お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【バチェラー2】優勝候補の小口さんが週刊誌でグラビアを飾った倉田さんに負けた理由

ヨシムラヒロム

6月28日の23時、サッカー日本代表VSポーランド戦の笛が鳴った。一進一退の攻防が45分間続き、前半は両チーム無得点。15分間のハーフタイムをはさみ、日付が変わった6月29日0時に後半がキックオフ。日本代表のグループリーグ突破をかけた“ひとつのボールを巡る最後の攻防戦”がはじまった。

6月29日0時、Amazonプライム・ビデオでは『バチェラー・ジャパン シーズン2』の最終エピソードが配信スタート。倉田茉美VS小口那奈子の“ひとりのバチェラーを巡る最後の攻防戦”がはじまった。奇しくも同時刻、日本代表も倉田&小口も集大成ともたとえられる勝負に挑んでいたわけである。

はてさて、ここから僕の正直な本音を綴っていきたい。この原稿で編集者から指示されたのは、「女性の勝因と敗因」についてだ。「小口さん、倉田さんのどっちが勝ったにせよ、勝因と敗因を分析してほしい」とメールは続く。

執筆依頼は最終話の配信前に届いており、コラムの内容を考える余裕はたっぷりとあった。しかし、いま筆が重たくて仕方がない、書けないのである。その理由は明確で、僕は小口さんが絶対に勝つとずっと信じていた。『バチェラー・ジャパン シーズン2』の女性陣がお披露目となった際、別の媒体のコラムでBIG3(勝手に呼んでる最後の3名に残った女性の総称)を予想。そのなかの本命として小口さんを選出し、あれよあれよという間に最後の2名となった。そりゃ予想が当たれば、こちらの気分はよろし。

執筆依頼を受け、「よっし、小口さんを讃えるコラムでも書くかぁ~」と気軽に考えていたわけである。ここまで確信していたのは、『バチェラー・ジャパン シーズン2』の配信週に売り出された男性誌『プレイボーイ』にて、倉田さんが水着グラビアを披露していたことも関係している。「勝者はこの仕事はやらないだろぉ……」なんて思ったのだ。

しかし、結果はご存知のとおり倉田さんの勝ち。最後のローズセレモニーを見ながら、「あぁー!」と叫んでしまった。その嘆きは、後半59分にポーランドのヘディングシュートがゴールネットを突き刺したときと同じトーン。

「真実の愛」を探す“タレント”たち

そもそも『バチェラー・ジャパン』という番組は複雑で。表は「真実の愛を探す」、「新感覚婚活サバイバル」の2つで成り立っているが、その裏には「女性陣による売名行為」があると噂されている。前者2つでもお腹いっぱいだが、この点も加わり番組は混迷を極める。

『バチェラー・ジャパン シーズン1』を元彼女と見ていたとき、「蒼川愛(シーズン1の勝者)ってキレイな名前だよね」と洩らした。一瞬「確かに!」とも思ったが、次の瞬間「キレイすぎやしないかね?」と疑念が湧く。ググってみて納得、「蒼川愛」とは本名ではなくて芸名。「真実の愛を探す」のに芸名で挑むのはおかしい。

また、蒼川さん以外にも芸能活動に準ずる参加女性は多い。辛辣なことを書けば『バチェラー』参加女性陣は“売れないタレント”が多い。それはシーズン2も同様で、たとえば岡田茉里乃さんも福良真莉果さんも芸能プロ所属。若尾綾香さんa.k.a若様のように「職業:モデル!」と堂々と宣言してくれればいいが、そうともいかず。岡田さんは「職業:ヨガインストラクター」、福良さんは「職業:受付嬢」と明記される。タレントであるということは番組内では隠されている。

女性陣は勝ち残るほどに知名度アップはまちがいなし。『バチェラー』を見ていると、参加女性のフルネームを自然と覚えてしまう。

シーズン1でMVP級の活躍をしたギャルモデル・ゆきぽよは、番組を足がかりにテレビの人気者となった。成功例を知っているからこそシーズン2では、今後のタレント活動の足がかりとして『バチェラー』というゲームをやりにきた人もいるだろう。

ここからさらに失礼なことを書くが、許してほしい。バチェラーは完璧な独身男性なのにもかかわらず、なぜ売れていないタレントと「真実の愛」を探さなければいけないのだろうか? また「高い学歴と堅実な実務をこなす女性を好む」と予想されるバチェラーママは、タレント活動をするタイプの女性を好むとは思えない。

優勝候補の小口さんが倉田さんに負けた理由とは

前置きが長くてすいません、ここからが本編。「女性の勝因と敗因」について。

女性陣のなかで、異色だったのが小口さんである。番組がスタートする前に公開された女性の紹介VTR、そこで語られたのは小口さんの仕事人間としての側面。税理士を目指している点もバチェラーと合うと思った。本当に結婚相手を選ぶとすれば、金勘定ができる奥さんはありがたいはず。のちに小口さんと対面したバチェラーママも「完璧」と絶賛してたし。

そんなパーフェクトな小口さんの敗因はどこにあったのか。逆説的にいえば倉田さんの勝因はなにか。答えは明確である、それは倉田さんのイラスト、もうイラストに尽きる。

小口さんは倉田さんが描くイラストに負けた、そう断言してもいい。シーズン2終了後、編集者やイラストレーターの知人と集まり、倉田さんのイラストについて話した。「そんなよくないよね、普通だよね」という結論に至る。倉田さんのイラストからは特別な上手さも独自性も感じることはできない。しかし! 「バチェラー出演時」と限定すれば、倉田さんは超一流のイラストレーターへと様変わりする。

イラストレーターとはクライアントの要望に合わせて絵を描く仕事。クライアントの心が動くイラストを描けたら、仕事として成功だ。

Q.『バチェラー』において、倉田さんのクライアントは誰か?
A.小柳津林太郎!

倉田さんが描いた数々のイラストは、バチェラーのクリエイティビティを大いに刺激。最終話では、倉田イラストの集大成となるオリジナル絵本を作成し、バチェラーを号泣させた。これでもかと心を動かし、結果的に勝者となったわけだ。

小口さんはバチェラーを嗚咽させるほどの絵を描く“イラストレーター”倉田さんの技量に負けた。また、泣かせるイラストはバチェラーを想う倉田さんの心から生まれたもの。最後に凡庸なことを記すが、小口さんよりも倉田さんの方が小柳津林太郎を愛していたということだろう。

(文・イラスト:ヨシムラヒロム)

※この記事は2018年07月03日に公開されたものです

ヨシムラヒロム

1986年東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコアワーキングスペースpaoで週1度開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。 現在、小学館@DIME『勝手に宣伝部長』、小学館週刊ポストセブン『ウェブテレビを見た感想』、PARTNER『コラムニストの憂鬱』を連載中。2017年3月に単著デビュー作『美大生図鑑』を上梓。
 
ヨシムラヒロム事務所:http://mcc-tokyo.com/

この著者の記事一覧 

SHARE