フィードバックする意味って? 例文と効果的なフィードバックについて
効果的なフィードバックの使い方
続いては、効果的なフィードバックの使い方を詳しく説明したいと思います。
フィードバックのやり方とコツ
フィードバックをする際、「そこに信頼関係があること」が大切です。
ポジティブフィードバックだったとしても、2人の間に信頼関係がなければ、受け取る側は素直にその言葉を受け取ることができません。ましてやネガティブフィードバックの場合は尚更です。
その上で気をつけることは以下の5つになります。
1.人格や性格、能力を否定、批判するようなことは絶対に言わない
先にも書いたようにフィードバックというのは「褒める」「叱る」ことではありません。あくまで「行動」に対して「どうだったか」「どうしてほしい」ということを具体的に述べるものです。
「あなたのそういうところがダメだと思う」
「そういう性格じゃやっていけないよ」
「その程度じゃ通用しないよ」
という人格、性格、能力を否定するような言い方にならないように注意することが大切です。
「すごいね」
「偉いね」
「がんばってるね」
という一見「褒めている」様にみえる言い方も「何がすごいのか」わからず、バカにされた様に感じることもあります。
2.人と「比較」して言わない
「その人の行動がどうだったのか」ということを具体的に伝えることが重要です。その際は「人との比較」ではなく、その本人の行動に関してのみ伝えるようにしましょう。
3.「行動」に対して事実を「具体的」に「Iメッセージで」述べる
Iメッセージ(アイメッセージ)というのは「私は」が主語になり「私はこう思う」という伝え方です。「部長も言っていた」というように「誰か」が言っていたという伝え方では、言われた方は「みんなそう思っているんだ」というネガティブな受け止めにつながりやすくなります。他者の言葉を借りるのではなく「私はこう思う」という言葉で、伝えることが大切です。
4.フィードバックに対して、本人がどう思っているかを確認する
「フィードバックに関して本人がどう思っているかを確認する」ことはとても大切です。「私はこう思う」とIメッセージで伝えた上で、「あなたはどう思いますか?」と本人がどう思っているかを聞きます。そこで本人も気づいていたけれどできなかったこと、気づいていなかったことなどを確認するのがいいでしょう。
5.今後どういう行動を取るのが望ましいか話し合う。
本人の考えを確認できたら、「今後どうしたらいいと思うか」の話し合いに移っていくといいでしょう。
効果的なフィードバックの「フィードバック例文」
ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックをどのようにしたらいいのか具体例を挙げてみたいと思います。
ポジティブフィードバックの場合
「○○さんは入社してからこの1年間で、わからないことがあると自分で調べた上で私に質問してきたり、資格を取得するための勉強をしたり、新商品の知識を得るために人一倍努力したりしてきましたね。それが今、仕事を進める上で視野が広がり、お客様への信頼にもつながっていると思います。
私は○○さんのそういう行動をみていて、とても頼もしく、うれしく思っていました。○○さんはこの1年間のそうした行動を振り返ってみて、自分ではどう思いますか?」
というように「行動」に対して「具体的」に「Iメッセージ」で伝え、「本人はどう思っているか」を確認するようにします。
ネガティブフィードバックの場合
「○○さんはとても仕事も速いし、資料の作り込みにも力が入っていますね。段取りもいいし、計画的に仕事を進められていると思います。
ただ、○○さんの資料はボリュームがありすぎるためか、読むのが大変で、ポイントがわかりづらいと私は感じています。お客様に説明する際のパワーポイントも、半分くらいの枚数になるともっと伝わると思います。
○○さんはこの資料を半分の枚数にするとなると、どこをどう変えると伝わるものになると思いますか?」
基本はポジティブフィードバックと同じですが「事実」を述べた上で、「私はこうしてほしい」ということを伝えるのがポイントです。
このように正しいフィードバックがされると
自分のことをキチンと見ていてくれた。
自分の能力を評価してくれた。
自分のことを信頼、信用してくれている。
自分をもっと伸ばそうと思ってくれている。
というかたちで伝わります。本人のやる気、モチベーションを高めるだけでなく、自己効力感が高まり、2人の間の信頼関係も深まります。
やってしまいがちなNGフィードバック
やってしまいがちなNGフィードバックを紹介します。
人と比較する
・「同期の○○さんと比べると、ずいぶん遅れているんじゃない?」
・「あなたの年次だとこの位はできるよね」
という「人との比較」を用いた言い方は本人を否定し、傷つけることになります。
結果、自己肯定感やモチベーションが下がることにつながり、最悪は「恨み」の感情も出てきてしまいます。
他者のせいにする
・「みんな言ってるよ」
「みんな言っている」という言い方は、他者のせいにして「私はこう思う」という言い方を避けています。これではフィードバックされた方も「誰が言っているの?」と周囲にも不信感を持つことにもなり、圧力をかけることにもなります。
批判的な言い回し
・「やらなきゃあなたが損することになるよ」
「あなたが損する」と言い方は、「あなたのために」言っているかのようにみせかけて「私に迷惑をかけないで」ということが含まれており、批判的な言い回しです。
具体性に欠ける
・「結果にコミットしてもらわないと困る」
「結果にコミット」という曖昧な表現では何をどうすればいいのかわからず、具体性に欠けます。「何をどうしてほしいのか」とIメッセージで伝え、「あなたはどう思っているか?」「どこまでやれそうか?」ということを確認するかたちをとりましょう。