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LGBTQの「Q」? 「Xジェンダー」とは何か

豆 林檎

Xジェンダーの生き方

Xジェンダーは、トランスジェンダーの中でも性別二元論から逸脱した存在なので、はっきり男女の差が出るような職業を避ける傾向にある。

たとえば、男性であると自認しているものの、メンズの制服やスーツを着ることに抵抗があると、制服やスーツ着用必須の場所では働きたくない心理が働く。

女性であると自認していても、ビジネスカジュアルで女性的な服装を強制されるのが苦痛なこともある。

できるだけ、体の性別と関わりのないところで生活をする人が多数だ。

Xジェンダーの恋愛

「Xジェンダー」とひと口にいっても、それが多岐に渡るセクシャリティを総称するような用語であるため、もちろん恋愛もさまざまだ。

私が出会ったXジェンダーの人たちはほぼ、体の性別と同じ性別を好きな人が多いが、世の中には体の性別と反対の性を好きになるXジェンダーもいる。

自分をLGB、ヘテロのどれかに当てはまる、とする人もいれば「自分には性別がないから、LGB、ヘテロのどこにも当てはまらない」とする人もいる。

先述の「ジェンダー・フルイド」と同様、「セクシャル・フルイディティ(SeXual Fluidity)」または、「セクシャル・フルイド(SeXual Fluid)」というセクシャリティもあり、Xジェンダーの人には多いかもしれない。

簡単に説明すると、「好きになる相手の性別が水のように流動的で定まらず、そのときの相手によって変わる性のあり方」というセクシャリティだ。

好きになる対象の性別があらかじめ決まっていないという部分が、LGB、ヘテロとはちがうところだ。

以前触れた通り、LGBとTは、「性的指向」の問題なのか、「セックス」と「ジェンダー」の問題なのか、と言及しているジャンルがちがうため、「Xジェンダーだから、こういう人を好きになります」という定型があるわけではない。

中性? 両性? 無性? Xジェンダーが抱く悩み

「ラベル(名前)をつけてカテゴライズするのは、他人のため。他人が簡単に理解しやすくするために名前をつけているだけで、そこに自分を100%当てはめる必要はない」と私は常々主張している。

カテゴリーの名前が増えれば増えるほど、他人はどっちつかずの状態を許容しにくくなる。「どっちなの? どれなの? はっきりしてよ!」と。

Xジェンダーの人たちは、常にそういうハッキリシロ圧力をかけられて、苦しんでいると思う。

本人にしてみれば「わからんもんは、わからん!」と思っているだろうし、ハッキリシロ側は、理解したいからはっきりしてほしいだけかもしれない。

たとえば、見た目が女性的だからといって「紅一点、華があっていいね!」と言われるのも不快感があるし、体が男性的だからって「さすが男、力が強いね!」と言われるのも違和感がある。

発言した本人は、相手を褒めているつもりだから何が不快なのか理解できずに、すれちがいが生まれてしまう。

日本の世の中が、性別二元論とヘテロセクシャルを基準に動いている限り、Xジェンダーというセクシャリティは理解されづらいと思う。

思春期に「自分が同性を好きになるということは、自分は反対の性別で生まれてくるはずだったのでは」と悩みを持つのも、世間がシスジェンダー・ヘテロセクシャルを前提としているからだと思う。

それに、折に触れて書いてきたが、「自認する性別」と「恋愛対象」は必ずしも関連性があるわけではない。にもかかわらず、ゲイの男性に「男が好きってことは、あなたは女なんでしょ?」とトンチンカンなことを言う人が未だに存在するのは、ここを履きちがえた教育がなされてきたことが原因だ。

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