【妊娠出産のウソ&ホント】妊娠中のうつぶせ寝は、胎児が押しつぶされるってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
おなかの中に赤ちゃんがいると、満員電車などおなかが圧迫されそうな場所を避ける妊婦さんは多いもの。中には、「赤ちゃんを押しつぶしてしまいそうで怖いから」と、妊娠中の全期間を通してうつぶせ寝を禁じている人も。では実際のところ、うつぶせ寝は赤ちゃんに悪影響なのでしょうか? 今回は、そんなうつぶせ寝にまつわるウソ&ホントに迫りました!
本日の「ソボクな疑問」
Q.妊娠中のうつぶせ寝は胎児が押しつぶされるってホント?
<読者の声>
・寝ていて、うつぶせ寝になってしまったときはどうなるのか不安。(24歳/農林・水産/事務系専門職)
・うつぶせ寝が胎児にどれくらいの影響を与えるかわからず、不安である。(27歳/学校・教育関連/その他)
・羊水で守られていると思う。(28歳/金融・証券/営業職)
・破水が早くなってしまうのでは? などと思う。(30歳/ホテル・旅行・アミューズメント/営業職)
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「ウソ」です!
お母さんがうつぶせ寝になっても赤ちゃんがつぶれるということはまずありませんので、安心してください。というのも、赤ちゃんはたくさんのクッションで守られているからです。
子宮の中には「羊水」と言われる水が入っており、子宮はいわゆる水風船のような状態。その中に赤ちゃんが入っているので、上から押されても子宮は横に広がるだけなのです。さらに子宮はお母さんの皮下脂肪に守られているため、うつぶせになっても問題ありません。ただ、おなかが大きくなってきてからうつぶせ寝をすると、お母さんの呼吸が苦しくなってしまい、赤ちゃんにしっかり酸素を届けられないというデメリットはあります。
かといって、仰向け寝がいいわけではありません。「下大静脈」という体のど真ん中を通っている太い血管があるのですが、おなかが大きくなってから仰向けで寝ていると、おなかの重みでその血管が押しつぶされます。そうすると、お母さんの血圧が急に下がり、気分が悪くなってしまうんです。こういうお母さんはけっこういますが、横向きに寝るとすぐになおります。ですから、おなかが大きくなってきたら、横向きで寝るのが楽だと思います。
ただ基本的に人間は、寝ている間に自分がつらい体勢になると自然に直します。あまり気にすることなく自分が楽な体勢で寝るのが、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても一番いいですよ。
「破水が早くなってしまうのでは?」というコメントがありますが、きっと子宮が押しつぶされるから破水するのではないかと心配されているのでしょう。2人目を妊娠中のお母さんの中には、上のお子さんがおなかに乗ったり叩いたりすることを気にされる方も多いですが、それくらいで破水することはないですし、ましてやうつぶせ寝で破水することはないので大丈夫です。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2016年10月08日に公開されたものです