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あの葛飾北斎も描いていた“春画”は「わいせつ物」か、それとも「芸術」か?

春画

男女の性風俗を描いた、浮世絵の春画。この記事掲載をめぐり、「春画はわいせつ物か、芸術か?」という議論が起こり、注目を集めました。これについて、みなさんはどう思いますか? やはり春画は「わいせつ物」? それとも「芸術」? 働く女性たちに意見を聞かせてもらいました。

芸術であり、貴重な資料でもある

・「これはれっきとした芸術です。何度か見たことがありますが、江戸時代の性風俗を知る貴重な資料です」(31歳/その他)

・「今の時代になれば、その時代のことを知れる芸術であると言えると思う」(28歳/ソフトウェア/技術職)

当時の日本人が「性」をどのように扱い、向き合っていたのか。たしかに、春画はそれを知るための、とても貴重な資料です。そして、特に海外では、絵画としての芸術性も高く評価されている。そう考えると、芸術であり、貴重な資料である春画を、「わいせつ物」と言い切ることはできませんよね。

出版物への掲載は、慎重に考えるべきでは?

・「わいせつ。あんまりいい気はしないから」(27歳/商社・卸/秘書・アシスタント職)

・「芸術だと思うが、もともとの用途はエロ本と同じなので、掲載する場所には配慮が必要だと思う」(27歳/金融・証券/事務系専門職)

・「春画展には行きたかったし、興味があった。雑誌は不特定多数が手にするので、芸術であっても、問題視されても仕方ないかもしれない。残念ながら、芸術に寛容な国ではないから……」(31歳/情報・IT/事務系専門職)

一方で、春画を見て「いい気はしない」という人がいることも、無視できません。展覧会であれば、見たくない人は足を運ばなければいいだけ。しかし、雑誌掲載となると、望んでいない人の目にふれてしまう可能性もあります。

線引きが難しい!

・「貴重なものなら芸術だと思う。そんなこと言ったらミイラだって、単なる死体の展示で倫理に反すると言われたら、自粛するのかって感じ」(30歳/通信/事務系専門職)

筆者は虫が苦手で、テレビや雑誌で虫のアップ写真を見かけると、目を背けてしまいます。正直「そんな写真出さないでよ……」と思いますが、だからと言って「見るとイヤな気持ちになる人がいるので、昆虫の写真を載せてはいけません」というのもおかしな話ですよね……。

そもそも、この議論自体が不毛?

・「どちらでもある。いつの時代も変わらないなと思う」(33歳/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)

・「芸術的なわいせつ物」(24歳/その他/事務系専門職)

・「春画を芸術とは感じないが、今の作風とはちがうためか、わいせつとも感じない。うるさく規制することはないと思う」(23歳/小売店/事務系専門職)

「芸術かどうか」に関して言えば、やはり「見る人による」としか言えないのかもしれませんね。中にはこのように「どちらでもある」「どちらとも言えない」という人も。ただ、「わいせつ物かどうか」については、法律なども関係してくるので、少し話がややこしそうです。

作者の気持ちを考えると……

・「かつて春画を描いていた人は、今のエロ漫画家のようにエロい気持ちになってもらいたくて描いていたと思うから、『全然エッチな感じがしない』みたいな理由で芸術として扱われると、腹が立つだろうなーと思うから、わいせつ画として扱ったほうがいいのではと思う」(25歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)

辞書で「わいせつ」を調べてみると、「性に関することを、みだらに扱うこと」とありました。作者たちが「性に関することを、みだらに扱おう」と思って春画を描いたのだとしたら、「芸術だ!」と堂々と展示・掲載されるのは、不本意かもしれませんね。

作者の技術や表現力、独創性などについて語るなら、それは「芸術」。当時の風俗について考える場合は、貴重な「資料」。しかし、もともとは大衆のために描かれた昔のエッチな本のようなもの。現代はネットの登場などもあり、「性」の扱い方が非常に難しい時代です。「今、春画をどのようにとらえるか」という問題は、私たち現代日本人の「性」との向き合い方を考える、いいキッカケなのかもしれません。

(森川ほしの/OFFICE-SANGA)

画像は本文と関係ありません


『マイナビウーマン』にて2015年11月にWebアンケート。有効回答数176件(22~34歳の働く女性)

※この記事は2015年12月01日に公開されたものです

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