お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【東京DEEPスポット】「徹子の部屋」にゲスト出演した住職の解説が楽しめる、寺院併設のプラネタリウム!―證願寺

松本玲子

東京都葛飾区を歩いていると、住宅街に突如、謎めいた寺院が出現する。表情豊かなにゃんこたちが描かれたコンクリート製の門から中を覗くと、狛犬ではなく、雄々しいライオンと恐竜が本堂を守っている。その向かいには、悠々と泳ぐ海の生物たちで彩られた建物まで…。

【『大人の横浜デート』極上のロマンチックスポット5選!】

奈良時代、仏教伝来目的で日本を目指した船には猫が同乗し、経典をネズミから守る役目を務めていたのだとか

こんな斬新な空間を生み出せるなんて、かなりとんがったセンスの持ち主に違いない! そう思い取材を申し込んだところ快諾してくれたのは、證願寺(しょうがんじ)第17代住職の春日了さんだ。

実は彼、住職であると同時に、同寺院に併設された「プラネターリウム銀河座」の館長でもある。

ライオンは仏陀の守護獣としても知られている

「プラネターリウム」は打ち間違いではない。英語ないしイタリア語のアクセント通りのこの表記には、春日さんの華々しい経歴が関係している。なんと春日さん、ドイツやイタリアに留学経験のある声楽家でもあるのだ。もちろん、現在でもワールドワイドにご活躍。

ヨーロッパの音楽祭に出演することもしばしばだとか。

イタリアでも見事な歌声を披露!

プラネタリム開設への原動力となったのは、仏教に対する熱い想い!

それにしても、住職と声楽家の二足のわらじを履いているというだけでも恐れ入るのだが、さらに天文への造詣も深いだなんて…!

「子どものころは宇宙物理学者になりたかったんです」という春日さんだが、星空や宇宙への飽くなき探求を満たし続けることと並行して、いつしか、インド仏教を原典で学びはじめたという。

そうしてやがて仏門へと足を踏み入れることとなるわけだが、実際に僧侶となった暁に、「お坊さんの話を聞くこと=仏教の儀式」だと捉えて、真摯に耳を傾けていない人が圧倒的に多いことに気付くこととなる。

そこで、「仏教のすばらしさを門徒さん(=檀家さん)の心に届けるためにはどうすればいいだろう?」と知恵を絞った結果、思いついたのがプラネタリウムの導入だったという。「星空に包みこまれる静かな空間でなら、私の声がきちんと心にまで届くと思ったんです」。

しかし、高額なプラネタリウム装置を定価で購入するのは不可能だった。そこで再び頭を捻り、思い当たる各所に問い合わせた結果、とある企業が開発したものの販売に至らなかった0号機を保持していることを知り、根気強くお願いしてようやく譲り受けることができたのだ。

こちらがその全貌

女性解説員との掛け合いはまるで漫才!?

以降、お勤め(仏前での読経)後の法話は毎回プラネタリウム内で行い、その日その日の星空などを映し出すと同時に、仏教の教えを説く日々を送っているという。「時間は12分程度におさめるようにしているので、話が長すぎて飽きるということもなく、リラックスして楽しんでもらえているようです」。

さらにこちらのプラネタリウム、毎月2回、一般公開もしているのがミソである。「一般公開のときは仏教については一切触れません」との言葉通り、季節ごとの星空や天文学などのさまざまなラインナップで来場者を楽しませてくれる。

しかも一般公開時は、春日さんの「相方」の女性が参戦して、二人の掛け合いで上映が進められるのだが、これがまるで漫才のようだとインターネットのまとめサイトでも評判なのだ。

お相手を務める女性は3人いるが、どの方も、他所の宇宙科学館などで活躍されているプロ。3人のうちひとりは、なんと毎月、解説のために佐賀県から上京しているのだとか。なんたる気合いの入りよう…。

目の前に広がる壮大な世界!

まだまだ出てくる新たな一面

きっと解説者たち自身、来場者に宇宙の魅力を伝えることが楽しくてしかたないのだろう。そう思い上映会を見学させてもらったところ、のっけから、各種サイトでの噂通りの掛け合いや小話が繰り広げられる。なんせ上映前の挨拶時に、春日さんのプチ手品まで披露される。

と書いたところで春日さんの新たな一面を紹介させていただくと、実は春日さん、日本奇術協会名誉会員でもあるのだ。

取材中にも圧巻のマジックを披露してくれた

そしてついでにさらにびっくりなことを報告しておくが、なんとあの「徹子の部屋」に2度ゲストとして出演しているという。聞けば、ニュースキャスターや番組コメンテーターとして活動していた時期もあるんだとか。

館内にさりげなく飾られていた、「徹子の部屋」出演時のお写真

もはや何者なんだかよく分からないが、「プラネターリウム銀河座」に設置された、ファーストクラス並みの豪華な椅子の座り心地に酔いしれつつ、アドリブたっぷりのライブを堪能していると、彼の肩書きなどどうでもよくなってくる。

さらにいうなら、仕事やプライベートのいざこざが原因で心にひっかかっていた小さな悩みも、たいしたことのないものに思えてくる。

「人間は誰しも、生まれたときから共通の特技を持ってるんですよ。どんな特技かというと、『悩みを作ってそれを大きくすること』です。でも、物事をちょっと違う角度からみるだけで、悩みがすーっと薄くなっていくことだってあるものですよ」

上映が終わって館内に明るさが戻るころには、いつもより心がちょっとだけ軽くなっていることだってあるかもしれない。異空間に足を踏み入れたからなのか、マジシャンの巧みな腕によるものなのか、はたまた気のせいなのか…そんなことはどうだっていいのだ。

春日さん考案の「ラビットポーズ」で記念撮影。小顔にみえる効果があるのだとか!

(松本玲子)

●information
プラネターリウム銀河座
http://www.gingaza.jp/
http://gingaza.blog112.fc2.com/

※この記事は2014年08月06日に公開されたものです

松本玲子

各種雑誌、書籍、web媒体で編集者・ライターとして活動する傍ら、TVCMナレーションやCMソング歌唱、音楽制作なども手掛けている。また、プログレッシブ・ロックバンドswaragaのボーカルとしても活動中。

この著者の記事一覧 

SHARE