「たわいもない」の意味は? 「たあいもない」との違いや例文を解説
「たわいもない」という言葉を耳にしたり、使ったりしたことはありますか? 「たわいもない」には、「とりとめもない」「思慮分別がない」という意味があります。今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、「たわいもない」の使い方や「たあいもない」との違いについて、解説してもらいました。
「たわいもない」と「たあいもない」は、どう違うのでしょうか?
普段「たわいもない」を使う人は、「“たあい”って何?」と思うでしょう。また、「たあいもない」をよく使う人も「“たわい”って何?」と気になるでしょう。
結論から言うと、「たわい」も「たあい」も同じ意味で、「他愛」という当て字があります。
どんな意味があるのか、調べてみましょう。
「たわいもない」の意味は?
辞書を引くと「たわいもない」の「も」が入らない「たわいない」が載っています。
まず、この「たわいない」から調べることにしましょう。
「たわい」は「思慮分別」のこと
たわいない【たわい無い】
(1)とりとめもない。思慮がない。
(2)正体ない。
(3)張り合いがない。てごたえがない。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
このように、「たわいない」には「とりとめもない」「思慮がない」などの意味があるということは分かりましたが、そもそも「たわい」とは、一体何なのかが気になりますね。
「たわい」を調べると、以下の意味があります。
たわい
(「他愛」と当てる)
(1)思慮分別
(2)「たわいない」の略。一説に「酒たわい(酒に酔うこと)」の略ともいう。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「たわい」とは「思慮分別」であり、「たわいない」とは、それがないことなので「思慮分別がない」という意味だと分かります。
また、正体がなくなるほど酒に酔うことも意味しています。
「たわいもない」は「とりとめもない」「思慮分別がない」こと
よく使われる「たわいもない」は、「たわいない」に助詞「も」を加えたものです。この場合の「も」は、「最も実現しやすく、条件としては最低のものであること」を示しています。
つまり「〜もない」は、「最低限あるはずなのに、ない」ことを示し、「〜さえ、ない」と同じような意味で、「普通はあるはずの思慮分別さえない」というわけです。
ただし、普段私たちが「たわいない」「たわいもない」と口にする時、さほど明解な使い分けを意識することは少ないでしょうから、ほぼ同じ意味だと考えて差し支えないでしょう。
以上をまとめると、「たわいもない(たわいない)」とは「とりとめもない、取るに足らないこと。思慮分別に欠けること。(お酒に酔って)正体がないこと。張り合いや手応えがないこと」という意味だと捉えることができます。
「たわいもない」と「たあいもない」は同じ意味
さて、「たあいもない」も調べておきましょう。
「たあいもない」は辞書に載っていませんが、「たあい」を引くと、続いて「たあいない」が見つかります。
たあい
(「他愛」と当てる)→たわいたあいない
→たわいない
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「たわい」も「たあい」も、漢字で書こうとすると「他愛」という字が当てられており、「たわい」を参照するように、とあります。
つまり「たわいもない」「たあいもない」は、漢字では両方とも「他愛もない」と書きます。
そして「たわいもない」「たあいもない」は、どちらも同じく「とりとめもない、取るに足らないこと。思慮分別に欠けること。(お酒に酔って)正体がないこと。張り合いや手応えがないこと」を表しています。