ハングリー精神は、大人になってからでも鍛えられるの?
どん底から「なにくそ!」と這い上がる根性やガッツのある人を「あの人は“ハングリー精神”がある」と言ったりしますが、このハングリー精神というのはどのように育まれるのでしょうか。他人と競争するのが嫌いだったり、穏やかな性質の人が、ハングリー精神をきたえることは可能なのでしょうか。今回はこの「ハングリー精神」なるものについて、心理学者の平松隆円さんに教えていただきます。
最近はあまり耳にすることが少なくなった、“ハングリー精神”。一般的には、貧しく恵まれない環境から脱出するために必要な、強い気持ちという意味で使われます。
たとえば、サッカー選手のロナウドやネイマールのように、「スラム街から抜け出すためにプロの選手になる!」と決心し、見事に一流のサッカー選手になり成功をつかんだという例もあります。
このハングリー精神というのは、逆境に身を置かないとめばえないのでしょうか。
「ハングリー精神」って?
まずは、ハングリー精神について、考えてみましょう。
冒頭でもお伝えしたように、ハングリー精神は、「貧しく恵まれない環境から脱出するために必要な強い気持ち」という意味で使われることが多いです。ハングリーとは、英語の「hungry」からきていると考えられますので、貧しくて、食べるものにも困っている境遇から抜け出したい、という強い気持ちが、成功への原動力になっていると考えられています。
あくまでステレオタイプ的なイメージですが、ボクシング選手やサッカー選手なんかに、このハングリー精神を持った人が多い気がします。ブラジルの伝説的サッカー選手・ペレは少年時代、サッカーボールを買うお金もなかったので、道ばたに落ちているグレープフルーツで練習をした、という伝説もあります。これなんかは典型的なハングリー精神の代表格でしょう。
ところで、ハングリー(hungry)とよく似た言葉に“飢え”を意味する“hunger”という言葉があります。このhunger、欧米では“意欲”という意味でも使われています。
つまり、貧しく恵まれない環境から脱出するために必要な強い気持ちだけをハングリー精神ととらえるのではなく、向上心や意欲的な気持ちがあることも、ハングリー精神と呼べるでしょう。