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香りの文化を広めたい。Monroe!さんの場合

#コスメアカの履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛するコスメオタクが増えている。中でもTwitterの「コスメアカ」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では「劇団雌猫」所属のライターひらりささんが、今気になるTwitterコスメアカにインタビュー。おすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

取材・文:ひらりさ
編集:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、今気になるTwitterコスメアカの実態を探る連載「コスメアカの履歴書」。
今回は、フレグランスのワークショップ「パーソナルフレグランスナビゲーション」を主催するMonroe!さん(@mcosmem)にインタビューしました。

始まりは小中学生? Monroe!さんがコスメアカを始めたきっかけ

――コスメ・フレグランス情報を発信し、フレグランスのワークショップも主催しているMonroe!さん(@mcosmem)。コスメアカウントを始めたのはいつ頃なんでしょうか?

Instagramを開設したのは2016年、Twitterが2018年です。ただ、人生で初めてネットに口コミを書いたのは小中学生の頃ですね。もう20年くらい経つんじゃないでしょうか。アットコスメが開設された初期に書き込みを始めて、公認ブロガーとしても活動していました。

――そんなに前から!

中学時代、校則がすごく厳しかったんですよ。ルーズソックスを履いたら脱がされて捨てられる、みたいな感じで。でも、だからこそ「バレないようにおしゃれする」のを追求しているうちに、メイクにハマりました。

ビューラーでまつ毛あげて透明マスカラ塗って、ニキビ用のパウダーをファンデーション代わりに使って、リップグロスじゃなくてワセリンを塗って……。涙ぐましい努力ですよね(笑)。

コスメアカウントとしては、今はアンチエイジングコスメを紹介することが多いです。20代後半から、激務だったのもあって、肌の変化を如実に感じるようになって。そこで、アンチエイジングに関心を持って自分でも発信するようになりました。

――お気に入りのブランドなどはあるんですか?

韓国のドクターズコスメが好きで、「攻めのスキンケア部」の一員です。内資系のスキンケアって、より刺激の少ないつくりになっているのが普通だと思うんですが、逆に海外のコスメって「ピリピリする!=効いてる!」というレビューがあったり、多少刺激的な感触や使い方だったりしても、「効くならあり!」なハイリスクハイリターン精神がコスメにもあるなんだろうなぁと感じます。

韓国は特に、整形がメジャーなのもあるのか、「ホームケアでここまでやるの?」というアイテムがたくさん。そういう「攻め」てるアイテムの使用感をよく紹介しています。

以前から愛用しているのは、YOU&MEというドクターズコスメブランドの「BEBETOX MTSローラーセット」ですね。アンプル(濃度の高い美容液)を肌に塗った後に、付属のローラーを当てて浸透を高めるんですけど……0.25mmの針がついていてピリピリきます。今ではホームケアに欠かせないアイテムです。

Monroe!さんのポーチの中身

――早速ですが、Monroe!さんが持ち歩いているメイクポーチを見せていただいて良いでしょうか。

はい、これです。
左から
・香水のアトマイザー10本
・UNMIX モイスチャーリップベース
・UNMIX モイスチャーリップスティック ステイン 01
・BYTERRY パウダーブラシ
・リビジョン ユースフルリップ
・セルジュルタンス レ トッフ デュ マット
・SHUGYOKU sリフト美容コンデンスミスト
・フィリップB(サンプル)
・サンティア目薬
・veludo アーバンアーユルヴェーダ(COUNTDOWN)
・シャーロットティルブリー アイライナー
・メイクアップフォーエバー アクアレジストカラーペンシル 01
・アナスタシア ブロウヴィズ(ソフトブラウン)
・iconic London シアーブラッシュ(パワーピンク)
・プリュスオー
・シャーロットティルブリー リップ(ピーロートークミディアム)

――香水のアトマイザーの量が半端ないですね。朝つけた香水と違う香りをつけるんですか?

サンプルでもらったものを10本くらい、いつでも入れてますね。日本の方ってあんまり香水をつけ直す習慣も無いように感じますが、香水って、香りが持続するものでも最大8時間くらいなんですよ。最後に残るラストノートは、上から違う香りをつけてもなじみやすい。そこで私は、昼下がりには朝つけたものと違う香りをつけて、気分転換してます。

その分、コスメアイテムはかなりコンパクトです。パウダーのコンパクトを持ち歩くのも嫌で、フタつきのカブキブラシに、朝一回分のパウダーを含ませておいて、それだけ持って出掛けていますね。

最近はステイホームで家にいることが多いですが、だからこそスイッチを入れるためにメイクはしっかりして、キリッとした香りを纏うようにしています。あと、頭皮につけられるエッセンシャルオイルブレンドを入れていて、仕事に詰まった時に香りを楽しんだり、マッサージしたりしてリフレッシュしています。

今ではワークショップを開くほどに香水にハマった理由

――こんなにも香水に魅入られたのは、いつからなんでしょうか?

「香り」って良いなと思うようになったのは、おしゃれにハマり出したのと同じ、中学生の頃でしたね。

香水は当然NGでしたが、石鹸みたいな匂いがするベビー用のフレグランスで「プチサンボン」「グランサンボン」というのが流行っていて。「何もつけてないです、単にシャンプーです」と言い張ってグランサンボンをつけたのが、フレグランスデビューでした。

その時に、「香水って、一つひとつの香りに深いコンセプトがあってすごい!」と感動して。ちょうど演劇部に所属していたんですが、ストーリー性やつくった人の思いが見えるものが好きだったんですね。それを知るうちに、のめり込んでいきました。

高校生の時にバイトを始めたんですけど、それも欲しい香水を買うためでしたね。

――初めてのバイト代では何を買ったんですか?

ゲランの「シャンゼリゼ」です! シャンゼリゼ通りがモチーフの明るく華やかな香りで、当時の瓶の形も道のようにデザインされているのが素晴らしくて。まだ持っています。

――気品がありますね! そこから趣味で香水を集めるようになり、今に至るんですか?

いや、実は大学を卒業後に、調香師を目指して調香専門学校に入ったんです。ずっと「調香師になりたい!」と決めていたわけではなく、進路にあれこれ悩んだ結果、「そういえば、私、香りが好きだな」と思いついて。

芸術的な世界をイメージしていたら、「この香料はカルボニル基の二重結合で……」と言ったバリバリ理系の知識を教えられる場だったのですが(笑)、オタク気質なので楽しく勉強できました。

最初は単品の香料を作れるように指導されて、そこから「ここにある香料でシャネルの5番の香りを真似してみましょう」といった課題が出るようになって、コースを卒業時には、自分でオリジナルコンセプトの香水を作りました。すごく面白かったですね。

――でも調香師にはならなかったんですね。

そうなんです。コンセプトを考えるのは得意だったんですが、独創的な香りを作るのがなかなかできなくて。

それで悩んでいる時に調香師の学長から「あなたはしゃべるのもうまいし、表現が得意だから、香りの文化を広げられる職業が良いのではないか」とアドバイスをもらい、学校の先輩の紹介で、香水専門の商社で働くことになりました。4〜5年はそちらで販売の仕事をしていましたね。

その後は化粧品会社からお声掛け頂いてキャリアチェンジをし、人に教える仕事が向いていたのか評価頂いて、人材系やカスタマーサービスのコンサルなどフレグランスとは関係ない仕事をしています。

香りに関することはまたやりたかったので、Instagramのフォロワーが1万人を越えた時に、フレグランスのワークショップを思い付きまして。2018年に開催して、とても好評だったので、そこから個別のカウンセリングもするようになった感じです。

――フレグランスを人に選ぶときは、何を重視しているんでしょう。

選んであげるというよりは「自分の好みを自分で知り、ひとりで香りを選べる」ようにナビゲートするイメージです。ですので肩書も講師ではなくフレグランスナビゲーターと名乗っています。ご自身で見つけて、ご自身で香りを楽しめるようになって頂くことを大切にしています。

匂いの感じ方って、その人の体調や年齢によってもかなり変わるんです。だから、その場で具体的な香水を選ぶのではなくて、その人がどんな匂いを好きなのかを自分で言語化できるようにお手伝いするように心がけています。

最初は「私に似合うものってありますか?」「会社につけていっていい香りってどんなものですか?」と聞かれることが多いです。でも、もちろんつけ過ぎると問題も起きますが、香りって人の目に見えないものだから、あらゆるおしゃれの中で、一番自由だと思うんです。

「こうしないといけない」を捨てて、「自分にとって心地良いもの」が選べるのが理想だと考えています。

――Monroe!さん自身はどんなフレグランスをつけるんでしょうか?

世のトレンドとしてはカジュアルでユニセックスなブランドが増えていますが、個人的には、ラグジュアリーで非日常なコンセプトを徹底しているブランドに惹かれますね。

例えば、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループ・モエヘネシーの御曹司が立ち上げた「キリアン」とか。ヘネシー家って、コニャック・メゾンとして有名なんですが、この「エンジェルズ・シェア」という香水は、瓶も香りもコニャックを楽しむ贅沢な時間をイメージしてつくられているんですよ〜。ボトルも、グラスにコニャックを注いだようでしょう?

――ゴージャス!

ただ、お気に入りの1本をずっとつけるのではなく、毎日違うものをつけていますね。仕事とプライベートで気分を切り替えたいので、オフの時は仕事で人に薦めることがない、日本未入荷の香りをつけるようにしています。ニナ・リッチのひ孫が立ち上げた「Juliet has a gun」とか、ニッチなフレグランスブランドが好きです。

みんなが自分の「好き」を基準に香水を選べる世界に

――香水の世界って、本当に奥が深いですね。

昔は、1万円超えると「ちょっと高いよね」と敬遠されていたのが、最近では2〜3万円のものを買う人が珍しくなくなり、結構驚いています。相場がかなり上がりましたね。

――どうして高くなったんでしょう?

化粧品も10万円の美容クリームや20万円の美顔器なんかかが飛ぶように売れているそうなので、そちらの影響があるかもしれません。

あと大きいなと思うのは、「人と違う香りをつけたい」トレンドだと思います。私が販売をしていたような時代は、「クロエが流行っていたらクロエが欲しい、ベビードールが流行っていたら全員ベビードールをつけている」という風潮だったので、全く変わりましたよね。ニッチブランド専門の「NOSE SHOP」が人気なのも、昔じゃ考えられない。ニッチフレグランスを求めるとなると、当然価格は上がります。

でも、自分がこれ、と惚れ込んだものを大事に使うのであれば、結果的にはリーズナブルですよね。香水はちょっとずつ使えば、化粧水や美容液と違って1年くらい保ちますから。

――コスメやフレグランスで、Monroe!さんは人生が変わったと思いますか?

実は私、これだけ美容にどっぷりハマって生きてきたわりに……あんまり「綺麗になりたい」と思ったことはないんです。

小学生の時に男子から「ブス」って揶揄われていたのに、中学でメガネからコンタクトに変えた途端に向こうの態度がガラッと変わったのがとてもモヤモヤして。

「綺麗になりたい!」という前向きな気持ちは素敵ですが、誰かに対して外見で態度を変える「外見至上主義」には抵抗があります。それって人の本質を見ていないということだと思うから。だからアンチエイジングも、「若々しいほど美しい!」ではなく、年齢を重ねて変わっていくことを、緩やかに受け入れるために「緩やかにエイジングする」ためにやっています。

だから、おしゃれで人生が変わった、とは思わないんですけど、外見至上主義じゃなくって自分らしさや楽しさを広げるための美容の発信には、とてもやりがいを感じています。フレグランスもコスメもファッションも、みんなが自分の「好き」を基準に選べる世界になったら良いですね。

今は新型コロナウイルスの流行でできないですが情勢が落ち着いてきたら、香りを通してメンタルを健やかにコントロールすることをテーマに、臨床心理士の友人とコラボしたイベントなども計画中です。

――今後の活動も応援してます!

コスメアカ「Monroe!」さんの履歴書

 

※写真のコスメはすべて本人私物です

INFORMATION

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『浪費図鑑』の劇団雌猫が贈る話題書をコミック化!

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「自分がどうありたいか」と向き合う、共感必至のオムニバス・ストーリー!

※この記事は2021年03月25日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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