
【妊娠出産のウソ&ホント】精液の量が少ないと妊娠しにくいってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
最近は、「男性不妊」なんて言葉もよく聞きますが、子どもを望んでいるカップルにとっては、女性だけでなく、男性の妊娠力も気になるところ。特に、「精液の量」は目に見えてわかるぶん、少ないと妊娠しにくいのでは? と悩んでしまうカップルもいるようです。では実際のところ、精液の量が少ないと妊娠しにくいのでしょうか? 今回は、そんな精液の量にまつわるウソ&ホントに迫りました! 産婦人科医の尾西芳子先生に解説してもらいましょう。
本日の「ソボクな疑問」
Q.精液の量が少ないと妊娠しにくいってホント?
<読者の声>
・精液の量より濃度が関係あると思います。(23歳/その他/その他)
・確率的に、少ないと妊娠する可能性が低くなりそう。(24歳/食品・飲料/販売職・サービス系)
・精子の量や元気かどうかは、簡単に調べられるものなのか。(29歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・精液の量自体よりも、中の精子の数や運動率などが大事な気がする。(33歳/学校・教育関連/技術職)
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「ホント」です!
精液の量が少ないと、単純に全体の精子数も少なくなると考えられるので、妊娠の確率は下がります。ただし、妊娠には、精液の量だけではなく、いわゆる“質”=精液の濃度や精子の元気度なども大きく影響してきます。
ちなみに、不妊の男性の中には、精液量が少ない「乏精液症」の人よりも、精子が少ない「乏精子症」や精子がない「無精子症」の人のほうが割合としては多いです。さらに一番多いパターンが、精子の元気度=運動率が悪い「精子無力症」です。乏精液症は、明らかに精液の量が少ないため日常生活で気づく人もいますが、ほかの3つは検査をしない限り、気づくことはできません。
「簡単に調べられるものなのか」というコメントがありますが、精液の検査は簡単に受けられます。泌尿器科や産婦人科、不妊専門のクリニックなどで行っていて、1回につき数千円程度です。
2、3日禁欲したあとに、事前に渡されたカップに精液を入れて病院へ持ってくると、精液の状態を検査してもらえます。チェックをするのは、主に「精液量」「精子濃度」「総精子数」「精子運動率」「精子正常形態率」の5項目。それぞれ、精液量は1.5ml以上、精子濃度は1ml中に1500万個以上、総精子数は3900万個以上、精子運動率は32%以上、精子正常形態率は4%以上が正常値となります。
ただし、精液の状態というのは、男性の体調で大きく変化します。1回の検査で結果が悪くてショックを受ける男性もいますが、仕事が忙しいというだけでも状態は変わります。お休みのあとなど、ストレスが少ないタイミングに再検査をするようにしましょう。
不妊というと、まずは女性が検査をして、という風潮が強いですが、不妊の原因の半分は男性にもあるといわれています。子どもを望んでいるけれどなかなか授からないなと思ったときには、女性と同時に男性も検査することをオススメします。それが妊娠への近道ですよ。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
※一部画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2017年05月20日に公開されたものです