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腟外射精では避妊は失敗する? 「外出し」をした時の対処法

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

腟外射精してしまった場合、どうすればいい?

腟外射精をしたり、コンドームが途中で破れたりした場合や、レイプ被害などの望まないセックスをした場合には、緊急措置的に妊娠の確率を低くする方法があります。

緊急避妊薬(アフターピル)を使う

緊急避妊薬(アフターピル)とは、避妊をしなかった、または避妊に失敗した性行為の後でも、72時間以内に服用することで、妊娠を9割程度阻止することができる薬です[*5]。日本では2011年から使用できるようになりました。しかし、いくつかの注意点があります。

注意点1:医療機関への受診が必要

アフターピルを使うには原則として婦人科の受診が必要です。オンライン診療に対応している医療機関もありますが、診療後に薬が郵送されてくるまでに時間がかかることもあります。薬が届くのを待っている間に72時間を過ぎないよう、注意しておきましょう。

なお、すべての婦人科がアフターピルの処方に対応しているわけではありません。アフターピルの処方が可能な婦人科を探せる検索システムなどを利用するとスムーズです。

注意点2:安くないお金がかかる

保険適用外で自費診療となるため、8千円~1万5千円程度かかります(費用は医療機関によって異なります)。ただし性被害にあった場合は、警察に届けると無料で処方してもらえます。

注意点3:性感染症の予防効果はない

アフターピルで阻止できるのは妊娠だけです。性感染症を予防する効果はありません。

注意点4:服用後にセックスすると妊娠する可能性がある

アフターピルを飲んだ後に性行為をした場合、妊娠阻止率は低下し、妊娠する可能性が高まります。

またアフターピルはあくまで「緊急措置」であり、日常的に使用する避妊方法ではありません。緊急避妊ピルだけでの避妊では、年間で15%程度が妊娠してしまいます。繰り返し服用が必要になるような場合は、経口避妊薬(ピル)を服用するなどの方法をとりましょう。

銅付加IUDを子宮内に挿入する

IUDとは子宮内避妊具のことです。子宮内に挿入することで、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ働きがあります。避妊をせずに行ったセックスの後、120時間(5日)以内に銅付加IUDを挿入すると、緊急避妊の方法としてほぼ100%の効果があるとされています[*6]。

緊急避妊のために挿入したIUDをそのままにしておけば、避妊の効果は数年間持続します。

ただし、かかる金額はアフターピルよりもだいぶ高額なうえ、月経以外の性器出血、腹痛などの副作用が生じる可能性もあります。

医療機関への受診が必要なことや、性感染症の予防効果がないことなどはアフターピルと同じです。また、最近は、銅付加IUDを置いていない医療機関も多くなっています。

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