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『ポートピア連続殺人事件』『オホーツクに消ゆ』―堀井雄二さんのミステリー第4弾はどこへ消えた?

『ドラゴンクエスト』シリーズのクリエーターとして有名な堀井雄二さんが、ミステリーゲームのシナリオを書いていらっしゃることはご存じでしょうか。また、幻の作品があることを知っていますか?

【ゲームの効果音で耳から離れないものといえば「ヨッシーの『でっ』ていう音」】

堀井雄二ミステリー三部作

堀井雄二さんがシナリオを手掛けたミステリーアドベンチャーゲームは全部で3本あります。

●第1作『ポートピア連続殺人事件』
1983年にリリースされました。「ローンやまきん」の社長・山川耕造が密室で殺害されます。プレーヤーは兵庫県警の刑事となって、部下ヤスと共に事件解決に挑みます。

●第2作『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』
1984年にリリースされました。晴海埠頭(ふとう)で男の死体が発見されます。プレーヤーは警部となって、部下の黒木と共に捜査に当たります。被害者の過去が北海道にあることが分かり……。

●第3作『軽井沢誘拐案内』
1985年にリリースされました。プレーヤーは、恋人の高木久美子と一緒に、彼女の軽井沢の別荘に来ています。しかし、久美子の妹、なぎさが戻ってきません。これが大事件の始まりでした。

どの作品にも堀井雄二さんらしいユーモアが盛り込まれていて、そのテイストはドラゴンクエストに通じるものがあります。また、どの作品もファンから高く評価されているのです。

『白夜に消えた目撃者』は消えてしまった!

実は、このミステリー三部作には続きがあって、本来なら第4作になるはずだったのに完成しなかったタイトルがあるのです。

それが『ソビエト殺人ツアー 白夜に消えた目撃者』という作品です。この作品については、株式会社アスキーから刊行されていたパソコン誌『ログイン』誌が共同企画を務めていました。

●……正確には、『白夜に消えた目撃者』が3作目、『軽井沢誘拐案内』が4作目になる予定でしたが、『白夜~』が完成しなかったため、『軽井沢~』が第3作になりました。上記が三部作と呼ばれているため、ここでは便宜上『白夜~』を4作目と呼んでいます。

『オホーツクに消ゆ』と同様、当時株式会社アスキー勤務の塩崎剛三さん(後に2代目『ファミ通』編集長となる)がプロデューサーで、堀井雄二さんと打ち合わせを行い、シナリオもある程度まできていたそうです。

また、『ログイン』誌上では、制作レポート記事が掲載されていました。作品は、(当時の)ソ連のシベリア鉄道を舞台にする予定で、取材旅行の記事まであったのです。

しかし、残念なことにこの作品は完成しませんでした。筆者は以前、塩崎さんに伺ったことがあるですが、「探せば、半分ぐらいはシナリオあると思うけどなあ」というお答えでした。

バカな筆者は「なんとかならないものですかね」と申し上げましたが、どうにもならないそうです(笑)。また、次作もタイトルだけは決まっていました。香港を舞台にした『九龍の牙』です。これらの作品が完成しなかったのは、ゲームの歴史にとっても残念なことではないでしょうか。

堀井雄二さんのミステリーゲームをまたプレーしてみたいと思う人はたくさんいらっしゃるでしょうから……。

(高橋モータース@dcp)

※この記事は2014年09月20日に公開されたものです

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