【妊娠出産のウソ&ホント】妊娠線は消えないってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
妊娠すると気になることのひとつが、おなかなどにできるスイカ模様のような波状の線=「妊娠線」。一度できてしまったら産後も消えることはないと聞くけれど、実際のところはどうなのでしょうか? また、予防することはできるのでしょうか? 今回は、そんな妊娠線にまつわるウソ&ホントに迫りました!
本日の「ソボクな疑問」
Q.妊娠線は消えないってホント?
<読者の声>
・時間が経てば消える。(23歳/学校・教育関連/専門職)
・自分の母には妊娠線があり、今でも消えていないので、そう思いました。(24歳/金融・証券/営業職)
・出産後に皮膚がたるみそうで気になります。(25歳/食品・飲料/専門職)
・クリームを塗れば妊娠線がつかないというのは本当なのか。(26歳/医療・福祉/専門職)
・そもそも妊娠線をよくわかっていない。(32歳/金属・鉄鋼・化学/秘書・アシスタント職)
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「ホント」です!
なぜ妊娠線ができてしまうのか。その理由は2つあります。ひとつは、妊娠5~7カ月頃に「急激におなかが大きくなる」から。皮膚の表面はおなかの変化に応じて伸びますが、その下にある真皮は伸びにくく、かつ傷つけば治らない部分なのです。そのため、急激な伸びについていけなければ亀裂が入り、その結果、妊娠線と呼ばれる赤紫色の線が浮き出てきてしまいます。
もうひとつは、妊娠中に増加する「ステロイドホルモンの影響」です。それにより、肌のターンオーバーが鈍ってしまい、皮膚の伸びがさらに悪くなったり、できてしまった傷が治りにくかったりします。
「時間が経てば消える」という声がありますが、残念ながら完全に消えることはありません。固くなったお餅を想像してもらえると、わかりやすいでしょう。固いお餅を無理やり引っ張ると、どうしても亀裂が入ってしまいますよね。そのあとは、どんなに一生懸命元に戻そうとしても、以前のようななめらかな状態に戻すことができないのと同じです。ただし、産後半年~1年くらいで赤紫色は薄くなり、白っぽくなるため、目立ちにくくはなります。
「出産後に皮膚がたるみそう」という不安の声もあがっていますが、急激におなかが伸びるのですから、たるんでしまうことは避けられません。また、双子を出産した人や妊娠中の体重増加が激しかった人は元に戻るのに時間はかかるかもしれませんが、皮膚の表面は伸縮性があるので、たるみが気になるのは一時的なもの。だんだん改善していくはずです。
先ほど「一度できた妊娠線は完全には消えない」と言いましたが、妊娠線を予防する方法はあります。もっとも効果的なのは「肌をしっかり保湿しておくこと」です。今は、添加物が少なく、かつ保湿効果の高いマタニティ専用のオイルやクリームがいろいろと出ていますので、自分に合ったものを選んでください。
そして、おなかや太もも、胸など妊娠線ができやすいところにオイルやクリームなどをまんべんなく塗り、肌をやわらかい状態に保つようにしましょう。そうすれば、おなかが大きくなる際にも皮膚が柔軟に伸びるため、妊娠線を防ぐことができます。できれば、子宮が大きくなる時期からではなく、妊娠初期から塗りはじめたほうが効果は高いですよ。むしろ、妊娠する・しないにかかわらず、肌の保湿を普段から習慣づけていれば、万が一、太ってしまった場合にも、いわゆる“肉割れ”もできにくい体質に近づけるはずです。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.19)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※次回の更新は8月20日(土)です。お楽しみに!
※この記事は2016年08月13日に公開されたものです