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【難読】“つじる”じゃないよね? 「辷る」の正しい読み方

ななしまもえ(芸術系ライター)

本や資料で見かけることがあるけれど、正しい読み方や意味が分からずスルーしてしまっている言葉ってありませんか?

社会人として、知らないまま恥をかくような場面には遭遇したくないですよね。

今回考えるのは「辷る」の読み方です。

辻って字に似ているので“つじる”? 「辻」は「十」ですよね。 「辷」は「一」。「十」は“つじ”だから、「一」は「つち」、なんてゲームじゃないですよ。

「辷る」の読み方は?

あまり見かけない字ではありますが、国字と言って日本で作られたものです。例えば「峠」や「襷」、「働」なども、この国字の仲間です。

なお、「辷」という字自体には、滑らかに進む、退くなどのニュアンスが含まれます。

気になる読み方の正解ですが……。これ、実は“すべる”と読みます。

「辷る」の意味と使い方

『デジタル大辞泉』によれば、「辷る」の意味は以下のように解説されています。

すべ・る【滑る/×辷る】
[動ラ五(四)]

1 物の表面をなめらかに移動する。「スキーで急斜面を―・りおりる」「船が川面を―・るように下っていく」「戸がよく―・る」

2 表面がなめらかで地面に接するものが安定を失って自然に動いてしまう。スリップする。「凍結して路面が―・る」「足が―・る」「―・って転ぶ」

3 つかもうとした物が、支えられないで手をすり抜ける。「茶碗が―・って落ちる」

4 ある地位を保てなくなる。「委員長の座を―・る」

5 調子に乗ったまま、事が望ましくないところにまで至る。余計なことを言ったり書いたりしてしまう。「口が―・る」「筆が―・る」

6 試験に失敗する。落第する。不合格になる。「大学を―・る」

7 俗に、面白いことをしゃべろうとして失敗する。冗談・ギャグが受けない状態をいう。「話が―・る」

8 そっと位置を移動する。ひそかに退席する。
「嫻雅 (しとや) かに座を―・った」〈魯庵・社会百面相〉

9 (天皇の)位を譲る。退位する。
「位を―・らせ給ひて、新院とぞ申しける」〈平家・一〉

[補説]「辷」は国字。

つまり、表面をなめらかに動くこと、つかもうとしたものが手をすり抜ける、といった意味合いで「辷る」という言葉を使います。

読み方は難しいのですが、日常生活の中で「雨の日は辷りやすいから~」など、耳馴染みのある言葉ではありますよね。

読めない漢字はきっとまだまだたくさん

あなたは「辷る」を正しく読むことはできましたか?

きっと世の中には、あなたが知らない言葉、漢字がまだまだたくさんあります。普段、国字を気にして使っている人は少ないでしょうが、「匂」や「峠」、「畑」など、馴染みのある漢字にも国字が多くあります。

よく使っている言葉も、中国から伝わったものではなく、実は日本オリジナルの漢字かもしれません! そういった視点で漢字を調べてみると、新しい発見があるかもしれませんね。

(ななしまもえ)

※この記事は2020年12月28日に公開されたものです

ななしまもえ(芸術系ライター)

漢字の形の美しさに惚れ込む元ダンサー。漢字はダンスで表現できると信じている。サッカー好きで一時はレッズの追っかけをした経験もあり。おっとりしているが、サッカーの話になると早口で熱くなる。3代続く正真正銘の湘南ガール。

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