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はじまりはK-POPアカウント。韓国コスメに愛を注ぐおめらすさんの場合 #コスメ垢の履歴書

ひらりさ

コスメを偏愛する「コスメオタク」が増えている。中でもTwitterの「コスメ垢」は、よりディープな情報発信の場として話題。この連載では、ライターひらりささんがいま気になるTwitterコスメ垢にインタビュー。彼女たちのおすすめアイテムや美容愛、さらには人生までをも覗き見ます。

同人サークル「劇団雌猫」所属の美容オタクライターひらりささんが、いま気になるTwitterコスメ垢の実態を探る連載「コスメ垢の履歴書」

今回は、韓国コスメに熱烈な愛を注ぐ、おめらすさん(@omelas_makeup)にインタビューしました。

「K-POPオタクアカウント」から派生して、コスメ垢を開設

――おめらすさんがTwitterアカウントを開設したのはいつごろですか?

2018年の4月です。2017年末にコスメについて発信するブログを開設したので、その告知をしようとはじめました。

私はK-POPグループのBTS(防弾少年団)が大好きで、それまではBTSの情報を発信するオタクアカウントを運営していたんです。今使っている「omelas」というアカウントネームも、MVのなかで使われている言葉で。

さらに元をたどると『ゲド戦記』で知られるSF作家アーシュラ・K・ル=グインの短編に出てくる、一種の理想郷の名前なんですけど。

――深い意味が! オタクアカウントではどんなことを発信していたんですか?

昔から何かをまとめてひとつにしたり、そこにあるものが何なのかを探ったりするのが好きだったんですね。なので、BTSのテレビ生放送のときに楽屋に置いてあったコスメがなんだったかとか、メイクさんがこのアイテムを使っていただとか、マニアックな情報を調べてつぶやいていたらフォローしてくださる方が増えて。

合間に自分のおすすめ韓国コスメも紹介するうちに、美容アカウントやコスメアカウントのフォロワーさんも増えたので、もっとコスメのことだけを紹介する場所を作ろうかなと思ったんです。

――ブログとTwitterはどうやって使い分けているんでしょうか?

メインはブログですが、その人自身のパーソナルな部分が見えると、読んでいる側も、発信している情報を信頼しやすいと思うので、Twitterやサブブログなどでは、コスメ以外の部分も出すようにしています。

ちょっと話がずれるかもしれませんが、私がBTSを好きになったのも、「人間」を感じたからというのが大きくて。大手事務所の所属じゃないせいか、V LIVE(グローバルスターのライブ動画配信アプリ)などでも、自分の考え方や美的感覚などをさらけ出してくれていたんですよね。

そういう姿勢に、ほかのグループには感じられなかった親近感がわいて。ひとつの「ストーリー」を見ているような気持ちで彼らにハマっていったのが、自分のSNSでの発信にも活きていると思います。

韓国コスメに目覚めた中学生時代

――ちなみに、韓国コスメにはもっと前からハマっていたんですよね。

そうそう。ハマったのは2009年のころかな。中学2年生でした。

――早い! 今は韓国コスメがすっかり日本でも定着してますけど、当時ってありましたっけ……。

またしてもアイドルの話になるんですけど、ちょうど第2次K-POPブームが日本に来ていて。私は東方神起のファンでした。同時期に少女時代も全盛期で、「韓国のお姉さんたちって、メイクが全然ちがう!」って感動したんですよね。

眉毛は太くて平行で、目の下がキラキラしていて、ティントの独特な着色もきれいで……。新しいことは誰よりも先にやりたい性格だから、私もあんなふうになりたいなあと思って、輸入で集めはじめました。

――日本で売ってるものもありました?

高級クリームとかBBクリームとかは上陸していましたよね。はるな愛さんやIKKOさんが、年上世代にむけて「韓国美容」の発信をしていました。

――あー! たしかに。

私が初めて買った韓国コスメは、今でも大好きなブランドである「HOLIKA HOLIKA」のアクア プチ ジェリー BBクリームでした。プリンみたいな見た目と触り心地で「何これ!」と心をつかまれたんです。

「ETUDE HOUSE」も当時からかわいかった。ディア マイ ジェリー リップトークとかベイビーシュー ベースとか、スイーツを連想させるようなアイテム・カラーバリエーションが豊富で、韓国のネット通販サイト「Gmarket」(現在は「Qoo10」)で注文して、ドキドキしながら待ってました……。そうそう、すごく好きだったETUDE HOUSEのCMがあって(iPadをひらく)。

――お、KISS NOTE……?

ディアマイ リップトークをプロモーションするWEBドラマなんですけど、韓国の女性グループ2NE1(2016年に解散)のダラちゃんが主人公で、毎回SHINeeのそれぞれの男性メンバーといろんなシチュエーションで出会うんですね。

各々のメンバーに割り当てられたリップカラーがあって、そのリップで“KISS NOTE”に名前を書くとSHINeeの男の子たちが召喚されるんです! ぶっとんだコンセプトなんですが、こういう世界観の作り方やブランディング、パッケージに魅了されて「お化粧って、魔法なんだよな」ってしみじみ思ってました。

――韓国語は普通に読めるんですか?

読み書きは多少できるんですが、まだまだ勉強中ですね。それと実は韓国に一度も行ったことがないんですよ。なんで行ってないのか自分でも不思議なくらいなんですけど。

――そうなんですね。「住んでるのかな?」くらいに思っていました(笑)。

Instagramで韓国の人から「現地の情報いつもありがとう」とかDMいただくこともありますね(笑)。ただ、「一度も行ったことないけどすごくくわしい」という立ち位置も、それはそれでおもしろいかもと思ってます。韓国のブロガー・インスタグラマーさんが新作を試しているのをチェックすれば、情報もいち早く手に入れられますし。

――商品も、今はなんでも通販で手に入れられますしね。コスメは1カ月にどれくらい買うんですか?

日本のプチプラコスメも大好きなので、それを含めて3〜4万円くらいですかね。熱しやすく冷めやすい性格で、急にボードゲームとかバービー人形にハマりたくなることがあり、そういう別の趣味にお金を使うときは、控えめになります(笑)。

メイクをしている時間は「まるで瞑想」

――おめらすさんの、今の推しブランドはなんですか?

CLIOと、その妹ブランドのペリペラですね! CLIOはもともとプロのメイクアップアーティスト向けにはじまったブランドなんですけど、本当に素晴らしいアイテムの宝庫で。年齢を問わず使えるパッケージデザインでありながら、質はめちゃくちゃ高くて総合的に素晴らしいです。

CLIOの中でさりげなく名品だなと思っているのは、マッド マット ティント。ちょっとマットな感じで、指でつけるとホワッとした発色が広がって、ティントのイメージを覆されます。チャイティーラテがお気に入りのカラーです。

――名前もかわいい……! このあたりで、使っているコスメアイテムも教えていただけますか。

本当に収集癖がすごいので、使うアイテムの移り変わりも早いんですよね。ここ1~2週間のキットだとこんな感じです。

左から、
A’PIEU クチュール ハイライター 02 ライトショー
innisfree ノーセバム ミネラルパウダー
milimage リップ&アイカラーバー 04 ルアーマゼンタ
マジョリカ マジョルカ オープンユアアイズ OR401 最短距離
rom&nd ゼログラムマットリップスティック ダスティーピンク
MERZY ザ ファースト ペン アイライナー P1 オレオ
bbia ラッシュサロンマスカラJCカール 01 ベルベットブラック
merzy ザ ファースト クッション カバー CO1 ポーセリン
ETUDE HOUSE カラフルビビッドティント PP501
CLIO マッドマットティント 08 チャイティーラテ
innisfree チェジュ チェリーブロッサム トーンアップクリーム

ここ最近特に推しているのが、innisfree(イニスフリー)チェジュ チェリーブロッサム トーンアップクリーム。トーンアップが主体なのですが、桃色のコントロールカラーとしても効くので、下地も兼ねて使ってますね。コスパがいいし、桜もちみたいな匂いが最高なんですよ〜。イニスフリーといえば、ノーセバムパウダーが「国民の粉」と呼ばれていますが、こちらも本当に優秀で。

――私も韓国土産でもらったことがあります!

韓国女子は前髪をととのえるために使ってる人が多いみたいですね。肌にも、これをはたいておくと、時間が経ったときの仕上がりが全然ちがうんですよ。脂が浮いてこなくなる!

そうだ、A’PIEU(オピュ)クチュール ハイライター2番は、韓国人のブログ読者さんがすすめてくれたものです。韓国コスメっていくつか生産工場があるんですが、そのひとつで作られたものは、どのブランドであってもとても品質がいいと言われているんですね。このハイライターはまさにそこの工場で作られているらしくて。ナチュラルに光る偏光ピンクが素晴らしくて、めちゃくちゃヘビロテしています。

――化粧ポーチのコスメ一覧にあるrom&nd(ロムアンド)ってブランド、うっすら聞いたことあるんですが、気になります。

これはYouTubeでも活躍しているビューティクリエイターさんがプロデューサーをしているブランドです。パーソナルカラーに特化したアイテムを展開していて、質もとてもいいんですよ。

ゼログラムマットリップスティックのダスティーピンクが本当にお気に入りです。名前からもわかるように、とっても軽い! これまでつけていた口紅と全然ちがうつけ心地で衝撃でした。アイシャドーの粉質も発色もいいですし、もっと日本でも知られてほしいですね。

――すべてのアイテムに対する語りが、愛にあふれていていつまでも聞いていたいです……! おめらすさんにとって、メイクってどんな存在ですか?

時間をゆっくり使って自然光の当たるところでゆっくりメイクをしているとき、「これって瞑想みたいだな」と思うんです。本当に集中していて、終わるとどっと疲れていることも(笑)。自分のすっぴんの上に絵を描く、ヒーリング・セラピーのようなものだなと感じています。ある種のアートだとも思っているし、自分自身と向き合えるいい時間ですね。

――コスメに出会って、人生変わりましたか?

実はコスメブログをはじめたのは、進路に悩んでつらかった時期で。気持ちや気分を文字にして昇華させることで、落ち着くのを実感しました。おかげさまで雑誌の仕事やPRの仕事などもいただくようになったのもとてもうれしいです。

どのコスメも我が子のように思っているから、ひとつの唇、2つの目、ひとつの顔しか持ってないのがじれったい。すべての子を顔面に登場させてあげたいので、どうやって大切にしていくか、もっと考えたいなと思ってます!

――これからも応援しています!

コスメ垢「おめらす」さんの履歴書

(取材・文:ひらりさ、編集:高橋千里/マイナビウーマン編集部)

※写真のコスメはすべて本人私物です

『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』劇団雌猫

劇団雌猫の大人気同人誌『悪友DX 美意識』のグレードアップバージョン。化粧、ダイエット、エステ、整形、ロリータ、パーソナルカラー診断、育乳……。さまざまなジャンルのおしゃれに心を奪われた女性たちが、ファッション・コスメへの思い入れや、自身の美意識をつまびらかに綴り、それぞれが「おしゃれする理由」を解き明かす匿名エッセイ集。

※この記事は2019年09月07日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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