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コラム 結婚

加藤綾菜が結婚して「唯一後悔していること」

紀伊国子

「その年の差、ちょっとキツイね」

未婚女子が集まって恋愛トークをすれば、しばしば「何歳差までなら結婚できる?」という話題になる。そして、アリかナシかの議論で盛り上がる。

いつもの飲み会で、10歳以上の男性と結婚した女の子の話になったとき、友人のひとりが放った言葉がある。「その年の差、ちょっとキツイね」。私は、心の中で激しく同意した。できるものなら、会社の同期や先輩、学生時代のサークル仲間、のような同世代と恋愛したほうがいいに決まっているからだ。10歳差ならまだしも、それがもっと離れているなんて理想からほど遠すぎる……。親にだってきっと反対される、そんなハードモードな結婚の道、私は絶対に選ばない。

というのが、加藤茶さんこと“加トちゃん”と45歳も離れた「年の差婚」をした加藤綾菜さんの話を聞く前の本音。でも、これって世間の本音でもありませんか? 「そんなの普通じゃないでしょ!」と誰もが思っているからこそ、結婚当初の綾菜さんは、あんなにも騒がれたんじゃなかろうか。

「よろしくお願いします!!」スタジオに響き渡る大きな声で、元気にその人は登場した。明るくはっきりした語調と、自然と絶えない笑顔。そしてその言葉は謙虚で、スタッフに話を振っては場を和ませる底なしのほがらかさ。「年の差婚」真っ最中の彼女からは、信じられないほどにハッピーなパワーが溢れている。

想像とちがう。これが私の正直な第一印象だ。もっとセレブっぽくてお高く止まった“加藤茶夫人”が現れると思っていたから(ごめんなさい)。不思議な違和感と戸惑いを持ったまま、取材ははじまった。

■2人の出会いから急接近するまでの、本当のところ

――加藤茶さんとの出会いについて教えてください。

私は学生のときに、六本木のお寿司屋さんでアルバイトしていたんです。そこに夫 (=「加トちゃん」)、が晩ごはんを食べにきたのが最初の出会い。私はお茶出しや配膳をしていて、事務所が近い夫はよく食べに来てくれていました。少しずつ世間話するようになって、出会いから仲よくなるまでには半年ほどはかかりましたね。

――出会いの当初、恋愛感情はなかったんでしょうか?


いえ、実はあったんです。あんまり信じてもらえないんですけど、本当に「ビビッ」ときたんです!! あれは今でも不思議な感覚として残ってます。それまでは年上好きでもなく、お店の土地柄もあって芸能人の来店もよくあったので、もの珍しさもなくて。同世代のイケメンたちを差し置いて、「加トちゃん」にときめいたことは、運命としか思えない。今思えば、私みたいな店員にもていねいな受け答えをする、ふんわりと穏やかな雰囲気に惹かれたのかなぁ。

――40歳以上年上の男性にビビッときても、そこから恋愛に発展させていくのはものすごく難しいような気がします。初デートってどうやって実現したんですか?

他愛もない会話の流れでごはんに誘っていただいて。そのときにはすでに恋していたので、本当にうれしかった!! 初めてのデートでしっかり話してみると、案の定大好きになって、それ以降もお食事を重ねていました。おもしろいのが、加トちゃんのファミレスのドリンクバーデビューも、回転寿司デビューも私が立ち会ったこと(笑)。もちろん、いいお店にも連れて行ってくれましたが、私の目線に合わせてチャレンジしてくれたこともうれしかったです。

――加トちゃんがファミレスのドリンクバーにいたら、まわりのお客さんもめっちゃびっくりしますよ(笑)。楽しい一方で、45歳差という「年の差」に抵抗はありませんでしたか?

それが全然なかった。夫は見た目も比較的若いし、感性がフラット。私以上に新しいことへの意欲があったり、知らないことがあれば同じ感覚で楽しんでくれるんです。ご存知の通りメディアからは、すごく批判されましたけどね。でも、考えてみたんです。もし私がテレビでこんな「年の差婚」のニュースを見たら、絶対に「うわぁ、怪しい女!」と思うだろうなって(笑)。だって外から見ると2人の本当の関係性なんてわからないし。まわりは目に見えるもの、つまり私たちの場合なら「年齢差」で判断するしかないから。

――外からみると本当の2人の関係性はわからない。本当にそうだと思います。そういう意味では綾菜さんのご両親は、この結婚に対してどういう反応でしたか?

父も母も、加トちゃん世代なので大喜び。もともと交際相手に厳しかったり、世間体を気にする親ではなくて、私が幸せならそれでいいと考えるタイプなんです。とはいえ夫のほうが、自分の両親より年上なのは珍しいですよね。彼も最初は、礼儀正しく「お父さん」「お母さん」と呼んでいましたが、今は下の名前で呼んだり、「ママ」「パパ」と呼ぶ親友のような仲です。うちの母なんて、しょっちゅう我が家に泊まりにきては、夫と語り合ってますよ(笑)。

■8年の結婚生活を乗り越えてきた道筋

――結婚されたのが23歳。一番恋愛が楽しい時期でもありますよね。もっといろんな恋愛を楽しみたいって思いませんでしたか?

ある意味、恋愛について考え込む時期を通らずに結婚したかもしれません。中高一貫の女子校で、高校2年生くらいまではソフトボールに打ち込み、角刈りのような髪型でボールが恋人。大学だけは東京の共学に通ってみたものの、女子ばかりの学科だったんです。夫とは在学中の21歳で付き合って、23歳で結婚しているので。目の前の彼にただただ夢中だったんですよ。でもそれが最高に楽しかったです。

――結婚の話はいつから出たんでしょうか?

彼に結婚願望がないことは、最初から告げられていました。けれど、出会って半年のクリスマスの日から同棲をはじめ、徐々にお互いの愛情が深まった。実は付き合ってるときから、ずっと追いかけるような恋愛だったんです。常に「私だけが好きなんじゃないか?」という不安があって。だって付き合って半年もたってるのに一歩も家に入れてくれないんですよ!? 彼が仕事で会えないとき、気がついたら『ドリフ大爆笑』のDVDを100回以上観ていました(笑)。これはもう完全な恋の病。

あとは一緒に住んだことで、2人の居心地のよさを感じてくれたように思います。今までは彼に何かをしてもらうということが多かったけど、一緒に生活する中で、私も「この人に何かあったときは守りたい」と思うようになったんです。それを汲み取るかのように「結婚しよう」と言ってくれた。本来、すごく一途で責任感が強い人なんでしょうね。

――結婚生活の中で、「年の差」が理由でつらい思いをしたことってありませんか?

それがないんですよね……。しいて言えば、夫が病気をしたときは大変な時期でした。でも、それを乗り越えたことで、絆が強まった。私としても、やっと恩返しができているという実感があったし、看病をしながら、「あ、そうか。彼は私より先にいなくなるのかもしれない」って、改めて目の当たりにしたんですよね。だからこそ悲観的になるんじゃなくて、1日でも長く一緒にいられたらいいと願うようになりました。

――お話を聞いていて本当に綾菜さんの前向きさに心打たれます。でも実際のところ、結婚生活で嫌だったり辛かったりしたことはありませんか?

ありません。いつも彼を“世界一の夫”だと思い続けているから。8年もいれば文句のひとつくらいありますが、完璧でないのは自分も一緒。「そんなにあんたは、いい女なの?」って話です。多分、彼も同じ気持ちで「いつもありがとう」とよく言ってくれる。言霊じゃないけど、やっぱりせっかく2人でいるなら、いいところを感じていたい。

――まさに理想の夫婦です。お話を聞けば聞くほど、年の差は関係ない。お互いを思いやる気持ちがあるかないかが大事なんですね。それでもやっぱり、相手は誰もが知ってる“加トちゃん”。加藤茶さんと結婚して、一般人とはちがう苦労もあったと思います。

バッシングはありましたね。誹謗中傷は激しく、嫌がらせは止まらなくて。元気が取り柄だった私がまったく食べられず眠れず、ガリガリになってしまった時期もありました。そんなとき、夫の友人の久本雅美さんが、何度も家に励ましに来てくださったんです。一番悩んでいたときにいただいた言葉は、「まわりがどう思うかじゃなくて、自分がどう生きていきたいか。忘れちゃいけない」。たしかに、こんなに自分が弱っていたら夫を元気にすることもできないし、もう悩むのをやめようと開き直って。そしたら、徐々にご飯も食べられるようになり、体重も10キロ増えました(笑)。それにやっと世間のみなさまも、好きじゃないとこんな長く一緒にいないよなぁって気づいてくれたのかも。だって本当に私と夫、いつも一緒にいるから(笑)。

■僕が先に死んでも、生まれ変わってアヤちゃんを探し出す

――では、最後に年の差婚のメリットとデメリットを教えてください。

まずメリットは、なんといっても頼れるところ。なんせ夫は戦時中に生まれているからか、メンタルがものすごく強くて何事にも動じないんですよ。包容力があって懐も大きい。あとは、知識の多さ。そんなところは年の功なのか、本当にすごく尊敬しています。最後に、楽しみが2倍になるところ!! 世代ならではのまったくちがう価値観や知識を分かち合えるから。

――たしかに、彼の世代と自分の世代のいいところやおもしろいところをまるごと楽しめるってことですね! 逆に、デメリットはありますか?

同世代の人よりは一緒にいる期間が短い。今後、50年連れ添うのは多分無理なわけで、それは本当に切なくて今でも考えただけで、胸がギュッと締めつけられます。でも、一度すごいことを言ってくれました。「僕が先に死んでも、生まれ変わって20歳になったときに、70歳のアヤちゃんを探し出すよ」って。また出会えるって言うんです。ロマンチックすぎて感動したけれど、そういえば私たちはそれくらいの気持ちと覚悟で一緒になったんだなって。

■「まわりがどう思うか」じゃなくて、「自分がどう生きたいか」

取材が終わり、私は加藤綾菜という女性のことが大好きになっていた。底抜けに明るくて気配り上手で、一緒にいるだけでこちらもハッピーになれるようなパワーに満ち溢れている。「○○婚」……。今日もメディアはいろんな結婚にラベルを貼って報じるのだろう。そしてそれを話題の種にして、私たちは語り合う。勝手な空想や妄想を。

45年の「年の差婚」なんて、損得勘定なしでできるわけないじゃん。そう思っていた私はもういない。だって彼女を見ていてはっきりわかったから。

この人、恋をしている。

弾むような足取りで、愛する人の待つ家に帰る彼女を見送る。私は柄にもなく、強く祈るような気持ちでエールを送っていた。

加トちゃんと綾菜さんがずっとずっと幸せに暮らせますようにと。

(取材・文:紀伊国子、構成:マイナビウーマン編集部、撮影:洞澤佐智子)

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