「社内コミュニケーションをもっと円滑化しろ」
と、トップダウンで指示されて、うわぁ……となっているあなたの顔が、目に浮かぶようです。
そもそもコロナ禍でテレワークだし? 活性化と言われても、そもそもうちの職場ドライじゃない? 派閥もなんやかんやあるし、メリット感じてくれる社員いなくない?
と、言うはやすし、やるは難し。
これまでなら社内イベントや飲み会で何とか済ませられた社内コミュニケーションも、いまや新型コロナウイルスの影響を受け、難易度がますますアップ。
この状況で、いやこの状況だからこそどうやって!? そんな社内コミュニケーション事情・最新スタイルをお届けします。
■社内コミュニケーションが重要な理由
さて……そもそもなぜ、社内コミュニケーションを取るべきか。大企業からベンチャーまで経験した筆者が、その重要性をお伝えします。
◇(1)仕事に必要な情報が行きわたる
まず「社内コミュニケーションが枯渇した職場」を想像してみてください。
あなたは、いつもやりとりする他部署の人が、突然会社を辞めていたらどうしますか?
もし、大事な会議の資料が「好かれている人にだけ」配られて、嫌われている社員には渡らなかったら?
それが出世に響いていたら?
社内コミュニケーションが無いということは、仕事に最低限必要な情報すら行きわたらないことを指します。これを読んで驚いた人もいると思いますが、社内コミュニケーションが皆無の会社では、よくあることです。
だから、社内コミュニケーションは必須なのです。
◇(2)施策に共通の目的意識が生まれる
社内コミュニケーションが円滑だと、みんな「何に向かって仕事をすべきか」が見えています。そうすれば同じ目標に向かって、施策を提案できるようになります。
「この案は、他部署のAさんもBさんもメリットがあるはず」と理解しながら案を出せるのは、誰にとっても良いことです。
◇(3)若手が置き去りにならない
そもそも若手は仕事に追いつくのに必死。遠慮して話し掛けられないことも多いので、職場で置き去りになるケースもあります。
さらに最近はリモートワークが推進されているので、その傾向が強くなってきたのではないでしょうか。
リモートワークで業務のオンライン化が進むと、特に入社1~3年目の若手は、ますます孤独感を抱きやすくなります。その場で疑問を解消でない、雑談ができない環境は、仕事に慣れていない若手のメンタルをむしばみやすいもの。
社内コミュニケーションが活発化すれば、こうした若手のメンタルを守ったり、離職を防げる可能性が高くなります。
■社内コミュニケーションが取りにくい理由
ではなぜ、社内コミュニケーションが取りにくいのでしょうか。一般的な問題点と、主流になりつつあるリモートワークによる問題点があるので、列挙してみましょう。
◇(1)縦割り社会で上へ話をしづらい環境
縦割り社会だと、上長へは質問できても「その上」へは質問しづらくなります。そのため、その上長との仲が悪かったりすると、会社全体で孤立しやすくなってしまうのです。
これは上司に関係なく、いわゆる「お局」だったり「重鎮」に権限が集まっているパターンも同じです。ある1名から嫌われたら孤立しがちな社内環境は、社内コミュニケーションが取りにくいといえるでしょう。
◇(2)誰がどんな仕事をしているか分からない
誰が何をやっているのかがあいまいな会社では、社内コミュニケーションを取りたくても「誰へ質問すればいいか分からない」問題が生まれます。そもそもコミュニケーションを成立させるパートナーが分からないので、動きようがないのです。
◇(3)リモートワークの弊害
リモートワークだと、社内コミュニケーションを取ろうにもメールなどのやりとりが中心となり、なかなか取りづらいことも多々あります。
特に、コロナ禍で慌てて在宅勤務を導入した企業では、コミュニケーションツールがなく、何となく始まってしまったところもあるのではないでしょうか。そのままでは、リモートならではの質問のしづらさ、コミュニケーションのおっくうさは乗り越えられないでしょう。
■社内コミュニケーションが活性化する施策
では、社内コミュニケーションが取りづらいという課題は、どう解決すべきでしょうか。まずは、リモート勤務と関係なく発生する問題の解決策をご提案します。
◇(1)非公式な会の開催
若手の会、お茶会、社内サークル……など、非公式な会で社員同士の親交を深め、部署をまたいだり、役職をまたいだりして話ができる環境を整えてみるのがおすすめです。
最初からサークルを立ち上げるのは大変でしょうから、例えば在宅でも参加できる「Zoom越しに雑談する会」などでもいいと思います。
◇(2)社員の役割表を作る
社歴がそこそこある場合、今さら「誰が何をしているか分かりません」とは言いづらいと思いますが、これから新入社員が入ってきた時用のマニュアルを作る……という体裁なら、誰がどんな仕事をしているか、まとめた資料を作れますよね。
ぜひ「マニュアル作り」という名目で、社員の役割表を作ってみましょう。そうすれば「誰がどんな仕事をしているか分からない」問題は解決されるはず。新しく入った方からも感謝されるはずです。
■社内コミュニケーションが活性化するツール
リモートワークにおいて社内コミュニケーションを活性化させるには、ツールの導入がいいでしょう。おすすめのものを紹介します。
◇(1)Slack・Chatwork
社内コミュニケーションを改善するには「カジュアルに会話できるツール」を持つのが一番。メールや電話以外に「雑談をするための場所」を設けましょう。
無料でも使い始められるものは、アプリならSlackとChatworkが代表格。短文で気軽にやりとりできます。業務連絡以外に、たわいない会話をする専用スペースを作るのがポイントです。
☆導入する時は研修から
ツールを導入する時は、不慣れな層を置き去りにしないために研修を実施してください。特に「メールより会って話す」世代には、Slackや Chatworkなどのチャットツールはしんどいもの。
そういう方に向けては、会話中心の交流方法を用意しておいた方が良いでしょう。
◇(2)対話が好きな人にはZoom・Whereby
対面で会話したい人にとって、チャットツールは使い勝手がそこまで良くない。というわけで、ベタですがZoomやWherebyは人気です。無料版のZoomは40分で切断されてしまうので、ランチ前後でちょっと雑談するにはピッタリ。
オンライン飲み会を開催する時も使いやすいですが、その場合は「終わりの時間」を明確にすることで、家庭がある人への負担を軽減する配慮があると好かれます。
■社内コミュニケーションをさらに活性化させるコツ
最後に、社内コミュニケーションをさらに活性化させるコツをご案内します。リモートワーク中に使えるツール上のポイントも併せて紹介しますね。
◇(1)「若手の離職防止」など大義名分を掲げる
何はともあれ、社内コミュニケーションに必要なのは根回しです。
「このままでは若手が離職してしまいます」「アンケート調査の結果、社内のうつ傾向が○%増えました」
など、大義名分を掲げて、積極的に社内コミュニケーションを取ることに対する協力体制を仰ぎましょう。えらい人の協力を仰ぐこともお忘れなく。
◇(2)社外でも役立つメリットを持たせる
例えば、社内で「運動不足解消! 社員全員で1トン痩せよう」プロジェクトを立ち上げたとしましょう。
こういうプロジェクトは、やりたい人にはメリットがあるため参加しやすくなります。
「健康のためになる」など社外でもメリットを感じられる取り組みは、参加率が上がりやすい傾向にあり、その結果、社内コミュニケーションが活性化します。
なお、全員参加にするとただの残業感が出るため、任意参加にしましょう!
◇(3)ツールの雑談スペースは肩書の階層別に分ける
リモートワーク中にツールを使って社内コミュニケーションを活性化したい場合は、雑談スペースを肩書の階層別に分けるのがポイントです。
SlackやChatwork、またはZoomなどのスレッドや飲み会で「偉い人」が入ると、どうしても盛り上がりにくいもの。
できるだけ階層が異なる人は混ぜず、ざっくばらんに話せるグループを作りましょう。多少の愚痴あり、無礼講ありの空間をある程度許容できないと、ただの「メールの延長」スペースになってしまい、満足にコミュニケーションが取れないからです。
■社内コミュニケーションの促進はメリットだらけ!
ここまで、社内コミュニケーションを円滑にする方法をご案内してきました。
もともと活性化が難しいのに、新型コロナウイルスの影響で難易度が上がってしまった社内コミュニケーション。ですが、頑張れば離職率の低下や、社員のメンタル支援など、うれしい結果が残せるかも。
リモートワークの長期化で、社員みんなの心が危機にひんしているとしたら、今回紹介した内容を提案すると、会社にとってヒーローになるかもしれません。
(トイアンナ)
関連する診断も併せてチェック
※画像はイメージです