「齟齬」の意味は? 「誤解」や「相違」との違いや使い方を解説
「齟齬」と「誤解」「相違」の違いは?
「齟齬」と「誤解」や「相違」は、“違う”という点では似ていますが、微妙な違いがあります。
「誤解」「相違」の意味
「誤解」「相違」には、次のような意味があります。
【誤解】ごかい
意味をとり違えること。
間違った理解をすること。思い違い。【相違】そうい
たがいに違っていること。
一致しない。ちがい。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「齟齬」と「誤解」「相違」の使い分け
実際には、どのように使い分けることができるでしょうか?
例えば、ある事件を目撃したAさんとBさんがいるとします。
刑事が2人に話を聞いたところ、それぞれ証言が違っていた場合、「証言には相違がある」と使います。
そのまま捜査を進め、真実に辿り着こうとする手前で、改めて証言を突き合わせてもやはり双方の話が食い違っている場合、「2人の証言には齟齬がある」と使います。
しかし、さらに2人の話を聞き進め、刑事がBさんの目撃時間を誤って認識していたことが分かった場合、「刑事はBさんの話を誤解していた」と使います。
ここまでで分かるように、「相違」は単に双方の話が違うという事実だけで、「齟齬」のように互いの話をかみ合わせようとする前提がありません。
そして、「相違」している両者を突き合わせようとした場合に生じるのが「齟齬」です。
また、「齟齬」の対象はAさんとBさんですが、「誤解」の対象はBさん1人でも成立します。つまり「誤解」を使う場合は、「相違」や「齟齬」のように、複数の対象を比較する必要はありません。
以上をまとめると、次のように使い分けることができます。
・相違:2つ以上の対象がそれぞれ異なっている場合に使う
・齟齬:2つ以上の異なる対象を突き合わせ、内容が食い違っている場合に使う
・誤解:対象の数を問わず、誤って理解をしている場合に使う