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メイクを通して「自分を発見」。Samiさんの場合

#コスメアカの履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛するコスメオタクが増えている。中でもTwitterの「コスメアカ」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では「劇団雌猫」所属のライターひらりささんが、今気になるTwitterコスメアカにインタビュー。おすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

取材・文:ひらりさ
編集:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、今気になるTwitterコスメアカの実態を探る連載「コスメアカの履歴書(https://woman.mynavi.jp/tag/rensai_cosme-account/)」。
今回は、海外コスメを中心に情報発信をしているSamiさん(@SamiTribbiani)にインタビューしました。

始まりは幼稚園から。金色・赤茶色のリップに魅了された

――Twitterで、海外コスメを中心にした情報を発信しているSami(@SamiTribbiani)さん。開設日を見ると2011年11月。もう10年近くやられているんですね! 最初からコスメのことを話していたんですか?

そうですね。元々コスメブログをやっていて、そこからSNSを始めた感じです。20歳くらいの頃でしょうか。Samiって名前も当時から使っています。アカウントIDの「Tribbiani」は、大好きなドラマ「フレンズ」の登場人物からとりました。

――ブログ時代はどんなコスメを紹介していたんですか?

その時既に海外コスメが好きでした。今よりもプチプラ的なアイテムを集めていましたね。こんなに安い値段でいろんなコスメが買えるんだ! と感動していました。

――メイク自体が好きだなと思ったのはいつ頃でしょうか。

1番古い記憶だと、幼稚園だと思います。祖母のドレッサーに、金色・赤茶色のリップのパレットがあるのを見つけたんです。口紅って赤やピンクのイメージだったから、「こんなもの顔につけるんだ!」とものすごく衝撃でした。そこから祖母とか母のドレッサーを詮索する日々が始まりました(笑)。

実際メイクを始めたのはもっと後。中学・高校も校則が厳しかったから、高校時代は週末や、普段は雑誌を見るくらいで我慢していて、ちゃんと凝り始めたのは高校卒業後とかでしたね。

――どんな雑誌を読んでいたんですか?

「ViVi」とか「S Cawaii!」とか。ギャル系、B系のファッションが当時好きだったのもあるし、この2誌はメイクページも充実していたんですよ。当時、クレージュのベージュの口紅がすごく流行っていて、私もそれを買ったのをよく覚えていますね。

――クレージュの「ルージュ ア レーヴル」ですかね? 検索するとまだフリマアプリとかで売られていてすごい……。

今塗ったら、色が無さすぎてギョッとしそう(笑)。あと高校時代にアメリカに短期留学したことがあって、その時にドラッグストアでいろいろ買いました。国内だと探し回ってやっと買えるかどうかのラメコスメが、あちらだとドーンとたくさん置いてあって。楽しかったですねえ。

10年前のコスメアカ事情と海外ブランドの情報収集方法

――Twitterを始めた頃の話に戻るのですが……2011年とかって、コスメについてつぶやいている人いました?

うーん、あんまりいなかったと思いますが、私の場合、他のコスメブロガーさんなどと相互に交流したくて始めたので、その人たちは発信していたと思います。ただ、拡散されるということはあんまりないし、自分でも意識してなかった。知人の中には「気付いたら爆発的に伸びてる!」という人もいるけど、私の場合は、長い間やっているうちに一定数ずつフォロワーが増えて数千人になった印象です。

ただ、海外コスメの中でも、これはすごいなという色だったり見た目だったりの新製品をツイートすると、拡散されました。実用よりも「ギョッとする」方がリツイートされやすいかな。BYREDOのアイシャドウパレットとか。

――確かにあれでsamiさんのTwitterを知った気がします。海外ブランドの情報はどうやって収集しているんでしょうか?

コスメを買うECサイトのメールマガジンをぽちぽち登録しているうちに、結構な量になっていて、そこから得られる情報は多いですね。あとは、アメリカの美容雑誌「Allure(アリュール)」も購読しています。

――英語で情報収集されているんですね!よく買い物をするのはどちらのECサイトなんでしょうか?

イギリスのECサイト「Cult Beauty(カルトビューティー)」です。その名の通り、熱狂的な信者のいるアイテムを取り扱うというコンセプトのサイトで、「これ欲しいんだよね〜」と思えるものがまとめて買えるのがいいです。コロナ禍もあって、だんだん買う機会が減っているんですが、前は月1回くらいは使っていましたね。1回あたり2万円は出費していました。

――いろいろなブランドをまとめ買いするんですか?

そうですね。アイテムで言うと、アイシャドウはよく買います。あとは下地・ファンデーションも。

――海外コスメのベースアイテムというと、自分たちの肌に合うのかなと気になったりもします。タッチアップもできないわけですし。

レビューをよく読めば、結構なんとかなりますよ。私も最初は難しいかなあとか思ってたんですが、例えばイギリスなど乾燥していて寒い国のブランドが出して現地ユーザーにウケているファンデーションだから……乾燥肌に良いのでは? と思って買ってみると、アタリだったり。物差しはあります。

――なるほど〜! おすすめのアイテムはありますか?

ファンデーションで一番好きなのは 「Make Up For Ever」のものですね。私、ツヤがすごいとか、ファンデーションだけで華やかになるアイテムが苦手で。自分の肌質になじんで、カラーメイクをする前のキャンバスが作れるようなファンデーションが好きなんです。

「Make Up For Ever」はいろいろな質感のファンデーションを出しているので、信頼できます。今使っているのは「マットベルベットスキン」という商品です。

海外コスメオタクのポーチの中身は?

――この辺りで、ポーチの中身も見せていただいていいでしょうか。

はい!こんな感じです。

・アルコールジェル
・Purell ハンドサニタイザー
・NARS オーデイシャス シアーマット リップスティック“Anais”
・Glossier Generation G”Cake”
・目薬
・Lanolipsの101 Ointment(マルチバーム)
・Migrasoothe(頭痛対策ロールオン)
・thisworksのStress Check Breathe In(アロマオイル、手首や首、マスクなどにつけて深呼吸&リラックスできるロールオン)
・Room 1015のCherry Punk
・Hince 眉マスカラ

――かなりコンパクトですね! コロナ前からこのサイズですか?

元々ですね。持ち物が少ないのが好きで、家族が手芸にハマっていた時に作ってもらったポーチに全部入れています。朝のメイクも15〜20分程度。

――ポーチには無いようですが、序盤に話したBYREDOのように、カラフルなアイテムも買われますよね。買う時やメイクの時に気をつけていることはありますか?

私はあんまり、直接カウンターに行ってタッチアップされたメイクがすごく良いと思ったことがないんです。どちらかというと「やっぱりこれ似合わないな…」と思って買わないことが多い。

それを繰り返すうちに、「カウンターのメイクで合う合わないを決めるのではなく、自分で試行錯誤しているうちに、似合う合わせ方を見つける」のが自分には良いなと思うようになりました。今は、似合わない色ってそもそも存在しないんじゃないかな、くらいの気持ちです。

パーソナルカラー診断とかも、一時期流行っていましたけど、あんまり興味を持ったことがない。アイテム同士の組み合わせだったり、髪の毛や洋服の色との合わせだったり、自分にとって何が心地良いかを自分で考えれば良いかなと。

――自分に似合う・似合わないの判断って、長年のメイク研究の結果、できるようになりましたか?

いや〜、Twitterをやっていると「自分って美意識ないな」と今でも思いますよ(笑)! マシュマロとかでも、自分では気づかないけど、批判的なコメントをもらっていることもあるらしくて。

でも、結局自分が心地良いかどうかが全てかなとは思っています。メイクも好きですけど、スッピンの方が気持ち良い時もありますし。これは年を経て変わったことかもしれません。あんまりうまく言えないけど、スッピンでもすごく良いメイクができたのと同じ気持ちになれる時がある。

メイクを通して「自分ってこういう人間なんだ」と発見できる

――SNS自体は楽しくやれていますか?

「やめようかな」と思うことはあります。最近は特に、政治やフェミニズムがコスメや美容と切っても切り離せないと改めて思うことが多いのですが、特定の話題についてのコスメ・メイク界隈外の反応を見た時に、世の中の現実を見せつけられて憂鬱な気持ちになることが多々あって。

じゃあコスメ界隈は理想の楽園なのかというとそうでもなくて。若い時は「かわいい」だけで使っていたブランドが、後から人種差別的だと告発されることなどもありました。そういうものを見聞きしてきて、コスメを「選ぶ」ことには責任があるし、コスメ以外の「選ぶ」こともそこと繋がっているなと思うようになりました。

6,000人くらいの人が見てくださっている中で、自分が良いと思ってツイートするものを、自分も見る人も応援できるものにしていきたいなとは思っています。その分、特定のブランドに入れ込むことも避けているかも。

――いろいろな変遷があったんですね。Samiさんは、メイクにハマって人生変わったと思いますか?

ずっとメイクが好きだったので、劇的に変わった瞬間は無いかなあ。でも「メイク好きだなあ」ってしみじみ思う瞬間っていまだにあって、何が好きなんだろうと考えた時に、「自分ってこういう人間なんだ」と発見できるのが理由だなと感じます。外見っていうより、内面もですね。

自分の顔を見て何をつけたいかを毎日考える作業が、いつの間にか日々の不安を落ち着けてくれる。劇的には変わってないけど人生にちょっとずつ影響があるんだと思っています。

――ありがとうございました!

コスメ垢「Sami」さんの履歴書

※写真のコスメはすべて本人私物です

INFORMATION

『だから私はメイクする』漫画:シバタヒカリ、原案:劇団雌猫

『浪費図鑑』の劇団雌猫が贈る話題書をコミック化!

メイク道を爆進するうちにあだ名が「マリー・アントワネット」になった女、“推しネイル?にハマって猛練習する女、仕事場での“アドバイス?にうんざりしている女など、メイクを通して見えてくる、「社会」や「自意識」と戦う女たちの悲喜こもごも。

「自分がどうありたいか」と向き合う、共感必至のオムニバス・ストーリー!

※この記事は2021年04月20日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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