一直線でストイックな「ストキャリ」。アダストリア人事 西山かれんさんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:本間理央
撮影:洞澤佐智子
編集:高橋千里(マイナビウーマン編集部)
「頑張っている自分が好きなんです。後悔したくないので」
そんなせりふをまぶしい笑顔で放つ株式会社アダストリアの西山さんは、完璧主義で手を抜くのが嫌いな超パワフル女子。
アパレルブランド「GLOBAL WORK」の関西店舗で店長を務めた後、東京本部の人事部に抜擢されて、今は新卒採用の担当をしています。
趣味を聞くと、(良い意味で)アパレルっぽさはどこへやら。「……飲み会ですかね」と苦笑い。お酒好きも多い会社の飲み会では、ついつい仕事の話で白熱してしまうそう。
いつだって本気度MAXで日々の仕事に挑む西山さんは、強く生きる女性のタフな魅力に満ちあふれていました。
新卒入社後、約4年間の店舗スタッフ時代


株式会社アダストリアに新卒入社して、今年の4月から8年目になりました。弊社は新卒で入社すると基本的には店舗スタッフからのスタートになるので、「GLOBAL WORK」の店舗に配属になって、接客・運営をやっていました。
新卒3年目くらいで店長になって、その後1年間店長を務めた後に本部の人事部に異動。今は新卒採用を主に行っています。


学生時代、飲食店で接客業のアルバイトをしていたんです。勤務期間が結構長かったのもあってバイトリーダーになって、後輩に教えたり、店長と協力しながらお店をどう良くするかを考えたりしていて、それがすごく楽しかった。
お店の運営や、“店長”に憧れがあったんです。店長になりたくて就職活動していました(笑)。


それで、何のお店にしようかなと思っていた時に、ファッションが好きだったので、アパレル企業の募集要項を見ていて。「Heather」の店舗でアルバイトしていた友達からも、「Heatherの社員さんが会社(アダストリア)のことを『良い!』と言っている」と聞いて、アダストリアに興味を持ちました。
元々アダストリアのブランドが大好きというよりは、調べていくと社員の皆さんが楽しそうだったりとか、女性が活躍している印象があって、ここで働きたいなと。第一志望でした。




当時、スタッフも40~50人くらいいるような結構大きいお店にいたんです。そこでは、スタッフが楽しく働くことを重要視しながら店長として働いていて。自分の強みを生かせているなという実感があって。
だけど異動の話を聞いた時、それを外からも認めてもらえたんだなという感覚がありました。誰にでも巡ってくるチャンスではないので、挑戦しようかなと。
仲良しこよしとは違う「楽しさ」を求めて


異動してからは、本当に別企業に転職したくらい勝手が違いましたね。お店では自分なりにバリバリやっていたので、何もできなくて教えてもらって……という状況は結構久しぶりでした。
異動してすぐは楽しいと思えませんでしたが、今やっていて思うのは、お店で培ってきたものをちゃんと生かせてるなとか、この仕事も自分に向いてるのかもな、とか。楽しくやれています。声を掛けてもらったのは、奇跡的だなと思っていますね。


担当している仕事や課題に対して、どうやって自分なりに考えてやれるのかっていうのが、どの職種にも共通して大事だなと思っています。
お店にいる時だと、売り上げという責任もある中で、今何が足りないのかを考えて周りの人を巻き込みながらやるっていうことが店長だと思うんです。




店舗で働いていた時は、いち“お店の人”っていう感覚なんです。アダストリアの人っていうよりも“GLOBAL WORKの店長”みたいな。
新卒採用となると「会社全体の方向性を自分で理解する」っていう考え方にしないといけないのが、すごく違うところで難しいと思います。自分が良いって思うことが、必ずしも会社にとって良いとは限らないところが、悩みますね。
日々勉強になるので、異動して良かったなと思う部分でもあるんですけど。


今までは「Play fashion!」というキャッチコピーを掲げて、会社の大事にしていることを打ち出す広報活動はできていたのですが、採用としてはできていませんでした。
「こういう人に入社してほしい」っていうイメージがちゃんと定まってなかったのと、それを共通認識にした上で、そういう人たちに響くような広報活動がしたいよねという課題があったんです。
新しい採用サイトでは「世界が変わるのを、私は待っていられない。」という攻めたコピーを掲載して、一貫したキービジュアルで認知してもらうことで、会社が求めている人材のイメージが伝わるようにしました。めちゃくちゃ大変でしたね。


ありました。応募人数もある程度確保した中で、欲しい人材を採用する。どっちも取るって結構難しいし、ターゲットを狭めると分母が小さくなる。コピーも結構強めのものを掲載したので、どうなるかなと不安でした。
でも結局、採用という“点”の話で見ると怖いんですけど、ちゃんと企業理解をしてもらった上で理念にマッチして入社してもらうことによって、退職率も低くなると思いますし、みんな楽しく長く働いて活躍できる。長い目で見ると重要だなと思ったので、舵を切りました。


「仕事が楽しい」って、仲良しこよしの「楽しい」と、やりがいがあって自分にしかできないことがある「楽しい」とでは、全然意味が違うと思っています。
後者のような、新しいことに挑戦できたり目標を達成したりすることで「楽しい」と思ってくれるような人に来てもらいたいなと思ったんです。


変わりましたね。「新しい挑戦をしたい!」とか「アダストリアに入ったらこういうことをしたい!」とか、面接で意欲的なことを言ってくれる人がたくさんいて。
今年の新卒採用はリモート面接だったので、まだ画面越しでしか会えていない人たちもたくさんいるのですが、感覚的なところでは、メッセージが伝わっているのかなと思っています。
上司に言われたことも、きちんと納得して理解してからやる


そうだと思います。会社も70年弱続いてて、いろいろ変化しながらビジネスモデルも変えながら成長してきたので。
新しいことを始める文化や、失敗したらまた違うことをやればいいよねっていうスタンスが根付いていると思っていて。「これをやりたい!」と言えば、「やってみなさい」と答えてくれるし、そういう人が良いとされてるとは思います。










本部は「できるだけ在宅で作業する」っていう方針になってました。人事部はメンバーが入れ替わったタイミングだったので、そこのコミュニケーションはなかなか難しかったですね。
隣ですぐ相談できないとか、異動してきたばかりの後輩にすぐに教えてあげられないとか、そういう面でちょっとやりにくいところはありました。だけど、普段の仕事は全然できました。



今年の新卒採用は「YouTubeライブ説明会」




入社後に活躍しているイメージを持ってもらうのを大事にしているので、会社の話ももちろんするんですけど、いろんな職種の社員の話が聞けるようにしました。
私が司会をやって、各職種の人に仕事内容をスライドで説明してもらった後に、YouTubeで見ている学生さんたちにコメントで質問してもらって、それに社員みんなで答えていくのをやりました。




好きなのは、社員みんなが自分の会社を好きなところです。面接の時に学生さんたちに言われるんですけど、アダストリアのブランド店舗でバイトして、社員になりたいと思ってくれる子がすごく多いんですよ。
それって自身がお店で楽しく働いていたりとか、社員の人が楽しそうじゃないと、そう感じないですよね。会社が好きだから頑張れる、みんなに自慢できる会社だっていうのは良いなって思ってます。




あ、でも、もっとこうなれば良いなっていうのはありますね。お店で働いているスタッフは、本部からの距離が遠かったりするから、アダストリアの一員っていう感覚が本部の方と比べると少ない。
自分が今やってる仕事が会社の何につながっているとか、会社の成長戦略のここの部分が今の自分の仕事で、それを頑張ってやることで会社の成長につながっているとか。そういう実感をみんなが持てるようになればいいと思います。
一人一人が、会社のことをもうちょっと考えましょうってことですね。

※この記事は2020年07月22日に公開されたものです