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「所存」の意味とは? 使い方や誤用例・言い換え表現を解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「所存」を使う上での注意点

ここでは、「所存」を使う際の注意点をいくつか紹介します。

「所存」は目上の人に対して使う言葉

漢語としての「所存」を訓読みにすると、「存ずる所」となります。

「存ずる」は「考える」「思う」の謙譲語です。自分を低めて相手を高める敬語なので、同僚や後輩・部下など、目下の人には使いません。目上の人に対して使えます。

「所存です」のままでも目上の人に使えますが、「所存でございます」と使えば、さらに丁寧です。

ただし、主に書き言葉として使われており、日常会話ではあまり聞きません。会話で使われる場面は、スピーチなど改まった席などに限られます。

「所存」を相手や他人の行為に使うのは誤用

「所存」は謙譲の性質を持つ言葉なので、相手や他人の行為には使いません。

例えば、「彼は来年こそ大学に合格したいと考えています」を「彼は来年こそ大学に合格したい所存です」と言い換えることはできません。

また、相手への質問で「あなたのご所存をお聞かせください」と使うのも適切ではありません。いくら「ご」を付けても、元々「所存」自体に謙譲の性質があるためです。

この場合、「ご意向」という言葉で言い換えると良いでしょう。

「〜と考える所存です」という使い方はNG

前段で説明した通り、「所存です」は「〜(したい)と思っております」「〜(したい)と考えております」という意味です。

まれに「〜と思う所存です」「〜と考える所存です」と書かれているのを見かけますが、「所存」自体に「思惑・考え」という意味があるため、意味が重複するという観点から、適切な用法ではありません。

「〜したい所存であります」という表現は堅すぎる印象

「〜したい所存である」を丁寧語にしたのが「〜したい所存であります」なので、間違いではありません。

ただし、「〜であります」という口調は、警察や自衛隊をモチーフにしたドラマでよく見聞きするような言い回しで、日常のシーンにおいては少々堅すぎる印象を与えます。

丁寧語にしたい場合は「〜したい所存です」で良いでしょう。

次ページ:「所存」はどんな時に使えるのか?(例文付き)

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