【新連載】今は仕事が一番! なのにイケメンと出会ってしまって……
接客を終えて会社を出る頃には、
時刻は21時を回っていた。
明美たちもそろそろお開きの頃だろうか。
そんな想像をしながらも、
仕事を優先したことに後悔はなかった。
「ま、相手がよほどイケメンなら考えるけど」
わたしは独り言を言うと「ふふん」と笑った。
そして翌週末。
スマートフォンに、
明美からメッセージが届いた。
「人数が足りなくなったんで、
急だけど飲み会に来れる?」
先週ドタキャンしたからなあ。
今日は奇跡的にお客様の来店もないし、
先週のお詫びも兼ねて出席しようかな。
わたしは「うん、今日は大丈夫」
と明美にメッセージを送ると、
コートの襟を立てて、冬の街へと繰り出した。
「ただ、その場だけ楽しければいい」
そう思って個室居酒屋の指定の部屋に入ると、
わたしはある男性に目が釘付けになった。
その人は、かなりわたし好みのイケメンだったからだ。