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【新連載】元彼と友人の結婚式。懐かしいあのころの思い出が蘇ってきて……

秋に入ったけれど、陽射しは強く暑いくらいだ。
レストランの庭は芝生の緑が濃く、
白いバラや真っ赤なカンナの花、
そしてピンク色のコスモスが瑞々しい。
古い洋館のようなレストランの中に入ると、
ほどよい空調が、ひんやりと心地よかった。

偶然にも、樹とわたしは席が隣だった。
テーブルには庭に咲いていたのと同じ、
白いバラの花がかわいらしく活けられていて、
同じテーブルには響子と宏太の、
会社のお友だちの席が設けられている。

やがてシャンパンが抜かれて乾杯がはじまる。
「ね、宏太、このホタテのサラダ、おいしい」
「パイ包みのスープも、ちょっとない味だね」
お料理がおいしいと、会話も弾む。

何より、壇上で顔を赤らめて座る響子の、
きれいでかわいらしいこと。

そして響子の上司やご親戚など、
響子の周囲の方のスピーチからも、
わたしの知らない彼女についての発見があり、
けっして上手ではないけれど、
とても心の動くすてきなお話ばかりだった。

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