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ガマン汁、カウパー液でも妊娠するの? 知っておきたいその正体

セックスの基礎知識

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

及川夕子

妊娠を避けるには? 正しい避妊方法

望まない妊娠をした場合、体への負担が大きいのは、いうまでもなく女性です。自分の体を守るためにも、正しい避妊方法をきちんと知っておきましょう。

日本で普及している避妊法には、コンドーム、経口避妊薬(低用量ピル)、IUS/IUD、不妊手術などがあります。

コンドームだけでは確実な避妊はできない

すでに述べたように、コンドームの避妊効果は確実ではないため、低用量ピルとの併用が勧められます。

コンドームは、エイズや梅毒、淋病といった性感染症を予防するためにも必要です。性感染症を確実に防ぐためには、オーラルセックスのときにもコンドームを装着しましょう。

コンドームをパートナーにつけてもらうことは大事なことで、恥ずかしいことではなく、負担に思うことでもありません。ガマン汁で妊娠する可能性もあるため、挿入する前(勃起すると同時)につける必要があります。

その他、主な避妊法のメリット、デメリットについても次項で紹介するので、押さえておきましょう。

主な避妊法の種類と避妊効果

さっそくそれぞれを使った場合の妊娠率(※)とメリット、デメリット[*2, 3]を見てみましょう。

※選んだ避妊方法を正確に使用した場合でも、使用開始1年以内に妊娠する確率(つまり数字が低いほど避妊効果が高い)。

経口避妊薬(低用量ピルOC)

妊娠率は0.3%(※)。

2種類の女性ホルモンが入った薬を飲むことで排卵を止める避妊方法。医師に処方してもらいます。

女性主体で避妊ができますが、毎日飲まなくてはなりません。

一時的なむくみ、吐き気、少量の不正出血をきたすことがあります。また、年齢や持病によって血栓症や心筋梗塞などのリスクを伴う場合には使用できないことがあります。

IUS(子宮内避妊システム)・IUD(子宮内避妊具)

IUS(子宮内避妊システム)・IUD(子宮内避妊具)

IUSの妊娠率は0.2%(※)、IUDの妊娠率は0.6%(※)。

特殊な器具を子宮内に挿入し、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐものです。装着は医師が行います。

一度の装着で2〜5年間、避妊効果を維持できますが、不正出血や痛みが出ることがあります。

また、自然に脱落することがあるので注意が必要です。

コンドーム

妊娠率は2%(※)。

簡単に手に入り性感染症予防に役立ちますが、男性の協力がないと使えないというデメリットがあります。また、破損や脱落、精液が漏れることもあります。

どんな避妊方法でも100%の避妊効果はないということがわかったと思います。

避妊に失敗、望まないセックスだった……など緊急時の対処法

コンドームが外れた・破れた、精液やガマン汁が入った、低用量ピルを飲み忘れたなど避妊に失敗した場合。レイプ被害など、望まないセックスをした場合。

そんな緊急事態が起こった場合の対処法があります。

72時間(3日間)以内に「緊急避妊ピル(通称アフターピル)」を服用することで、約80%という確率で望まない妊娠を避けることができるのです。

アフターピルの特徴

・日本で認可されているアフターピルは性交後72時間以内に服用するタイプ(一部のクリニックでは、120時間以内に服用するタイプを処方される場合もあります)

・避妊効果は100%ではない。性交後72時間以内の服用で妊娠阻止率は81%[*4]。また、性交後、できるだけ早く服用した方が効果は高い

・性感染症の予防効果はない

・原則として婦人科受診が必要。保険適応外で費用は医療機関によって異なるが、1万円以上かかることも多い(性被害にあったときには警察に届けると無料)

・一時的に頭痛や、胃の痛み、吐き気などの副作用が出ることがある

・服用後の性交で妊娠する可能性がある。

アフターピルには上記のような特徴が挙げられます。

緊急時というニーズに対応するためオンライン診療&処方を行うクリニックもあります。ただし、配送に時間がかかる場合があるので注意しましょう。

なお、通販サイトで扱っている薬や海外からの並行輸入品は、偽物の可能性があるため利用しないようにしましょう。また、SNS等での取引には絶対に手を出さないことです。

アフターピルは、あくまでも「緊急措置」として知っておくとよいでしょう。普段は、身体的・経済的負担も軽い「低用量ピル」でより確実な避妊をする方法が勧められます。

正しい知識を身につけたうえで充実したセックスライフを

セックスや避妊法については、いまだに誤った情報や都市伝説のような迷信も少なくありません。正しい知識を身につけることは、自分自身はもちろん、パートナーの心とカラダを守ることにもつながります。

充実したセックスライフを送るためにも、ぜひ参考にしてみてください。

(文:及川夕子/監修:宋美玄先生)

※写真はイメージです

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会編 human+ P27
http://www.jsog.or.jp/public/human_plus_dictionary/book_vol2.pdf
[*2]病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 医療情報科学研究所/編集P96~99
[*3]Contraceptive Technology, 20 ed,. Ardent Media, 2011 Table3-2 改変 http://www.contraceptivetechnology.org/CTFailureTable.pdf
[*4]ノルレボ錠1.5mg 添付文書
https://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/news/filedownload.php?name=c60608ccd0e7b83afe647d8776f5f33f.pdf
[*5]NPO法人ピルコン (アフターピル・緊急避妊) https://pilcon.org/help-line/afterpill

※この記事は2020年02月17日に公開されたものです

宋美玄(産婦人科医・医学博士) (産婦人科医・医学博士)

大阪大学医学部医学科卒業。丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。

主な著書に、ベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちいいセックス』がある。

一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事

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及川夕子

ライター、編集者。新聞社勤務を経て、20代後半で独立しフリーランスに。新聞、雑誌、WEBメディア、書籍などの企画、編集、記事執筆を手がける。近年は、「40歳からのからだ塾」(クロワッサン)、「きちんと知る女性のからだ」(シティリビング)などの連載をはじめ、女性の健康・美容、更年期のヘルスケア、医療分野の取材、執筆を中心に活動。メノポーズカウンセラー(NPO法人更年期と加齢のヘルスケア学会認定資格)、女性の健康推進員(NPO法人女性の健康とメノポーズ協会認定資格)。
https://twitter.com/cosmos201710

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