【新連載】今は仕事が一番! なのにイケメンと出会ってしまって……
そこそこ盛り上がった飲み会が終わる頃、
みんなでLINEのIDを交換する時も、
加山さんはひとり
「ぼくLINEしてないんです」
と、少しすまなそうにはにかんでいた。
そんな佇まいにも、思わず胸がキュンとする。
わたしは加山さんと、メールアドレスの交換をした。
飲み会からの帰り道、
電車でいっしょになった明美は、
加山さんのことを
「いくらイケメンでもあれはないね」と笑った。
わたしが涼しい顔で「そんなことないよ」
というと「お、顔がよければ後はいいわけね」
とさらに笑う。
「うん、まあ……そうとも言えるけど」
わたしは苦笑して明美から目をそらした。
顔……だけではない気がしたのだが、
自分が感じた加山さんの魅力を、
その時はまだ明美にうまく説明できなかった。