒されたほど。もしかしたら、極度の人見知りだったのかも? ご飯は全部ご馳走してくれたし、話も聞き上手な人でした。
紳士的な彼ではあったものの、その一方で私は時折彼が見せる行動が気になってしまっていました。店員さんに「このメニューは、もっと何とかならないですかね? メニューはこれしかないのですか?」と無理なお願いをする、時々じーっとこちらを観察する、クチャクチャ音を立てながら食べる……などなど。
それでも、デートの後、彼は「今日はどうもありがとう。楽しかったよ。また誘います」と笑顔だったし、帰った後もお互いにお礼メールのやり取りをしたこともあって、私はてっきり「デートは成功」と思っていました。そう、この時までは……。
「真面目で大人しい」と思っていた彼から来たメールの内容は?
事件が起きたのはその2週間後です。彼から突然こんなメールがきました。
「ご飯を食べて思ったのですが、あなたは思っていた人とは違う人でした。そのため、金輪際もうあなたとは連絡できません。ごめんなさい。僕のことは忘れてください」
その日はなんと私の誕生日当日。メールを見た瞬間、頭が真っ白になりました(相手は私の誕生日を知らなかったので、偶然ではあるのですが……)。
断られる理由が分からず、あの時のデートを振り返ってみました。そうすると、彼がしゃべりながら食べるのが気になって、私はずっと下を向いて怪訝な顔をしていたかも……。彼は一生懸命話題を提供してくれたのに、私は下を向いて「うん……」「すごいね」くらいしか話していなかったような……、などなど思い当たる節が。確かに、どんな男性でも良い気はしないだろうと思われる態度を取っていたのです。
しかし当時は、ここまではっきりとお断りメールを送ってくる人は初めてだったので「何もそこまで言わなくても……」と思ってしまいました。
イタい恋から得た教訓「男性を見た目で勝手に判断しない。気のない人と会ってもダメなものはダメ」
今となっては彼に対して「申し訳ない」という気持ちでいっぱいです。向こうは一生懸命話してくれているのに、私ときたらずっと下を向いて相槌を打っているだけで、話を広げる努力もせずにご飯だけご馳走になっていたのですから。もしかしたら、彼は律儀で真面目すぎる性格だからこそ、きっぱりと断りのメールを送ってくれたのかもしれません。
私の失敗は、婚活で出会った男性に対して「真面目そう、大人しそう、公務員だから安心」と勝手に理解し、心のどこかで「この人なら、そんな悪い態度はしないだろう」と鷹をくくっていたことだと思います。
その後は、「その人のことをもっと知りたい」と思う人とだけデートするように考え方を切り替え、半年後に今の夫と出会いました。婚活は条件も大事だと言いますが、それ以上に「相手に興味が持てるか」が大事だと実感しました。
「この人は〇〇だから、大丈夫」と雰囲気で判断するのではなく、その人とよく話した上で、相手の性格や傾向を知ろうとする気持ちが大切です。どうか婚活中のみなさん、私のような失敗をせずに、条件よりもフィーリングが合う人との縁を大切にしてくださいね。
(文・みくまゆたん、イラスト・菜々子)
※この記事は2021年09月12日に公開されたものです