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見栄を張る人の心理とは? 特徴と直し方も解説

笹氣健治(心理カウンセラー)

見栄を張る人の心理とは

見栄を張ることに限らず、人が無意識のうちに何かをするのは、そこに何らかのメリットがあるからです。では、見栄を張ることにどのようなメリットがあるのでしょうか? 考えられる主なものを4つ挙げたいと思います。

(1)仲間外れにされないため

金欠なのに高額の食事の誘いを断れない、ハレの日の服装に気合いを入れる、といったようにまわりの行動に自分を合わせてしまうのは、まわりと同じでないと自分が仲間外れにされてしまうという恐れを抱いているからです。

「お金を持っていないと思われたくない」「ケチな人だと思われたくない」「陰口を叩かれたくない」といったことを無意識のうちに考えてしまい、そうならないための予防線としてまわりに合わせようとして見栄を張ってしまうのです。

そうやって見栄を張ることによって仲間外れにされなくて済む、というメリットがそこにはあります。

(2)みじめな思いをしないため

まわりに比べて自分が劣っていると感じて、みじめな思いをしないようにするためです。

みじめな思いをするのは絶対に避けたい。そのためには、多少無理をしてでもまわりと同じことをしたり、エステやジムで自分磨きをしたりする。

みじめな思いをしないというメリットが、この種の見栄を張る行為の目的といえます。

(3)自分の評価を下げないため

後輩についおごってしまったり、自信がないのに「できます!」と言い切ったりしてしまうのは、「頼りがいのある先輩だと思われたい」からですが、そうやって見栄を張ることによって自分の身を守れるというメリットがあります。

頼りがいのある先輩だと思われるために、背伸びをしたり、無理をしたり、やせ我慢をしたりしてしまうのです。

(4)自分に自信を持つため

エステやジムに通ったり、高価な車や時計などを買ったりするといった見栄を張る行為には、他人から一目置かれることによって自分に自信を持てるようになる、というメリットがあります。

こういう人は、実は自分に自信を持てていません。だから、自分の見た目や持ち物のレベルを上げることで、なんとか自信を得ようとしているのです。

以上に共通する部分として、見栄を張る行為には、自分の評価がマイナスにならないメリットがあることがわかります。

自分の評価がマイナスになることは、自分は価値のない人間だと認めることとイコールであり、大げさに聞こえるかもしれませんが、自分の身が危険にさらされることにつながります。

私たちには自己防衛本能がありますので、危険を回避するために見栄を張ることは本能的反応であり、人として極めて自然な行為だといえるのです。

見栄っ張りになる原因

見栄を張る行為は、危険から身を守るためであると説明しました。ここで着目したいのが、危険を感じるかどうかは、その人の認識に過ぎないという点です。

たとえば、「まわりと同じ行動をしていないと仲間外れになる」という考えは、ある人にとっては深刻な問題かもしれませんが、別の人にとってみれば、「そんなことくらいでは仲間外れにはならないだろう」「そんなことで仲間外れになったとしても、別に構わない(そんな表面的な友だちはいらない)」と考えられることもあり、人によってはさほど危険なことではなかったりします。

同じ状況であっても、危険だと感じる人がいる一方で、危険だとは感じない人がいる。そのちがいこそが、見栄を張るかどうかの分かれ目だといえます。

さて、危険かどうかの認識には、子どもから大人に成長する過程での体験による影響が強いと考えられています。

では、具体的にどのようなことが原因で危機意識が頭の中に根づいていったのか、典型的なケースを見ていきましょう。

(1)友だちとちがうことをして仲間外れにされた

友だちとはちがって目立った服装をした。友だちと別行動で自分がやりたいことをした。

そういった、友だちとちがうことによって仲間外れにされた経験があると、「まわりとちがうことをしてはいけない。さもないと仲間外れにされる」といった方程式が頭の中にインプットされます。

そうなると、大人になってからもまわりとちがうことをするのが怖くなり、つい見栄を張ってまわりに合わせてしまうことになるのです。

(2)友だちと自分を比較して、みじめな思いをした

友だちが持っているおもちゃや文房具を持っていなかった。友だちより駆けっこが遅かった。自分だけ逆上がりができなかった。

こういった、まわりと比べて自分が劣っていると感じる体験をすると、子ども心に寂しくてみじめな気持ちになってしまうことがあります。

それがトラウマのようになり、大人になってからも、なんとかしてまわりに追いつこうとして、つい見栄を張ってしまうのです。

(3)「○○してはいけない」ということを体験的に悟った

部活の帰りに先輩にジュースをおごってもらったことで、「先輩は後輩におごるものなんだ」ということを体験的に学びます。

それがやがて、「後輩にはおごらないといけない。さもないと、信頼されない」といった方程式に発展してしまう場合があります。

ほかにも男性の場合は、女子が「ケチな男って最低!」と言っているのを聞いて、「デートのときにケチではいけない。さもないと、女性から嫌われてしまう」といった方程式が頭の中に植えつけられたりします。

このように「○○してはいけない。さもないと、よくないことになる」といった危機意識が頭の中に根づいたことが、大人になってからの見栄を張る行為につながっている可能性があるのです。

(4)高価なものに自分の価値を重ねるようになった

ブランド物に憧れる親の意識が子どもにも影響して、自分も高価なものを持ちたいと思うようになることがあります。あるいは、テレビ番組でセレブな人たちの生活風景を見て憧れ、私もあのようになりたいと思うようになったかもしれません。

価値の高いものに囲まれた生活をすることで、自分自身も価値が高くなったような気分になる。そうやって、自分にどこか自信が持てないことを、高価なものに自分の価値を重ねることでごまかすようになると、それに頼らないと自分に自信を持てなくなってしまいます。

高価なものが身近にないと不安で仕方なくなる。だから、つい見栄を張り続けてしまうようになってしまうのです。

▶次のページでは、見栄っ張りを直す方法について解説します。

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