「拝読」の意味とは? 使い方の注意点と例文を紹介
「拝読」を使う時の注意点
続いて、「拝読」を使う時の注意点を紹介します。
「拝読させていただきます」はへりくだり過ぎ?
前段で「拝読させていただきます」が語法的には二重敬語にはあたらないと説明しました。
しかし二重敬語ではなくても、別の観点から「拝読させていただきます」が適切とはいえない場合があります。
「させていただく」は、そもそも「相手の指示を頂戴してするという卑下した形で自分の動作を謙遜した意を表す」(『広辞苑 第七版』岩波書店)言葉です。
そのため、誰かの指示・意向・許可を得て行うのではない場合、また許可を得る相手が特定されない場合に使うのは、へりくだりすぎて、かえって失礼な印象を与えてしまうこともあります。
例えば、上司から「普段、どんな本を読むの?」と聞かれた時、「よく、ミステリーを拝読させていただきます」と答えるのは過剰な敬語です。
この場合は「よく、ミステリーを読んでおります」が適切です。
「拝読」は謙譲語なので自分側の行為についてのみ使う
時々、「こちらの資料を拝読されますか?」と相手の行為について「拝読」を使うケースを見かけます。
しかし、この場合は、「こちらの資料をお読みになりますか?」と尊敬語を使うのが正しい表現です。
「拝読」は謙譲語なので、相手の行為には使えません。あくまで、自分(側)の行為について使うようにしましょう。
次のページでは、「拝読」の類語と使い分けについて紹介します。