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【新連載】元彼と友人の結婚式。懐かしいあのころの思い出が蘇ってきて……

「もうすぐ結婚式の開始時間となります。
ご出席のみなさまは、ご着席ください」
会場にはアナウンスが流れ、
わたしはあわてて「じゃあ」と樹に声をかけ、
バージンロードを避け大まわりをして、
新婦側の友人席に移る。

そこには大学時代のサークルの友人、
というか知人が3人ほど座ってはしゃいでいた。
目が合ったので軽く会釈をすると、
みな同じように軽く頭を前に倒したけれど、
それまでのはしゃぎっぷりがウソのように、
ピタッと顔から笑みが消えた。
……好かれてはないと思っていたけど、
ここまで露骨にされると、ちょっとうんざり。

わたしはサークルの知人たちに近寄らず、
すこし後ろの席についた。
やがてチャペルの中は灯りが消え、
長々と敷かれたレッドカーペットの上を、
お父様と腕を組んで、響子が進んできた。

すごく、きれいだった。
そして彼女が行き着く先には、
全身、緊張のかたまりのような、
新郎の矢羽宏太が立っていた。

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