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失敗してもめげない「てへキャリ」。ルルルン商品企画 山口美咲さんの働き方 #働くわたしの選択肢

#働くわたしの選択肢

本間理央/六織

「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。

取材・文:本間理央、写真:洞澤佐智子、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部

「みんなに助けてもらっているから、いつかそれを返せるように頑張りたい」

小動物のようなかわいい顔でそんなことを言われたら、誰だって胸をぶち抜かれます。

少しおっちょこちょいなところがあるけど、頑張り屋さんで社内の愛されキャラでもある、株式会社グライド・エンタープライズの山口美咲さん(28歳)。幼稚園のころから好きだった化粧品に魅せられて、今は爆売れフェイスマスク「ルルルン」の商品企画に携わっています。

休日も独学で仕事のことを勉強したり、仕事に還元できるような活動をしたりと、こんなに真面目ってガチ? ……と思いきや、男性ダンス&ボーカルユニット「超特急」のライブにも通い詰めているご様子。

好きなことに一直線でブレないオタクな一面は、山口さんのあちらこちらに散りばめられていました。

「化粧品が好き」というブレない気持ち

ライターの本間です。今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
山口さんは、この会社は何社目ですか?
2社目です。新卒から約3年間は、化粧品の輸入販売会社で営業をしていました。
今のお仕事と共通点がありますね。ブレない軸を感じます。
主にPLAZAさんや東急ハンズさんなど、バラエティショップを定期的にまわるような営業をしていました。化粧品売り場の交渉や商品のご提案をさせていただいて、一緒に売り場作りをしていくという仕事です。
その会社を辞めたきっかけはあったんですか?
働いていくうちに、扱っている商品に対して「こうすれば、もっとお客様に寄り添える商品になるのにな」と感じるようになりました。自分の会社の商品ではないので商品自体を変えることは難しい。そう考えてから、お客さんの声を直接反映できる“商品作り”に携わりたいと思うようになったんです。それでメーカーに絞って転職活動をするようになりました。
化粧品に携わりたいという思いは、昔からあったんですか?
もともと化粧品を好きになったのは、幼稚園のころがきっかけでしたね。
早い! おませさんですね。
お母さんの持っていたネイルを塗ってもらって、それがすごくうれしくて。化粧品って見た目も変わるし、なんでもない日常をハッピーな気持ちにさせてくれる。化粧品ってすごいなと思いました。
その気持ちを、ずっと胸に秘めていたんですね。
はい、そういうものに将来もかかわりたいなって。高校生のころに進路を考えるようになったときもそう思って、栄養学と化粧心理学という化粧品の歴史を学べる大学を選んだんです。

そして晴れて、今のお仕事に。具体的なお仕事内容はどんなものなのでしょうか?
今は主に「ご当地ルルルン」という、ご当地原料を使ったお土産用の地域限定フェイスマスクの商品企画を担当しています。実際にその地域に行って地元の方とお話ししたり、その土地の歴史や文化を調べたりして、それを活かした商品・コンセプト作りをしています。
商品企画の部署は、もともと希望していたんですか?
はい! 商品企画をやってみたいと思っていたときに、ちょうど募集を発見したので。あとはもともと「ルルルン」のファンだったのもあって応募しました。
やりたいことが明確だったんですね。「ご当地ルルルン」担当ということは、日本全国への出張が多いんですか?
そうですね。わたしが入社してからは、発売した商品の土地は全部行きました。例えば、伊勢では元号が令和に変わるときに「お伊勢ルルルン」を伊勢神宮に奉納させていただきました。伊勢神宮の「ありがとう」と「おかげさま」の思いに共感し、伊勢市のご協力のもと誕生した商品であるため、その思いを間近で感じることができる貴重な経験でした。
お伊勢さんのマスク、使ったらいいことありそうです。今、ご当地ルルルンは何種類くらいあるんですか?
国内だと、20種類ですね。
わ~、海外限定のルルルンもあるんですか?
ハワイ限定があるんですよ! ルルルンは海外での販売も強化しているので、ルルルン自体は17カ国で展開をしています。
グローバルなんですね。ご当地ルルルンをつくるときって、会社のほうからアプローチするんですか? それとも向こうから?

両方ありますね。一番最初は沖縄からはじまりました。それが空港とか各地域に展開されて広がっていくうちに、ありがたいことにあるお土産問屋さんから「うちの地域でも販売したい」とご連絡をいただきました。すごく熱意を持って会いに来てくれたんです。それがきっかけでできたのが栃木のルルルンなんですよ。

人と人との出会いによって誕生するのが、ご当地シリーズ「旅するルルルン」です。もちろんわたしたちからお願いすることもあります。

ご当地ルルルンを担当していて、大変なことはありますか?

箱根バラのルルルンで言うと、“箱根バラ”自体を見つけることが大変でしたね。箱根地域をたくさん調べて、地元の人に愛されている“箱根バラ”に、やっとたどり着くことができました。箱根ルルルンを通して、絶滅危惧種の“箱根バラ”を多くの方に知っていただくことで、箱根地域へも貢献ができたらうれしいなと思っています。

“箱根バラ”のエキスはもともと化粧品の原料として存在していなかったもので、ルルルンがその原料を登録・申請して使えるようになったんです。原料の登録ができるのはアメリカで、申請したものが使えるようになるまで半年くらいかかるんですよ。

すごい! 正真正銘、唯一無二のエキスじゃないですか。
そうなんです! こういうふうに新しくエキスを作るときは、前例がないので分からないことも多くて。工場や原料メーカーに相談して、各所に問い合わせをして……結構大変ですね。周りの方にフォローしていただきながらやっとできた商品なので、とても思い入れがあります。

かわいくて、本格的。ルルルンの魅力とは

自分の部署以外とのかかわりも多そうですね。
多いですね、営業チームや制作チームと毎日打ち合わせます。あとは、女性社員のみんなに意見をもらったり。今、これから発売するルルルンの化粧水企画にも携わっているんですけど、会社の人たちに「試しに塗ってくれませんか?」ってお願いして、すっぴんになって塗ってもらっています(笑)。
仲良し! すり合わせとか調整とかもたくさんありそうなイメージです。
フェイスマスクの打ち合わせは結構アカデミックです。商品開発の研究チームと話し合ったりとか、「五感情報工学」の第一人者である横浜国立大学の岡嶋克典教授と「最高に心地良いフェイスマスク」を目指してシートの開発をしたり、商品完成まであらゆる方面から研究を重ねます。
かなり緻密に作られている本格的なマスクなんですね。さすが爆売れしているだけあります。
見た目がかわいらしいのに、意外と中身にこだわって作っているのがルルルンのギャップ。そのこだわりをあまり主張しないところが、ルルルンのかっこいいところだと我ながら思っています。「毎日のごきげんをつくる」ことがルルルンのコンセプトなので、使ってくださっている皆さんがハッピーな気持ちになってくれていたらうれしいです。

主張しなくてもお客さんに届いているのがすごいです! 社員の方も、みなさんやっぱり美容に気を遣っているんですか?
そうですね。特にわたしの上司はすごく健康・美容に気を遣ってます。わたしは栄養隊長として、毎日頑張ってお弁当を作っています!
お弁当女子、尊敬します。美容だけでなく健康も強く意識していらっしゃるんですね。
美容と健康ってつながっているんですよ。この会社に入ってから、身体に取り入れたり触れたりするものの大切さを考え直す機会が多くて。このあいだも、社長が水道水の塩素を取り除くポット型浄水器やシャワーヘッドを全社員に配ってくれたんです。そんな感じなので、自然と健康を意識するようになりましたね。

情に厚い人が多くて、家族みたいな距離感

会社の雰囲気ってどんな感じなのでしょうか?
今は社員が約30人いて、男女比は半々くらい。仕事中は真面目で、仕事が終わればみんなで食事に行くことも多いです。社員同士の距離が近い会社ですね。家族みたいです。
社外活動も多そうですね。休日とかは社員同士で遊びに行ったりするんですか?
多いと思います。箱根のルルルンが完成したときは、みんなで箱根に行ってバーベキューしました。休みの日も、このあいだは商品企画チームのみんなで劇団四季のミュージカルを観に行きました。全員女性なので、女子会です!
じゃあ結構風通しがいいんですか? 先輩後輩関係なく、みたいな……。
えっとですね……そこは、結構しっかりしているかもしれないです。運動部出身の人が多いので、体育会系なんです。あいさつとか礼儀とかはみんなしっかりしています。

ちょっと意外です! ちなみに、社内恋愛とかはどうですか?
既婚者がほんっとに多くて、私が知る限りではないです。未婚男子が2人しかいなくて……。
ちょっと選択肢が少ないですね……(笑)。山口さんは、プライベートは何をされてるんですか?
友達とご飯に行ったりとか、自分の時間があるときは、商品の原価管理についての本を読んだりとか。あとは美術館も好きです。センスのいいものを取り入れていったほうが商品の企画に活かせるかなと思って、入社してからよく行くようになりましたね。平日もほぼ仕事のことを考えてるかもしれません(笑)。
真面目!!
あ、でも……「超特急」のタクヤ君(4号車・イメージカラー緑)推しで、ライブには必ず行ってます。強火(熱狂的なファン)です……。
オタクな一面が隠されていたとは! ライフワークバランスでいうと、普段は残業とか多いんですか?
残業は、毎日1時間から1時間半とか。働きやすいですね。今のチームは全員女性で、年齢もそんなに離れていないので、話しやすい環境です。部署に限らず、いろんな部署の人とかかわりますし、たくさんフォローしてもらってます。
今の会社の好きなところは?
上下関係はあるんですけど、優しくて情に厚い人が多いところですかね。わたしがミスをして落ち込んでいると「ご飯食べに行く?」と声をかけてくれる先輩や同僚がいて。“人がいい”っていうのがうちの会社の特徴かな。助けてもらってばっかりです。いつかそれを返せるように頑張りたいなって。
チーム感が伝わってきます。
そうですね! 本当にそうです!!
でも、実は不満があったりとか……?
えっと、本当にない、です。あ、お給料は「上げてほしいです」って社長に宣言して、今頑張っているところ。ちっちゃい会社だからみんな見ているので、結果を出せば希望は通りやすいんです。
ベンチャー気質を感じます。辞めたいと思ったことは?

うまくいかなくて落ち込むことはありますが、そういうときは絶対に誰かがフォローしてくれる。助けられて気持ちを持ち直すようにしています。

それに、ちっちゃいころからずっとやりたかった仕事だっていうのを初心に返って思い出すと、もっと頑張ろうって。辞めたいと思ったことは、ないですね!

※この記事は2020年03月30日に公開されたものです

本間理央/六織

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