
【少女マンガに学ぶ脈あり脈なし】第4回『高台家の人々』
少女マンガを読んで、萌え萌えするだけではもったいない! ここには恋のノウハウが詰まっているのです。「魅力ある人物像」を追求している少女マンガだからこそ、恋愛の教科書にするべきですよ。片想い中に悩む「脈あり」「脈なし」について検証する連載です!
こんにちは、少女マンガ攻略・解析室室長の和久井香菜子です。
初めてのデートって、どこに行くのがいいのでしょう?
この前水族館に行ってきましたが、ここは王道スポットらしいです。雨が降っても大丈夫ですしね。ちなみに行った日は週末の雨の日だったので、水槽には魚の、通路には人間の大群がひしめいてました。デートスポットとしては、なんとなくおかしな生き物を見ながら奇声を上げていればいいので、話のネタは尽きないでしょう。
「話のネタが尽きない場所かどうか」というのが失敗しないデートスポットとして優秀なのかもしれません。そう思うと、初回のデートで「食事」って、けっこう難易度高めではないでしょうか。
だいたい、モグモグ食べてるところって欲求を満たしてる最中なわけで、なんだか生々しいじゃないですか。あまり知らない人とはしたくないなあ。
その上、口にものが入っているのでしゃべりづらい! 上海ガニなんか食べに行った日には、ほじるのに必死で会話どころじゃないですよ。
今週の教科書『高台家の人々』
さて、映画化され現在公開中の『高台家の人々』。
ちょっとニュータイプな超能力者のお話です。
おばあさんがイギリス人でクオーターの高台光正(こうだいみつまさ)さんは、黒髪に青い目を持つ超絶イケメンのお金持ちです。しかし彼にはおばあさん譲りの能力があるんです。それは「人の心がわかる」能力。
下心満々で彼に近づいても、すべてお見通し。光正さんは人間不信に近いくらいクールです。そんな彼の心を射止めたのは、同じ会社の冴えない(これ少女マンガでは頻出タイプの主人公)OLの木絵。
ボーッとしていてなんの取り柄もない女性ですが、彼女は1日中、くだらない空想をしています。これが光正さんの心を射止めちゃったんですよ。楽でいいなあ。
光正さんの脈ありサインとは?
メルヘンな妄想を繰り広げる木絵が気になって仕方がない光正さんは、
「よかったら今夜食事でもしませんか?」
と誘います。
2人がまともに口を利いたのはこれが初めてです。
さてこれ、普通に考えたらものすごく面倒くさいパターンです。
だいたい木絵はものすごく口べたで、考えてることの10分の1くらいしか表現できません。
そんな木絵と、会社で女子社員の注目の的である光正さんが一緒に食事に行ったところで、木絵は緊張してますますしゃべれないだろうし、光正さんも特別おもしろい人じゃないんで、食事がモソモソまずくなりそうなことがまあ容易に想像がつくわけです(漫画のキャラの話だけど)。
だけどこの場合、光正さんの場合は木絵の考えていることが読めるので、木絵が黙って空想していても気にならないどころか、ギャグメルヘン映画でも見ている気分で楽しそう。
つまり食事デートってけっこう一発勝負なんですよね。逆に、相性がいいか悪いか、即決したいなら食事がいいかもしれません。
木絵に学ぶ脈なしを脈ありに変える方法
光正さんに言い寄る浅野さんという女がいます。
彼をワインの店に誘い、あっさり断られたあとに彼女はこう思うのです。
「平野木絵さんって特に美人でもないし 高台さんより年上だし」
「なんかいつもおどおどした感じで 性格暗そうだし ノリ悪そうだし」
「私の方がっ 私の方がっ ずーっと若くて可愛いのに!!」
イヤな女ですよねー。
和久井のまわりの人を見ていると、めちゃくちゃ上昇気流にいる人って、他人を悪く言わないんですよね。すごく他人をリスペクトして尊重しているのがわかる。こういう人って伸びるんだなあと思います。逆に、自分の環境を嘆いたり、人を悪く言う人ってそれなりなんですよね。だからますます悪口が多くなって悪循環に陥っている気がします。
木絵が選ばれたのは、その空想のおかげでもあるけど、うそのない人柄なのが一番の理由でしょう。
光正さんは人の心が読めるので、よこしまな人にはなびきません。ホント少女マンガっていいよなあと思います。あり得ない設定ではあるけど、展開としては真理を突いてるわけですよ。そこに夢があるんです。
基本的に少女マンガでは「主人公の素直で純真な心を理解してくれるイケメン」がやってきて恋に落ちるわけですが、和久井の純真な心を理解してくれる男性はいつ頃やってくるのでしょう……。
今週のまとめ
「脈なしを脈ありにするには、人をねたんだり環境を嘆いたりしない!」
そうすれば、光正さんみたいなステキな男性が、心を読んでアプローチしてくれるに違いありません……!
(文・イラスト/和久井香菜子)
★次回の『少女マンガに学ぶ脈あり脈なし』は8月2日(火)掲載予定です、お楽しみに!
バックナンバーはこちら※この記事は2016年07月26日に公開されたものです