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「働く理由」が見つからないあなたへ。お金のためじゃダメ?

小野勝弘(キャリアコンサルタント)

マイナビウーマン編集部

働く理由の見つけ方とは?

働く理由がある、と答えた9割近くの女性たち。理由はあるけど、その理由に納得しているかどうかはまた別の話です。できたらもっとモチベーションの上がる「働く理由」を見つけたいものですよね。また、少数派ながら1割の女性は働く理由がないと感じている模様。そこで、キャリアカウンセラーの小野勝弘に働く理由に関するアドバイスをもらいました。

働く理由がなくても別にいいの?

働く理由がないまま働いても大丈夫。むしろ、そのまま働き続けましょう。働く理由がなければ働いちゃいけないわけではありません。働く理由を見つけるために働くという人もいます。

働きながら働く理由を見つけた一例を挙げます。専業主婦でいいやという気持ちであった女性が、親の目や世間体から事務職をはじめました。職場で、新しい人が来てはやめ、来てはやめを繰り返すのを見て、せっかく入ったのだからやめなくてもいい職場づくりを考えるようになったそうです。働くことに理由などなかったにも関わらず、働く中で「職場づくりをしたい」という理由を見つけたというわけです。

このように、働いているとそれを通して常に刺激を得ることができます。それが、仕事をする中で自分のやりたいことを見つけたり、大切にしていた思いを言語化できるようになったりすることにつながるのです

もし、働く理由がないことに悩んでいる場合、誰かと比較していて焦っているのではないでしょうか。〇〇さんはいつも楽しそうでイキイキしてるのに私は……とか、上司には自己目標を立てろって毎回言われるけど目標が思いつかなくて、同僚との意識の差を感じてしまうとか。働く理由はそれぞれなので、まわりに振り回されないようにしてください。

キャリアカウンセラーが教える。働く理由の見つけ方

理由の見つけ方をお伝えする前に、働く理由というものの前提について触れておこうと思います。働く理由は大きく分けて2つあります。ひとつは、外部からもらえる物的なもの。もうひとつは自分の思いを実現する精神的なものです。

今回のアンケートに準ずるなら、お金というのは外部からもらえる物的なものの代表といえるでしょう。やりがいや貢献というのは精神的なものに含まれます。注意したいのは、どちらがいいという話ではないということです。物的なものも精神的なものも、どちらも大切な働く理由です。そのうえで、働く理由の見つけ方について考えてみましょう。

ステップ1. 働く理由はなくても大丈夫。という認識を持つ。

探せば探すほど、働く理由からは遠ざかるもの。まずは、今持てていない自分を認めてあげましょう。アンケートにある理由が千差万別であることからもわかる通り、働く理由は人それぞれです。また、今、働く理由を持っている人が将来持ち続けることができるかといえばそうではありません。たとえば、お金が現在あるから働く理由が見つからないという人が、将来お金に困ったらどうでしょう。この場合、お金を稼ぎ生活を維持することが働く理由となるのではないでしょうか。

ただ、キャリアコンサルタントとしては、働く理由は精神的なものも持っておいてほしいと考えています。私の人生の目標は〇〇だから、この仕事を命がけでやっているんだ! といったような大げさなものでなくても大丈夫。こういうのが好きだからやってるんだとか、この仕事を通してこんな感じで充実した生活を送っているんだ、とか、そのような精神的な理由が見つかるといいですね。

ステップ2. 仕事中の自分の感情に注目してみる

精神的な理由という話をしましたが、次のステップは自分の感情に注目してみることです。普段生活をしている中では、「何をしたか」に、注目しがちです。たとえば、今日も変わらず接客をしたという場合、たしかに接客をしたことは事実であるし仕事内容としては一日中変わらなかったでしょう。しかし、その接客をする中で感じた気持ちは、そのときそのときでちがうのではないでしょうか。あのお客様は笑顔で帰ってくれてよかったなとか、お客様対応しているときに上司が話しかけてきてイラっとしたな、とか。働く理由を見つける際には、仕事をしながら感じた自分の気持ちに着目することで、「お客様の笑顔をうれしいと思う自分」や、「客対応中は上司にイライラしがちな自分」に出会えることになります。

感情は、自分のスイッチだったりします。「何をしたか」に加えて、「どういう気持ちだったか」を考え、働いているときの自分に気軽に向き合ってみてください。

ステップ3. 自分の思いをていねいに検証する

検証するというと難しそうに思えますが、難しいことはありません。自分の内面に気づく作業のことです。先ほどの例を引用するなら、「お客様の笑顔を見ながらお見送りすることがうれしい」や、「客対応しているとき上司に話しかけられてイラっとした自分」は、どうしてそうなのかを考えてみるということです。

注意してほしいのは、ネガティブな感情を切り捨てないということです。どうしてネガティブに思うのかを考えることで、自分が何を大切にして仕事をしているのかに気づくことができるからです。「お客様に精一杯接したいのに、上司の対応をしなくてはいけなくてイラっとする」とか、「自分の担当の仕事を私の判断でまっとうしたいのに、上司が指摘してくるからイラっとする」といったケースが先ほどの事例からは考えられます。この場合、「お客様に精一杯接したい自分」や、「責任をしっかり果たし、自分の裁量で仕事をしたいと考える自分」に出会うことになります。つまり、働く理由は「お客様を笑顔にすること」「自分の裁量で仕事できるぐらい出世する」ということが考えられるのです。

このように、自分の気持ちをベースに働く精神的な理由にアプローチしてみることで、見えていなかった自分に気づくことができます。

女性であれば結婚や出産といったライフイベントによって、キャリアの中断が発生する可能性が今もなお男性に比べて高いです。キャリア中断後、再び働きはじめたときに「働く理由」に悩んでしまうことは多いものです。目を向けるのは身近なところからで大丈夫。仕事も人生の一部です。日々生活していく中で感じる気持ちを大切にしながら探していってくださいね。

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