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事実婚の手続きの方法。解消の際はどうする?

パンジー薫

刈谷龍太(弁護士)

事実婚を解消するには?

法律婚の場合、パートナーを解消するには「離婚届」を出す必要がありますね。

では、事実婚の場合はどのようにしたらいいのでしょうか?

自分たちの経験を交えて、そのあたりのことを解説します。

2人の「合意」が必要

子どもができたことで、私たちにとってメリットよりもデメリットの増えた事実婚。

そこで事実婚を解消し、法律婚することになったのですが、解消するにあたり何をしたのか。

……特に何もしませんでした。しいて言うなら、事実婚をやめるという「意思」があっただけ。

そう、双方の同意のもと「離婚届」の提出がない限り「離婚」できない法律婚とちがい、どちらか一方が関係を破棄した時点(たとえば同居の解消など)で、事実婚は解消されてしまうのです(私たちの場合は事実婚から法律婚への切り替え……という形でしたが)。

とはいえ、正当な理由もなしに一方的に別れを告げると、相手に対して慰謝料を支払う必要が出てくる可能性もあります。

結果として別れを告げた側に落ち度がある場合,慰謝料を支払う必要が出てくる可能性があるのは法律婚も事実婚も同じです。

2人の意思だけで成立する「事実婚」ゆえ、パートナーに裏切られたら泣き寝入りするしかないと思われるかもしれませんが、それは大まちがい。

社会的には婚姻関係のある夫婦として、一定の法的保護が事実婚にも与えられているので覚えておきましょう。

揉めたら、内縁関係調整調停へ

事実婚を解消する際、当事者で解決できないほど揉めてしまった場合は、家庭裁判所に「内縁関係調整調停」の申し立てができます。

法律婚の場合は「夫婦関係調整調停」ですが、区別するために名前がちがうだけで、内容は同じです。

別れる際、正当性が認められるケースとは

ちなみに、以下のいずれかに該当した場合は相手に慰謝料を請求できます。

(1)配偶者が不貞行為をした
(2)配偶者から悪意に遺棄された(同居、強力、扶助義務の不履行)
(3)配偶者の生死が3年以上不明
(4)配偶者が回復不能な精神病を患った
(5)その他、関係を継続しがたい重大な理由がある(暴力・虐待(DV)、性格の不一致・価値観の相違など)

慰謝料を請求できる要件としては法律婚と同じですね。

財産分与は認められる

事実婚解消時、2人で協力して築いた「共有財産」がある場合、名義関係なく財産分与の対象になります。

気になる配分割合は、原則折半ですが、話し合いで決めることができます。

「認知」されていれば養育費の請求もできる

子どもがいる場合、養育費も請求できます。

ただし、請求するには、法律上の親子関係を生じさせる「認知」がなされている必要があります。

事実婚をするのは2人の自由ですが、それによって子どもにデメリットが生じないよう「認知」は必ずしておきたいですね。

☆刈谷弁護士に聞く! 事実婚の子どもを認知する方法

認知の仕方には「任意認知」と「強制認知」があります。

任意認知とは、言葉どおり、子の父が自ら進んでする認知のことです。

それに対して、「強制認知」とは、父が認知に応じない場合に、子やその法定代理人(母等)からの請求により裁判によってなされる認知のことをいいます。

以下、認知する方法です。

任意認知は、父が、自分の子である旨を、子または父の本籍地、父の所在地のいずれかの役場に届け出ることで行うことができます。

強制認知は、まず家庭裁判所に「認知調停」を申し立てることが必要です。

調停は、いわば裁判所を通じた話し合いの場です。

子がその男性の子であるとの合意が成立した場合、裁判所の必要な調査を経て問題なければ、裁判所が合意に相当する審判決定を出し、認知されることになります。

一方、合意が成立しない場合には、認知訴訟を提起して、認知を認める判決が下れば認知されることになります。

また、子どもが生まれる前、つまり「胎児」の段階でも、母の承諾があれば父は「任意認知」することが可能です。この場合は、母の本籍地の役場に届け出ます。

事実婚の場合は、この「胎児認知」が多いかもしれませんね。

<胎児認知の手続き方法>

(1)書式

役所で届出書の用紙をもらいます。届出先は母の本籍地の市区町村役場です。

(2)記載

子の氏名欄には「胎児」と記入し、それ以外は空白です。その他の欄には「胎児を認知する」を選択します。

(3)母親の承諾について

母親の認知については届出の際に認知するかを予め決めておかなければなりません。
届出書のその他の欄に「この認知届の届出を承諾します」と記入して署名・捺印でも構いません。

(4)死産の場合

妊娠第12週以降で死産した場合は、死産した日から7日以内に届出人の所在地、死産のあった場所のいずれかに「死産届」を提出します。

なお、胎児認知がされている場合には上記のほかに認知の届出先にも14日以内に死産届を提出します。

自由な「事実婚」。でも法的に守られる部分もちゃんとある

法律ではなく、2人の気持ちで繋がる「事実婚」。

自由な婚姻スタイルゆえ、何かあってもすべて自己責任だと勘違いされがちですが、一定の部分はきちんと法律に守られているんですね。

あなたの結婚が、あなたらしいカタチでできますように!

(文:パンジー薫、監修:刈谷龍太/グラディアトル法律事務所)

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はあちゅうがしみけんと事実婚した「本当の理由」

※この記事は2019年02月28日に公開されたものです

パンジー薫

1989年東京都足立区生まれ。25歳で大失恋を経験し、1年後に出会ったアメリカ人とジェットコースターのような恋愛期間を4年ほど経て事実婚へ。ブログ「パンジー薫の国際恋愛ブログ」では国際恋愛や国際結婚について情報を発信中。

ブログ:http://jacky.hatenablog.com/

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刈谷龍太(弁護士)

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研鑽を積み2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所( https://www.gladiator.jp/ )を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラムの執筆などを行う。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務においても顕著な活躍を残す。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決や提案力などに定評がある。

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