結婚挨拶で彼ママに聞かされた話 #彼ママ事件簿
「彼ママ」……それは幸せな結婚をつかむために、必ず攻略しなければいけない壁。いわばラスボス。知られざる彼ママの生態や攻略法を知って、彼とのゴールインを目指そう! 彼氏だいちゅき乙女・ぴぴ子(27歳)が、毎回ひとりゲストを招き、彼ママとの間に起きた珍事件を教えてもらいます。
登場人物
ぴぴ子(27歳):付き合って3カ月目の彼氏が盲目的に好き。いつか結婚できると信じてプロポーズを待ち続けている。素直で愛嬌があるが、たまに失言をしてしまう一面も。
今回のゲスト・レイナ(27歳):ぴぴ子の高校時代のクラスメイト。秘書歴7年のベテランOL。付き合って3年になる彼氏と結婚予定。週1で座禅の修行中!?
ぴぴ子:マイナビウーマン読者のみなさま、こんにちは♪ ぴぴ子です。もうすぐひな祭りですね。ひな祭りといえば「ひな人形をしまうのが遅れると婚期が遅れる」なんて笑えない言い伝えがありますが、ぴぴ子がいまだに独身なのはこれが原因なのかもしれません。帰ったらお母さんを鬼詰めしたいと思います。さて、今回はどんな彼ママエピソードが聞けるのでしょうか?
レイナ:そんなの、ただの迷信に決まってるでしょ。くだらないこと気にするなんて、ぴぴ子は相変わらずね。
ぴぴ子:くだらないってひどい! でも、レイナちゃんだってまだ独身じゃない。もしかしたら昔、お母さんがひな人形をしまう時期が遅かったのかもよ!?
レイナ:ないない。だって今年結婚する予定だし。
ぴぴ子:えっ、付き合って3年の彼氏にとうとうプロポーズされたの!?
レイナ:クリスマスにね。それで、お正月に彼の実家に挨拶に行ってきたわよ。ふふ。
ぴぴ子:いつのまにかぴぴ子の10歩くらい先を進んでいたなんて!
レイナ:悪いわね、ぴぴ子。私が先に結婚することになりそうよ。
ぴぴ子:あ~ん、うらやましすぎる~! ということは、超関門「実家への挨拶」もクリアしたんだね!
レイナ:ううん、実はその日は散々だったわ。
ぴぴ子:どういうこと?
レイナ:そもそも、実家へ挨拶に行くことになったのがプロポーズのすぐあとだったの。プロポーズをOKしたとはいえ、まさかそんなにすぐ実家に行くとは思わないじゃない? 彼に「じゃあお正月は俺の実家に挨拶へ行こう!」と言われたときは、思わず「ちょ、待てよ!」ってキムタクになったからね。そんな感じで心の準備がないまま挨拶の日がやってきたの。
ぴぴ子:ぴぴ子はまだ結婚の予定もないけど、彼ママに会うための心の準備期間は1年くらいほしい。
レイナ:しかも彼のご実家は由緒正しい家柄で、都内の高級住宅街にある一軒家。一方の私は、郊外の中流家庭でのほほんと育った田舎娘よ。
ぴぴ子:たしかに家柄がちがいすぎると引け目に感じるね。で、彼ママはどんな人だったの?
レイナ:生粋のお嬢さま育ちって聞いてたから、厳しい人だったらどうしようって不安だったんだけど、会って話してみたら意外におっとりしている人だったわ。
ぴぴ子:お高くとまる嫌味な彼ママじゃなくてよかった!
レイナ:うん、でもね……。ご実家の居間に通してもらってから1時間、どんな目にあったと思う?
ぴぴ子:えっ。まさか大金の入ったスーツケースを差し出されて「これで息子から手を引いてください」と言われたとか!?
レイナ:そんな闇深い展開じゃなかったわ。なんと……1時間ずっと「彼ママの身の上話」をされたの! 私が生まれ育った街はどうのこうの、あの時代はどうのこうの~ってね!
ぴぴ子:彼の生い立ちならまだわかるけど、彼ママの生い立ちは1時間も聞きたくない!!
レイナ:私はうっかり正座して聞きはじめちゃったもんだから、足も崩せないし話は長いしで、最後のほうは気をそらすために「これは座禅なんだ。私は座禅をする修行僧なんだ」って脳をごまかし続けてなんとか乗りきった感じ。
ぴぴ子:1時間後に立ち上がったときの状況を考えるだけでつらい。そんなとき、彼は何をしていたの?
レイナ:のんきな顔で、実家の犬の散歩に出ていたわ。ちょうど散歩の時間だったみたいで。
ぴぴ子:結婚の挨拶で来たのに、犬の散歩が最優先なの!?
レイナ:幸い、ちょうど彼パパが帰ってきたおかげで、正座開始から1時間弱で彼ママから解放されたけどね。
ぴぴ子:よかった~。彼パパ、ナイスタイミングだね!
レイナ:ほんとに! 一瞬、彼パパが仏様に見えたから「もしやこれがいわゆる悟り?」って勘ちがいしそうになったわよ。身の上話は中断されたけど、彼ママは「今、5歳の思い出話をはじめたところだったのに~」って話し足りない様子だったわ。
ぴぴ子:待って、1時間弱でようやく5歳!? 彼ママの幼少期にいったい何が!?
レイナ:悪い人じゃないんだけど、あのときは本当に困ったわよ。だから彼ママから解放されたあと、彼を庭に呼び出して「なんで助けに来てくれなかったの!?」「お母さんの話、長すぎるからなんとかしてよ!」「犬の散歩と私、どっちが大事なの!?」って怒っちゃった。
ぴぴ子:で、でたー! 彼ママが原因でカップルのケンカが勃発しちゃうやつ。
レイナ:そのあと彼も反省していた様子だったからよかったんだけど、問題は庭で彼に詰め寄っていた姿を、隣の家のおばさんに見られていたことなの。
ぴぴ子:お隣さんに!? 絶対聞こえてるし、彼ママに告げ口するじゃん!
レイナ:そう思うよね? だから後日、菓子折りを持ってお隣のおばさんの家を訪問したんだ。そうしたら……
ぴぴ子:ごくり。
レイナ:「待ってたわよ」って、最初から私が来るのを知っていたかのように、不敵な笑顔で迎えられたの。
ぴぴ子:何それ怖すぎる~!!
レイナ:弱みを握られた私は、それから週に1回、そのおばさんの家に行っているの。
ぴぴ子:週1も!? あの現場で見聞きしたことを口止めしてもらうため?
レイナ:そう。そして「隣のおばさんの身の上話」を夕方まで聞いて帰っているわ……。今のところ2回お邪魔したんだけど、ようやく3歳のエピソードまでたどり着いたところよ。
ぴぴ子:彼ママの身の上話より長いという悪夢!
レイナ:でもおかげで、あの年代の女性がどうやって生きてきたのか、何を感じているのか理解することができたかな。ちょうど彼ママも同じ年代だし、次に会ったときはもっと楽しく話ができそうだと思っているの。彼ママに関する情報もたくさんゲットしたしね。実は彼ママ、クールに見えるけど人気男性アイドルグループの大ファンなんだって。
ぴぴ子:えっ、あのアイドルグループ、レイナも好きじゃん!
レイナ:そうなの。だから話が合うかなって。
ぴぴ子:隣のおばさんに目撃されたときはどうなるかと思ったけど、彼ママと仲よくできそうでよかったね!
レイナ:うん。私、彼ママ世代の女性と話すのがあんなに楽しいなんて知らなかった! だからぴぴ子も、彼ママの話がどんなに長い身の上話でも、私みたいに失礼な態度はとらないで。彼を生んだ女性がどんな人なのか、彼のルーツを探す視点で聞いてみるときっと楽しいと思う。
ぴぴ子:彼のルーツを探るか、なるほどね~。たしかに彼ママはラスボスだけど、彼を育てた人物でもあるもんね。彼を知るには彼ママを知るのが一番の近道と思えば、彼ママの話も苦じゃないかも。なんだか、ぴぴ子も早く彼ママに会いたくなってきちゃった!
レイナ:その意気よ! でも、ひとつだけアドバイス。彼ママの話を聞くときは絶対に正座は避けること。
ぴぴ子:わかった。というか、さっきから思っていたんだけど、レイナ正座しながら宙に浮いてない?
レイナ:えっ……?
ぴぴ子:まさか週1の修行(※おばさんの身の上話を聞く)の成果が……。
レイナ:うそ、これって……
ぴぴ子:うん、多分これが……
レイナ&ぴぴ子:「悟り」……。
(文:パンジー薫、イラスト:まめ)
※登場人物の設定は一部フィクションです
※この記事は2019年02月24日に公開されたものです