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ゆるさと演技のギャップが魅力。道民の心のふるさとTEAM NACS

#PM6時の偏愛図鑑

aoikara

定時後、PM6:00。お仕事マインドを切り替えて、大好きなあの映画、あの舞台、あのドラマを観る時間が実は一番幸せかもしれない。さまざまな人が偏愛たっぷりに、働く女性に楽しんでほしいエンタメ作品を紹介する連載です。今回はライターのaoikaraさんが「TEAM NACS」への偏愛を綴ります。

道民にとって“心のふるさと”とも言える5人組といえば、あの人たちしかいない。北海道の演劇ユニット「TEAM NACS」、通称「ナックス」だ。

1996年に北海学園大学演劇研究会出身の5人で結成されたナックスは「日本一チケットが取れない劇団」と称されたこともある、人気演劇ユニットだ。2021年3月に25周年を迎えた今では、5人全員がドラマや映画、舞台に欠かせない俳優として活躍している。

「なんとなく知っている」からバラエティでどハマりし、「応援したい!」に

私は北海道出身だが、実は7、8年ほど前までナックスについてあまり知らなかった。5人がそろって出演している北海道のローカルバラエティ番組『ハナタレナックス』を知人に教えてもらい、その番組を観るようになってからどんどんハマっていった。

2003年から毎週放送されている長寿番組『ハナタレックス』で、ナックスの5人は全身タイツで人文字を作ったり、神々の格好でカレンダー写真を撮ったり……。観ていて思いっきり笑える、体を張った企画に挑戦している。

全国放送のドラマやバラエティに出演している時とは違い、北海道のローカル番組に出演する5人は肩の力が抜けていて、ゆる~い空気が漂っている。居心地の良さが観る側にも伝わるので、北海道出身の私は5人に対して “親戚のお兄さん”のような親しみを感じていた。

生で観た舞台に衝撃

ナックスの番組を積極的に観るようになってからは、5人が北海道内はもちろん、全国放送のドラマや映画、CMに出演し活躍している姿に、同じ北海道民として嬉しいと感じるようになっていた。

そんな5人を生で観られる機会が到来。2015年に上演された舞台TEAM NACS 第15回公演『悪童』だ。

札幌会場に足を運んだ私は、幕が上がり、初めて5人を目にした時「うわぁ、テレビで観ていた人たちだ!」と心の中で大興奮してしまった。

でも、すぐに「テレビで観ていたあの5人」ではないと感じた。5人の演技に目を奪われたからだ。

「演技」と書いたが、実際には“演じている”という印象はなく、”役柄の人物そのもの”がその場にいるように感じられて、物語の世界にのめり込んでいくことができた。特に、乾いた笑い声で何度も棒を打ち付ける大泉さんの表情、音尾さんの涙で震える手は、今でも鮮明に覚えている。

観終わった後もしばらくは興奮が止まらず、拍手を止められなかった。私だけでなく、周りのお客さんもそれは同じだった。

ナックスは“親戚のお兄さん”じゃない、すごい“役者”さんなんだ! 私はこの時、改めてナックスに心を持って行かれてしまったのだ。

しかし、舞台終了後に行われた挨拶は笑い満載で、またいつもの“親戚のお兄さん”に戻っていた。その日から私は“親しみ”だけでなく“尊敬”の気持ちも抱いて、ナックスの5人を見るようになったのだった。

さて、チームとしての魅力や思いは綴ったので、ここからは個々のメンバーについて掘り下げたい。TEAM NACS全体のファンの愛称は「子NACS」と言うのだが、メンバーそれぞれのファンにも「ファンネーム」が存在する。ぜひファンに愛されたユニットであることを感じていただけたらと思う。

メンバー紹介

北海道からみんなを見守るリーダー「森崎博之」

最年長のリーダー・森崎さんは、メンバーが全国で活躍している中、唯一北海道を拠点として活動している。北海道のローカル局で農業番組のMCを務め、ごはんソムリエの資格を保有。俳優だけでなく北海道の魅力を伝える仕事も精力的に取り組んでいる。

メンバーにネタにされる大きな顔はインパクトが由来となり、ファンネームは「子顔」。

ミステリアスなミラクル男「安田顕」

一度見たら忘れられないくっきりとした目鼻立ちの安田さんは、ナックスの副リーダー。作品によって全く異なる役柄を演じ、いつも強いインパクトを残す個性派俳優で、CMにも多数出演。

一人飲みが好きで、ローカルのバラエティでは口数も少なく、素顔はミステリアス。しかし、番組で奇跡を起こすなど“ミラクル”な人。ファンネームは「安田国民」。

残念なイケメン、だけどそこがいい!「戸次重幸」

甘いマスクに鍛え上げられた肉体、ナックスNo.1イケメンといえば戸次さん。

しかし、若い頃に遅刻をしまくって事務所の社長(現会長)に激怒されたり、メンバーが誰も聞いていないのに延々と自分の話をしたり……と、ちょっぴり“残念”な一面があることから、メンバーやファンの間では「ミスター残念」と呼ばれている。ファンネームは「子残念」。

北海道の大スター、どうでしょう?「大泉洋」

北海道のローカル番組『水曜どうでしょう』で人気を博し、俳優として全国に進出。ドラマや映画で主演するだけにとどまらず、紅白歌合戦の司会にまで抜擢。今や「北海道の大スター」ではなく、「日本の大スター」となった大泉さん

大泉さんが出ているバラエティや記者会見はついつい観てしまう。ひいき目もあるけど、本当に面白くて、絶対に笑ってしまうから。ドラマや映画の演技も素晴らしく、人としても俳優としても惹き付けられる魅力があると思う。猫が嫌いで、ファンネームは「子猫」。

渋みのある末っ子「音尾琢真」

渋い魅力たっぷりで、アングラな役も似合うのが音尾さん。実はナックスの中では一番年下。高校時代は男子新体操部に所属していたため、舞台では運動神経バツグンの姿を見せているが、バラエティでは末っ子らしく、ちょっと抜けたところも。

メンバーからは離れ目なことをいじられて魚呼ばわりされているが、実はナックスで一番モテるらしい。ファンネームは「子魚」。

ほんの概要に過ぎないが、5人の雰囲気が伝わっただろうか。そして、この個性豊かな5人が集まることで、舞台やバラエティで素晴らしい演技や面白い企画を繰り広げてくれるのが、ナックスの魅力だ

2021年の最新公演『マスターピース~傑作を君に~』を観劇!

2021年6月までTEAM NACS 第17回公演『マスターピース〜傑作を君に〜』が上演されたのだが、コロナ禍ということもあり、私はオンライン配信のライブビューイングで千秋楽を拝見した。

時は昭和27年、真冬の熱海の温泉宿に、シナリオライターたちがやってくる。映画に熱い思いを抱く5人の男たちは「マスターピース=傑作」を書き上げるべく、泊まり込みで原稿を執筆していく……というストーリー。

詳細な説明はネタバレになってしまうので多くは語れないけれども、やっぱり舞台の5人は、ものすごい勢いと熱量だったとお伝えしたい!

切なさで心をぎゅっとされてしまう場面あり、面白くて笑いが止まらない場面あり。画面越しでも存分に5人に魅せられた舞台だった。

そして公演終了後、鳴りやまない拍手の中カーテンコールで話す5人は、2015年に観た『悪童』の時と同様に、すでにいつもの5人に戻っていた。その様子を見て改めて「ああ、すごい演技を観ていたんだ」と実感した。

コロナ禍で開催した公演とあって、素顔に戻った5人からは「無事に千秋楽を迎えられた」という幸せと熱い想いが伝わってきた。

でも、やっぱり舞台は生で観たい! 臨場感や一体感は、会場でしか味わえないからだ。次の公演では、会場に足を運んで、こちらの表情も見えるような状況になっていて、直にナックスの5人に会いたいと、強く願った。

身近な“親戚のお兄さん”のような雰囲気と、役者としての素晴らしい演技を見せてくれるナックスの5人。いつも私たちを笑顔にしてくれる、道民としての誇りであるTEAM NACSを、私はこれからも応援していきたい。

(文:aoikara、イラスト:谷口菜津子)

※この記事は2021年06月18日に公開されたものです

aoikara

中卒フリーライター。北海道生まれ、北海道育ち、北海道在住。北海道のおいしいところと美しいところが好き。六花亭のマルセイバターサンドは定期的に食べたい。落ち着いたら札幌のシメパフェを食べたり、道内を旅行したり……と思い浮かべている。仕事もおうち、趣味もおうち、今は家でも楽しめるエンタメが熱い! 在宅ライフを極め中。

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